第19話「明かされる真実」



まばゆい光が収まると、私たちは大きな円形の広間にいた。七人全員が、いつの間にか同じ場所に集められている。


「みんな!」


思わず声が出る。無事な姿を見て、胸を撫で下ろす。


「まりか!」奈々が駆け寄ってきた。


「待ちなさい」


黒ローブの男―――いや、白髪の老人が静かに言った。フードを取った彼の姿は、私たちの知る誰かに似ていた。


「あなたは」レオ先生が声を震わせる。「初代学園長」


「そう」老人は穏やかに微笑む。「正確には、その意思を受け継ぐ者だがね」


広間の壁には古代の魔法陣が刻まれ、その中心には巨大な水晶が浮かんでいた。


「私たちを試していたの?」セシリアが問いかける。


「ええ。君たちなら、きっと辿り着けると」


ルークが一歩前に出る。「ancient prophecy...古代の予言のことですか?」


老人は頷いた。


「九つの月が重なる時、新たな力が目覚める。それは数式として現れ、古の魔法と現代の知恵を結ぶ」


「私たちの解いた方程式が」篠原が理解したように言う。


「そう」老人は続ける。「君たちは気づいていただろう?数式は単なる計算ではなく、世界の理(ことわり)そのものだということに」


私は宝石を見つめる。その中で、新たな文字が浮かび上がっていた。


「これは…世界を繋ぐ扉の開け方?」


「正解だ」老人の表情が優しくなる。「この世界と君たちの世界。本来は繋がっているべき世界を、再び一つにする方法」


「でも、どうして?」


「魔力の衰退」レオ先生が答えた。「この世界の魔法は、徐々に弱まっている」


「その通り」老人が言う。「だから私たちは、新しい可能性を求めた。君たちの世界の『数学』という叡智と、この世界の『魔法』を融合させることで」


奈々が小さく息を飲む。「だから、私たちが召喚されたの?」


「いいえ」老人は首を振る。「君たちが自らの力で、方程式を解き、扉を見つけた。それこそが、真実」


広間の水晶が、より強く輝き始める。


「さあ」老人が私たちに向かって手を広げる。「君たちの選択の時間だ。この扉を開き、二つの世界を繋ぐか。それとも」


私たちは顔を見合わせた。


その選択が、全ての始まりとなる。

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