第17話 すごい奴…?

 ベルがすごい悪魔……?一体なんの冗談なんだい?


 リアスの口から告げられた衝撃的な事実に俺の頭は混乱の坩堝にハマり抜け出すことができなくなってしまう。ベルがすごい?もしかしてあれか?ベルは実はなろう系主人公だったりするのか?


「ベル……お前本当はすごいやつだったのか?」


「ふっ、バレてしまっては仕方がない。実は私、やればできる子だったんだよね」


「じゃあこれからは自分のことは自分でやるようにお願いしてもいいか?」


「私、怠惰の悪魔。1人じゃ生きていけないか弱い生き物なの」


「大悪魔さん?」


 手のひらが180度回転したかと思えば再び180度回転する。つまり元のだらしない悪魔に戻りました。大悪魔とは。


「ベルの言ってることは間違ってはないのよ悠誠。7大悪魔はいわば各分野のエキスパートみたいな物なの。例えば私の色欲。これは文字通り人を魅了するのに長けている。私が本気を出せば大抵の悪魔や人間を私の虜にすることが出来る」


「すご。……じゃあベルは?」


「ベルの怠惰は文字通りそこら辺の悪魔と比べて呆れてしまうほどに怠惰ってこと。私が美のエキスパートならベルは家でのんびりすることのエキスパートね」


 すごい、全く何もすごくないぞ。家でのんびりすることにおいて右に出る者はいません!とか言われても全然すごいなってならないし、それどころかなんだこいつってなるでしょ?今その状態。


「えへへ……そんなに褒められても何も出来ないよ〜?」


「本当に何も出来ないもんなお前」


「む、うるさいなぁ」


「でもね?怠惰には怠惰の強さがあるの」


「え?あるの?こいつに?強さが?」


「ねぇ!?その言い方は傷つくよ!?」


 隣で声を荒げるベルを無視し俺はリアスの話に心と体と耳を傾ける。隣で「無視ですかそうですか。別に良いもん!私ケーキ食べるからいいもん!」と子供のような声が聞こえたが知らないふりをする。


「怠惰は文字から伝わるように物理的な強さは持ち合わせていないの」


 うん、だろうね。多分俺でも勝てるんじゃないかなってくらい弱そうだもんベル。


「でもその弱さ故にすぐに人や悪魔と打ち解けることができちゃうの。あなたも既に経験しているのではないかしら?」


「……」


 言われてみれば確かに。出会ってから少ししか経っていないのにいつの間にか打ち解けてるし、なんなら初対面の時から俺大分ベルのこと雑に扱ってたわ。


「敵を作らないで味方ばかり作る。そう考えたらかなり厄介だと思わない?だからこそ怠惰の名を冠しているのよ」


「なるほどなぁ……」


 確かに言われてみればかなり厄介な存在だ。武術の世界で1番強い行動は敵と仲良くなる事的な話を聞いたことがある。戦わずして勝てる、しかもそれを簡単にできてしまうと考えたら相当強い。


「ベルって意外とすごいんだな」


「一言余計な気がするけど……まぁ褒められて嫌な気はしないね」


 ふふんとドヤ顔を浮かべるベル。頬にケーキを食べた跡がついているせいで子供のようにしか見えない。確かにこれは敵対心を削がれるな……。


「説明終わり!はぁ〜疲れたわ〜」


 グググと背を伸ばすリアス。背筋が伸びたせいで大きな果実がポヨンと揺れる。ガン見するところでした、とても危ない。さすがは色欲の悪魔。


「わざわざ説明してくれてありがとうリアス、助かったよ」


「いいわよ〜。ベルが説明してなかったのが悪いから」


「面倒だったんだもん」


「変わってなくて安心したわ」


「そう言うリアスはより色気が増したね。私じゃなかったら落ちてるんじゃない?」


「落ちてくれてもいいのよ?ベルならいつでも相手してあげるわ」


「私は男じゃないんだけど」


「私は女も歓迎よ?」


「うげ」


 仲の良さが伝わってくる会話のキャッチボールに俺は驚きを覚える。引きこもりだから友達いないのかなぁとか思っていたが、どうやらしっかりと信頼出来る友達はいるらしい。そっか……じゃあベルのこと引き取ってもらってもいいかな?


「というか説明のせいで有耶無耶になっちゃったけどあなた暴食ちゃんのこと置いてきたの?」


「いやぁ……夜誰の目にもつかないようにこっちにきたから」


 頭を掻きながらまるで宿題を忘れた少年のように告げるベルにリアスは再び大きなため息を吐く。


「どうなっても知らないわよ?」


「だ、大丈夫でしょ〜……多分……」


「というか夜抜け出してきたってことはもしかして────」


「はい終わり!この話はここまで!閉廷!解散!」


「はぁ〜……もう私には未来見えるわ」


「だ、大丈夫だよ……多分!」


 付き合い浅いけど分かる。これあかんやつや。

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