第2話【夏の神様は】

あれから1週間が経った。


もう夏が終わりそうなのにも関わらず、


海の姿を見ていない。


水西洸神社にも何回か行ったが、

海は居なかった。


今日もまた、水西洸神社へ向かった。


だが今日はいつもと違う。


何故なら今日は夜の水西洸神社へ行ったからだ。


やはり夜の水西洸神社は、


昼間と違って小洒落た雰囲気だった。


「海〜?どこ〜??」


やはり今日も居ない。


「夏終わっちゃうよ、、」


夏はあと3日で終わってしまう。


それまでに海に会わないと来年の夏まで会えなくなってしまう。


あれ?前もこんなことあったような、、。


𓂃𓈒𓏸︎︎︎︎






「ねぇ海!!かくれんぼしよ?」


「うん!!いいよ!!」


「あ、でももうちょっとで───」


「じゃあ私が鬼ね!!」


「いーち、にーい、さーん、、、、」


「、、もーいいかい?!!!」




「どこだろ、、」


「ここかな!?あ、違った、、」


「じゃあここ!?、、ここも違う」




「海ー!?どこ〜!?!?」


「あ、もう夕方になってきちゃった、、」


「先に海も帰ったのかな?じゃあ私ももう帰ろ、、」






その次の日から、

海に会えることは無かった。




𓂃𓈒𓏸︎︎︎︎






昔の記憶だ、、あの時と今の状況似てる?


あの時探してなかったのは本堂、、。


もしかして?!!


私は急いで本堂へ向かい、

本堂の扉を開いた。


中には海が顔を隠して座っていた。


「海!!あ、、海、みーつけた!」


「結衣、!やっと見つけてくれた、」


「海、あの時はごめんね。先に帰ったのかと思って、、」


「僕、ずっと待ってたよ。この中で、、」


「海!!ごめん!!ごめんね、、!」


「結衣、もう夏、終わっちゃうね」


「僕、もうちょっと結衣と一緒に居たいのにな、」


そう言いながら海は眉を下げて笑った。




「海は、夏が終わっちゃうと消えちゃうの?」


「うん、、ここからはね」


「ここから、?」


「結衣にだけ特別に教えてあげる。僕達、季節の神様は交代交代でこの神社に来ているんだ、。」


「じゃあ夏以外の神様に会うことが出来るの?」


「ううん、会えない」


「結衣が僕に会うことが出来るのは僕にとって大切な人だからだよ。」


そう言って海は私の方を向きながら優しく微笑んだ。


何故だか私は少し恥ずかしくなった。


「ねぇ、結衣?結衣は僕のこと好き?」


「それは、、恋愛の方、?」


「うん」


そんなの好きに決まってる。


だって私の運命の人は海だもん。


だから私は


「もちろん!!」


と答えた。




「結衣、僕と婚約を前提付き合ってくれますか?」


婚約って、、結婚のことだよね!?!?


しかも神様と付き合えるの!?


あ、早く応えなきゃ、、!




動揺している私を見て


海は少し笑っていたような気がした。




「ゆっくりでいいよ」


「、、、よろしくお願いします」


「本当に!?」


「うん」


「私の運命の人は海だからね!!」


「やったー!!!!」


そう言って海は私に抱きついてきた。


「ちょっ、海!?」


「結衣、1つ言い忘れてたことがあるんだけど、、」


「何?」


「神様と結婚したら天界に行くんだけど、、。


結衣はこっちの世界と天界どっちがいい?」


「こっちの世界には戻ってこれるの?」


「うん。戻ってこれるよ。」


「じゃあ天界がいいかな!」


「いいの?」


「だって毎日海に会えるなんて最高じゃん!!」


「うちの奥さんが可愛すぎる」


「ちょっと!!話早いって!!」


そう言って2人で笑った。


「いつ、天界に行くの?」


「夏が終わったのと同時に行こうと思ってる」


「じゃあそれまでに皆に説明しておいた方がいいね!」


「そうだね」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る