★殿下のある日のティータイム

 バーノンに差し出された学生服を見て、ディランはパチパチと瞬いた。


「何ですか?」

「見ての通り、学生服だ。サイズは一応、XLにしておいたが」

「私にも、これを着ろと?」


 まさかと思いつつ、ディランは尋ねた。

 明日からバーノンは身分を隠し、魔法学校へ通うことになっていた。自分も側衛として、つき従うのだが。

 こちらは、三十を過ぎた、おっさんである。

 妻子持ちで、最近、ちょっと体の疲れが取れにくくなっている、まぁまぁ、ガタイのいいおっさんなのである。

 

「側衛は、王族の安全を確保するとともに、一番近くで護る。なおかつ、その場にふさわしい態度で職務に臨まなければならない。心得には確か、そのようにあったはずだが?」

「あの、殿下」

「『その場にふさわしい態度』だろ」

「それは……」


 ぐいーと、押しつけられた制服をディランは渋々受け取った。

 

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