変態スコーピオンズ

沼津平成

第1話 #1 9万階のホテル

 その言葉におれは唖然とした。何かの利き間違いだと思った。

 普通ホテルの部屋は3桁(10階以上は4桁)だ。


「すみません、あの何号室と……?」


『あ、申し訳ありません。2030312――』


「それはつまり、二万三百三階の十二番目の部屋だと——?」


『はいそうなりますね』


 話にならないな。おれはフロントを出た。きれいな夜景。超高層ビル。今話題のホテル。わざわざ休暇までとってきたのに。


――もう一回聞いてみるか。


 そんな俺の期待は粉々に打ち砕かれた。フロントに入ると地下から続く3階分の行列が出来上がっていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る