140字小説

殻斗あや

視え方

息子の目の手術が失敗した。もう光しか認識できていないらしい。

「視力が落ちたら本末転倒じゃない!」

「本当に申し訳ございません。」

そう言う医者はただ頭を下げるだけ。

「ごめんね、かいと」

「…大丈夫だよ、お母さん」

その時、ずっと閉じていた口が開いた。

「こっちの方が綺麗に見えるよ」

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