第65話
「店主……」
不服げに納得してない様子の雪代さん。
店主さんです。
れっきとした店主さんです。
お口は悪いんだけどねー。
額に×印の傷があって、強面なんだけどねー。
一目見たら、ヤ◯ザと恐れられ逃げられることも多いって言う店主さん。
でも中身はとても良い人なのだ。
あたしも八雲さんも双子達も竜希さん達も現"黒豹"達も店主さんが大好きだ。
まぁ、双子は初めて店主さんに逢った時は大泣きしたんだけどね。
麻也と一緒に来たんだけど、八千流は麻也の首に抱きついてギュウギュウに絞めてたからね。
麻也があんなに真っ青になったのを見たのはあたしはあの時初めて見た。
ハイドはあたしの足にしがみついて、隠れようとしてた。
丸見えだったけど。
強面は、シゲさん達工藤組で慣れてると思ったんだけど。
でも、理由を聞けば、額の×印の傷が痛いって泣いたんだって。
「「おじいちゃん、いたかったね~~」」って。
そして二人は、店主さんの額の傷を撫でたのだ。
「「いたいのいたいのとんでいけ~」」って。
そしたら店主さんは豪快に笑って「ありがとよ!!」と二人の頭を撫でてくれたのだった。
その話を双子がお菓子を選んでる間に雪代さんにすると、雪代さんは目頭を押さえた。
しっかりとカメラは構えたまま。
「俺の孫達はやっぱり天使だったんだな」
「違います」
雪代さんの小さな呟きにツッコむ。
れっきとした、あたしと八雲さんの子供です。
竜希さんにはたまに
「怪獣だと思う……」
と真顔の真剣な声で言われる時もあるけど。
あの竜希さんに、である。
まぁ、双子の一番の遊び相手だからね。
双子、竜希さんには容赦ないからね。
「やっぱり小遣いが500円は安すぎだ!帰ったら……」
「ダメです。いりません。十分です」
「ケチ」
「ケッ!?」
ケチですと!?
ちょっと!!
雪代さんの口から、子供みたいに、ケチって!!
しかも少し頬が膨らんでいるというっっ!!
つっ、つつきたい!!
けどっ
すっごい目で睨まれてるから止めとくー。
射殺されそうだから止めとくー。
それに
「おっ。今日は珍しいモンを買うんだな」
「うん!!」
「かえる?これでかえる?」
「ああ、十分だ」
店主さんは二人が選んだお菓子を持ちやすいようにそれぞれにナイロン袋にいれてくれた。
二人がお金を渡せば、お釣りもきちんと二人の財布にいれてくれる。
「お前達、二人で頑張ってここまで来てくれたからな‼コレとコレとコレも持ってけ!!」
そう言って、店主さんは二人の袋にお菓子を詰めていく。
それこそ、二人が買ったお菓子よりも多いという。
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