(5)
「え……えっと、インディア」
クラスメイトの1人が、そう答えた。
教官は、教室のホワイトボードに順不同で書かれた、いくつものアルファベットや数字の中でも「I」を指差している。
「次、真佐木」
「ナイナー」
教官が指差したのは数字の「9」だ。
真佐木の答は合ってはいるが……口調は、やる気がなさげだ。
ノートに何かを書いているが……多分、落書きだろう。
あいつの隣の席なので、あいつの手元のノートを覗いてみると……やっぱりだ。
ノートに描かれているのは、異様なまでに写実的なティラノサウルスの絵だった。
百年ぐらい前の大昔……スマホやデジカメどころか、俺達ぐらいの
今、俺達が覚えさせられているのは、フォネティック・コードと呼ばれるもの……たとえば「A9」を「えーきゅー」ではなく「アルファ・ナイナー」と読んだりするヤツだ。
軍隊や航空産業などの「聞き間違いが重大事故につながる」ような場合に使われるアルファベットや数字の特殊な読み方だ。
俺達が将来つくであろう「仕事」も同じだ。ほんのわずかなミスや想定外の事象……普通であれば、取り返しが付く程度の軽い代物……のせいで命を落としてきた「先輩」達は山程居る。
例えば、スポーツ選手なら「本番の試合」で「練習中」の実力の七〜八〇%を出せれば一流だそうだ。
俺達が将来やる「仕事」も似たようなモノ……わずかなミスやコンマ1秒の判断の遅れが、自分や仲間の死を招く……そのプレッシャーこそが、問題の「わずかなミス」や「コンマ1秒の判断の遅れ」を誘発してしまう。
だから……「どんなに順調に見えても事故や想定外は起きるもの」「どんなベテランでもミスはやらかすもの」……その前提で「仕事」をやる事になる。
「フォネティック・コードは『組織』においては『羅刹』どもの強さの目安としても使われる……例えば……」
教官は、ホワイトボードに「A級」という文字を書いた。
「これは、A級と読んではならない。『組織』内では『アルファ・クラス』だ」
教官は、ホワイトボードを一度消して、AからGまで、そして、QとSとXをホワイトボードに書いた。
「『組織』内で使われる『羅刹』の
そう言うと、教官は、まず「G」の文字を指差した。
「
そして、教官は、アルファベットを次々と指差しながら、説明する。
「
弱い羅刹であれば、銃器を使えば倒せる……しかし、銃器を使うのは別の問題が有るからこそ……「組織」が必要になる。
この「学校」に入った時に、最初に教えられた事だ。
「とは言え、『羅刹』は人喰いとは言え、奴らにとっての食料や生活必需品の大半は、人間のそれと同じだ。人間が暮し易い場所は、羅刹にとっても暮し易い場所だ」
そう……つまり……。
「『
それこそが、「組織」の存在意義。
「羅刹」どもが持つのと同じ「能力」で「羅刹」に対抗する「戦士」達が必要な理由だ。
教官は「羅刹」の
最低レベルの「戦士」でも、
次の
更に、次の
「残りの3つは、単純な強さだけでは対処が困難だ。まず、
教官は、教室内の生徒を見渡した。
「この3つの
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます