ミスターミステリアスミステリー

宇宙(非公式)

1

『『(防犯カメラによる映像)

「『   S大学ミステリー研究会事件

  

登場人物紹介


パパ:本名、濡真ぬれま紗羅さら。情報通で、彼女のことは研究会の誰もが恐れている。「〜ってことで」が口癖。密室殺人系のミステリーを描くのが得意。


先輩:明星あかほし帝花ていかが本名。つかみどころのない性格で、研究会の会長。言葉遊びと、伏線回収系の小説を書くのが得意。


トーリ:語尾に〜ねを付けるのが口癖。彼女の本名を知るものはいない。ストーリー重視で、叙述トリックを用いたミステリーを描くのが得意。


川田:本名は川田孝介かわたこうすけ。ヤクザの組長の一人息子で、温厚。「っすよ」など軽々しい口調の使い手。短編小説しか書かないが、筆が速い。


オーストリア:畑口・ダイアフィールド・太郎たろうを名乗る帰国子女。日本語を大阪で学んだので訛っている。カッとなると手が出る。ホラー小説を描くのが得意。





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 深い森があんなに笑顔だったのは、歓迎の意味なのか、それとも嘲笑を意味していたなのか。川田がそんなことを考えているうちに、話題の中心であるその森はもはや見えなくなるほど後方にあった。

「お、あの建物じゃない?」

「そうっぽいね」

 大きな白いバンの車窓から、素朴な木造のペンションが見えた。

「いい感じ、雰囲気あるね」

 トーリはにわかに顔を明るくした。先刻は乗り物酔いで辛そうにしていたのとは対照的で、今度は酔狂な少女の顔をしている。

「ミステリー研究会たるもの、やっぱり合宿はこうでなくちゃダメっすよ」

 川田も興奮しているようだ。


 扉を開けると、パパ達がミステリー小説で何度も描写してきた景色があった。

「ええとこやん」

「中も結構、ミステリーっぽいだろう?」

 先輩は落ち着いた口調でそう言ってるものの、やはり相当この環境を楽しんでいるようで、鞄を置くやいなや、リビングのソファにダイブした。

「じゃ、みんな揃ったってことで、各々の部屋にいこう!」

 パパはそう言って手を叩いた。


(中略)


「良い早朝だね」

 トーリが伸びをしつつ言う。

「あ、トーリくん。ようやっと起きはったな」

「コーヒーあるっすよ」

「おお、ありがとね」

 立ち上る湯気のせいでトーリのメガネを曇った。人数分の席があるテーブルに、リビングにいる皆がついた。しかし、一席だけ空いている

「あら、先輩が来てない?」

「そうかも」

「妹への生存報告が長引いている、と言う説もあるね」

「ああ、双子のっすか」

 先輩はこの研究会の会長なだけあって、時間にはウィンだ。逆に言えば、時間にルーズではない。故に、皆がこの状況をおかしく思っていた。

「ってことで、ドッキリも兼ねて、先輩の部屋に寝起きドッキリと行こう!」


 何か、ずっと奇妙な空気ではあった。その嫌な予感が現実に影響すると予想できた者は、一人もいなかっただろう。閉じられた扉の向こうには、床に落ちたナイフのそばで横たわる、冷たくなった先輩がいた。

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