第15話 暗号と罠

夜の雨音が背景で響き続ける中、緊張感は一層高まっていた。倉庫の裏手で敵に囲まれ、香織、涼介、そして署長の三人は身動きが取れなくなっていた。濡れた地面に反射する微かな光が、敵の影を不気味に揺らしている。


「データを渡せ。」

黒い服を着た男が冷たく命じる。その声には迷いも感情もなかった。


香織はバッグを強く抱えながら、視線を鋭く男に向けた。「渡せばどうなるかなんて分かりきっています。真実は隠され、私たちも消されるだけ。」


男は薄く笑った。「それは君たち次第だ。データを渡せば、命は保証してやる。」


「その保証、どこに信じる理由がある?」涼介が一歩前に出て、鋭く問い返す。


その瞬間、署長が小さく手を挙げ、二人を制した。「待て。こういう連中は時間を稼げば稼ぐほどミスをする可能性が高い。」


「ミスなんかするかどうか……。」男が呟き、背後に控える手下に合図を送った。その一人が歩み寄り、小型の端末を香織たちの目の前に掲げた。


「君たちが持っているUSBメモリには暗号化が施されているな。」


香織の眉がピクリと動いた。「それがどうしたんです?」


「それを解く方法を教えろ。でなければ、君たちはここで終わりだ。」


香織は一瞬だけ動揺を見せたが、すぐに冷静を装った。「暗号化を解きたいなら、自分たちでやればいいでしょう。私たちにそれを聞く理由が分からない。」


男はにやりと笑った。「山崎がデータに仕掛けた暗号化は、普通の手段では解読できない。それを解けるのは、彼の研究に深く関わっていた者だけだ。その条件に当てはまるのが君たちだと知っている。」


署長が静かに香織に耳打ちした。「彼らは完全にデータの内容を理解していない可能性が高い。つまり、まだこちらに優位がある。」


涼介が軽く笑いながら言った。「なるほどな。あんたらも手探りってわけか。」


男の表情が一瞬だけ険しくなった。「ふざけるな。」


その時、香織の脳裏に山崎の遺したメッセージが鮮明に蘇った。USBメモリの中には、単なるデータではなく、複数のトラップと暗号が仕掛けられているという情報。山崎は慎重に証拠を隠し、安易にアクセスできない仕組みを残していた。


「……彼は、確実に安全策を講じていた。」香織は低く呟いた。


「どういうことだ?」涼介が不思議そうに尋ねる。


香織はバッグからUSBメモリを取り出し、その表面を指でなぞりながら言った。「この中にあるデータは、ただ開けばいいものじゃない。一定の手順を踏まないとアクセスすらできない。そして、もしその手順を間違えれば……中身そのものが完全に消去される。」


男がその言葉に眉をひそめた。「脅しか?」


「いいえ、事実です。」香織は冷静に答えた。「あなたたちがそれを解読しようとした瞬間、データは消えるでしょう。」


男は少しの間黙り込み、視線を手下たちに向けた。


その沈黙を利用して、香織は素早く頭を回転させた。この状況を逆転する方法は一つしかない――敵に自分たちが優位であると思わせ、選択肢を減らすこと。


「このデータを守りたいなら、私たちをここで消すわけにはいかないはずです。」香織は一歩前に出て、男を挑発するように言った。「私たちがいなければ、あなたたちにとってもただの役立たずなゴミになります。」


男は険しい表情を浮かべながら、香織を睨みつけた。「つまり、君たちは交渉の材料になると言いたいのか?」


「交渉ではありません。」香織は毅然と言った。「私たちが生きてこのデータを扱わない限り、真実を隠すことも暴露することもできない。それが山崎の仕掛けた保険です。」


署長がその言葉に続けた。「彼女の言う通りだ。このデータを無理に扱えば、君たち自身が損をする。それを分かった上でどう動くかは君たち次第だ。」


その言葉に男は逡巡したように見えた。だが、彼の目にはまだ冷酷な決断の影が潜んでいる。


「いいだろう。」男がゆっくりと言葉を放った。「だが、条件を変える。この場でデータを解読しろ。」


香織は冷たく笑った。「私たちを監視しながら解読させるつもりですか?それこそ、データが消える可能性を高めるだけです。」


男は無言で手を振り、手下たちに何か指示を出した。その瞬間、背後の倉庫の奥からもう一人の黒服の男が現れた。彼は手に別の端末を持っていた。それを見た瞬間、香織の心臓が跳ね上がった。


「これを見ろ。」新たに現れた男が端末を起動し、画面を香織たちに見せた。その画面には、山崎の手書きのメモと共に、暗号らしき複雑な文字列が表示されていた。


「なぜそれを……?」香織は思わず声を漏らした。


「山崎の元部下から手に入れた。」男は不敵に笑った。「この暗号の意味を知るのは君だけだろう。答えを言え。」


香織はその画面を見つめながら、山崎が残した言葉を思い出していた。その暗号には、重大な秘密が隠されているはずだった。そして、その秘密を守り抜くことが山崎の意志だった。


「香織、どうする?」涼介が緊張した声で問いかけた。


香織は深く息を吸い、最後の決断を迫られていることを理解した。


読者選択肢

1.暗号を解読して時間を稼ぐ

 - データが消去されないよう、暗号を解読しながら敵を欺く。ただし、敵が一層危険な手段に出る可能性がある。

2.解読を拒否し、山崎の意志を守るために徹底的に抵抗する

 - 暗号を敵に渡さず、山崎の意志を尊重する。ただし、自分たちの身が危険にさらされる可能性が高い。


応援コメントへの選択番号記載依頼


読者の皆様、ついに真実に迫る緊迫の場面が訪れました!

香織たちが守るデータと山崎の意志。その暗号が解かれることで、真実が明らかになるのか、それとも全てが失われてしまうのか――その選択は、あなたの手に委ねられています!


コメント欄に「1」または「2」の番号を書いてください!

締切:明日朝7時まで

あなたの選択が物語の未来を大きく変えます。香織たちをどう導くべきか、ぜひ力を貸してください!


三田村香織から読者メッセージ


読者の皆様、ここまで物語を追い続けていただき、本当にありがとうございます。

私たちは今、最大の決断を迫られています。山崎さんの意志を守り、真実を届けるためにどうすべきか――その答えは私一人では決められません。


どうか、あなたの選択で私たちを導いてください。一緒にこの謎を解き、真実を掴み取りましょう。次回もお楽しみに!

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