第27話 勇者の部屋
▱▱▱
ああっ、クソッ。
オレもセラートもやられてたのか。
しっかし、他のヤツらを蹴散らしてもペセタにゃナイフの刃は通んねーし、格闘家ほどじゃねーがとんでもねぇパンチ力だしで図体の割に動きも俊敏。
槍がなきゃどうしようもねーわ、あんなの。
さて、城ん中にある槍を取ってリベンジと行くか!
あの森はセラートのもんだ、ペセタや他の獣人たちのじゃねェ。
それをみっちり分からせてやる。
(ご主人さま、お待ちください。またあの場所へ行くにはカギが必要です)
「カギ……? 何でだ?」
(先ほどはオレが二人をあの空間から脱出させました。その際に対義型ペナルティが起こり、施錠されたのです)
「対義ペナルティって何だよ」
(対義型ペナルティとは、ご主人さまの固有魔法の一部です。ご主人さまたちは扉からいつでも脱出することができますが、脱出した人数分のカギが扉に施錠されます。扉を開くには他の空間にあるカギを揃えなくてはなりません。空間から出る、空間に入るで対義となっておりそれらを阻害するペナルティが発生するため、対義型ペナルティと呼んでいます)
「……分かった」
仕組みの方を知りたかったし、固有魔法の一部って説明で十分だったんだが。
妖精よりかは全然いい、今だって回復魔法かけてくれてっし。
そういやアイツ、ずっといないな。
……ふん、快適でたまらねェ。
「どうした? シヘタ。ボロボロじゃんか」
「何だよ、もう起きたのかよ」
「なんっか寝付きが悪くてな」
オレのベッドが臭いからだろう。
勇者、勝手に使ったオマエが悪いぜ。
「シヘタ、オレ様の部屋を作ってくれ。寝るとこさえありゃいいから」
「部屋が欲しい、ねぇ。オレとアクェの役目を取り消した上で、セラートたち獣人に手を出さないってんならいいぞ」
「ん、そんなんでいいのか? 分かった、約束する」
あれェ? それはダメだ、とか言ってくると思ってたのに。
勇者はベッドに座り、体を前後に揺らしながら「はよはよ」と笑顔で急かしてくる。
……だいぶねみーし、人形に頼むか。
「人形、コイツに部屋を作ってやってくれ」
(部屋でございますか。部屋となると、空間を増設するのとは少し勝手が違います)
「いいよ、テキトーで。オレはもう寝る、勇者、そこどけ」
(では、勇者さまを扉の設置可能場所までご案内してきます)
「まかせた」
「ありがとな、シヘタ」
ベッドで横になると、勇者のそんな言葉が胸にぬるく染みてくる。
オマエに感謝されても嬉しくねーよ。
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起きると、部屋にはパダスしかいない。
何時間ぐらい経ったんだか、とりあえず眠気は取れたッ。
昨日は風呂入ってねーし、入ったら外出て他のヤツらを探そっかなっと。
……そうだ、トイレの扉と重なってて奥に行けねーんだ。
確か見張り台に行く時、最上階の窓開けっ放しにしてたな。
下の階にあるエレベーターからでも行けっけど、めんどくせーからいいや。
浴室前の脱衣所、ここにはよく親父が籠っていた。
ドライヤーを繋いである台の壁にはデカい一枚鏡があって、壁沿いに衣服置き場がある。
広さも設備も小さめの銭湯っぽい。
トイレやトレーニングルームに通じる扉もあり、トレーニングルームには様々な筋トレグッズのほかアイスが入ってる冷凍ケースやらちっこいドリンクケースやらがある。
中身まだあるし、風呂上がったら貰うか。
──ガララッ。
「うううっ」
ん、誰か風呂に入っていたんだろうか? って、セラートの声!?
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