第30話

『………九月になるまで一緒に過ごしたい……此処で。』





「…俺の家で、九月まで過ごせば良いんだな?」





『……うん…そしたら、婚約は解消する。』




「分かった。必ず約束は守れよ、綾子。」




慧悟さんはそう言うと、小指を立てて私の方に差し出す。






『指切りげんまん…ね……』




指切りを交わす小指だけなのに………





触れてるその部分だけがとても……心地よくて嬉しい。

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