第10話 不審者の足音
部屋の中に重く張り詰めた沈黙が流れていた。古びた警察署の壁は雨音を吸収するかのように冷たく、窓の外では豪雨がさらに激しさを増している。時折、稲妻が夜空を切り裂き、その閃光が室内をかすかに照らした。
署長はドアの前に立ち、扉を背にしながら香織と涼介に向き直った。その顔には緊張の色が浮かんでいたが、冷静を保とうとしているのが見て取れた。
「この署内で不審者が現れるなんて……通常ではあり得ない。君たちのデータが狙われている可能性が高い。」署長は低い声で言った。
「どうしてそんなことが断言できるんですか?」香織が鋭く問いかける。
署長は少し間を置き、答えた。「内部に敵がいる可能性がある。こういった状況では、誰を信じていいのか私自身も判断が難しい。だが、私は君たちを守る義務がある。」
「義務だって?」涼介が苦笑いしながら言う。「それを聞いて安心できるような状況じゃないだろ。さっきから、不審者だの内部の敵だの、曖昧な話ばっかりだ。」
香織はバッグをしっかりと抱えながら、署長を見据えた。「私たちが信じるべき理由を、もっと具体的に教えてください。あなたが敵でないと確信できなければ、協力するわけにはいきません。」
署長は香織の言葉を受けて、わずかに眉をひそめた。そして、静かにため息をつきながら話し始めた。
「……私は、かつて似たような状況で失敗した。告発者を保護しようとしたが、隠蔽を図った勢力に裏をかかれた。彼らの命を守れなかったことが、今でも悔やまれる。」
「それが何の証明になるんです?」香織はなおも食い下がった。
「私がそのような失敗を繰り返したくない理由だ。」署長の声は静かだが力強かった。「だが、君たちが私を信用しないなら、それも仕方ないだろう。ただ、今は時間がない。不審者がこの署内に侵入している以上、君たちをここに留めるのは危険だ。」
その時、廊下の遠くから微かな足音が響いてきた。重く規則的な音は、雨音の中でもはっきりと耳に届く。
「……誰かが近づいている。」涼介が小声で呟いた。
香織はバッグを握る手にさらに力を込めた。「不審者だとしたら、私たちを狙っているのは明らかです。」
署長はドアノブに手をかけ、慎重に耳を澄ませた。「ここにいることが知られている可能性がある。君たちを安全な場所に移すべきだ。」
「安全な場所?」涼介が反射的に聞き返す。「それってどこだよ。署内に敵がいるかもしれないんだぞ?」
署長は短く頷いた。「確かにその通りだ。しかし、この署には地下保管室がある。そこは鍵付きのドアで守られており、外部からの侵入が困難だ。」
「地下保管室……。」香織は考え込むように言った。「その場所でどれくらい安全が保証されるのか?」
「少なくとも、この部屋よりは安全だ。」署長が断言する。「だが、私が君たちをそこまで案内する間にも危険は伴うだろう。」
その間にも足音が近づいてくる。やがて、廊下の角を誰かが曲がる気配が感じられた。
「決断する時間がない!」署長が声を荒げた。「どうする?私についてくるか、それともここで抵抗する準備をするか?」
香織と涼介は視線を交わした。
「香織、どうする?」涼介が低い声で言う。「俺たちだけで戦うのは無理がある。でも、署長が本当に信用できるのかもわからない。」
香織は心臓の鼓動が速くなるのを感じながら、バッグをさらに強く抱きしめた。「私たちがどう動くかで、このデータの行方が決まる……。」
足音が一層近づき、やがてドアの前で止まった。中からドアノブを回そうとする音が響き渡る。
「時間がない!」署長が銃を構えながら叫ぶ。「君たちの判断を聞かせてくれ!」
読者選択肢
1.署長について地下保管室へ向かう
- 署長を信じて安全な場所に避難し、状況を見極める。ただし、移動中に敵の襲撃を受ける可能性がある。
2.部屋に留まり、不審者と直接対峙する準備をする
- 部屋に留まり、不審者に対抗する。ただし、戦闘のリスクが高まり、データを守れる保証はない。
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読者の皆様、物語はいよいよ緊迫した展開を迎えました!
香織と涼介は、命を懸けて守るべき証拠を抱え、究極の選択を迫られています。署長を信じて行動を共にするのか、それとも部屋に留まって不審者と直接対峙するのか――どちらが正しい道なのかは、あなたの選択にかかっています!
コメント欄に「1」または「2」の番号を書いてください!
締切:明日朝7時まで
あなたの推薦力が、この物語の未来を導きます。どうか香織たちの運命を見届けてください!
三田村香織から読者メッセージ
読者の皆様、ここまで物語にお付き合いいただき、本当にありがとうございます。
私たちは今、絶体絶命の危機に立たされています。このデータを守ることが、真実を明らかにする唯一の手段です。しかし、どう動くべきなのか、私自身も悩んでいます。
どうか、あなたの選択で私たちを導いてください。真実の光を手にするため、あなたの力を貸してください。次回の物語でお会いしましょう!
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