闇堕ち好きの悪の幹部なのに何故かヒロイン全員ヤンデレ化させちゃった件について
カラスバ
第1話
結論から言うと俺は失敗したんだ。
──ああ、心配しないでくれよ。
別に俺は失敗したからといっても命自体がどうなるものという訳ではなく、ただ強いて言うのならば今の立場にいるのがちょっと難しくなったくらいなんだ。
そう、悪の組織の幹部に転生した俺は今の今まで正義の味方、魔法少女と戦ってきた。
悪の組織幹部、その名前は『ジーン』。
炎と氷の力を使う強大な敵として魔法少女の前に君臨していた俺にはある使命……いや。
これは決して使命ではないな、誰からも命令は受けていない。
それはあくまで、俺の趣味だった。
前世から夢見ていた、夢みたいな事。
それは──闇堕ち。
正義の味方、清楚で可憐な美少女達が闇の誘惑に敗れるその様が好きだった。
肌面積が増えてえっちなコスチュームに着替えるのも良いし、その逆もよし。
ハイライトはなくても良いし、あったらあったでなんか正気なままやべーところに足を踏み入れてしまった感あるよね。
兎に角……闇堕ち。
俺はそれが三度の飯より好きだった。
だからそれを実行しようとしたんだ。
ありとあらゆる作戦を練り上げ、彼女達がさながら坂の上から転がり落ちるように闇堕ちへの道を舗装してきた。
一応仲間達には「彼女達を仲間に引き入れれば戦力増強になる」みたいな言い訳をして、兎に角今まで一人で頑張ってきたんだ。
そうしたら、どうなったのか。
「あはは……ジーンさん、今日こそ私達のモノになってもらうよ♡」
「もう、絶対に逃しません♡」
「僕達、本気なんだからね♡」
怒涛の連携。
まさしくその攻撃の嵐は津波の如し。
流石は正義の味方である魔法少女だ、連携こそが力の真髄とでも言わんばかりである。
俺が見込み、闇堕ちさせようとしただけはある。
そんな美少女達が、全員ハイライトを消して俺の事を見つめているのは何のバグだ?
「く、く──え、えーと。や、闇に堕ちるが良い!」
「うん、ジーンさんのためならどこまでも堕ちるよ♡」
「え、えっと。お前は味方を信じられるのかっ!」
「一緒に貴方様を共有します♡」
「う、裏切らないと確信してるのか!?」
「僕達の愛は本物だよ♡」
ええい、どうしてこうなった!
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