名状しがたいメイドのような物語。さく裂っ、メイド殺法っ!! 

touhu・kinugosi

第1話、メイドレーザー。

 穏やかな田園風景。


 小高い丘に一人のメイドが立った。

 丸くまとめられた黒髪にホワイトプリム。


 抜けるような青空だ。


 片手で眼鏡をあげる。

 遠くの空に黒い点が見えた。


 ドラゴンである。


「いましたね」


 私は、何もない空間から笹帚ささぼうきを取り出した。


 百八あるメイド殺法さっぽうその7、”掃除道具召喚”である。


 厳しい修行をしたメイドにしか使えない上級殺法だ。

 

「ふふ」


 私は、黒い瞳を細めて、少し誇らしげに笑う。

 

 メイドにとって掃除道具はだ。


 ましてや両手で使う笹帚ささぼうきは、そう、まさに、”聖剣エクスカリバー”といっても過言ではない。


 私は、純白に染め上げられた笹帚エクスカリバーを大上段に構えた。


「燃え上がれ、メイドスピリットッ」


 笹帚エクスカリバーに金色の光が集まり始める。


「グルグアアアア」


 ドラゴンが、私から湧き出る強者の気配メイドオーラに気づいた。 

 ――これはテキだ

 翼をはばたかせながら、真正面から飛び込んでくる。

 口が大きく開いた。

 口の周りに銀色の多重魔法陣が展開。


「ブレスを吐くつもりね」

「でも遅いわ」


 私の頭上には黄金に光り輝く笹帚エクスカリバー。 


「百八あるメイド殺法さっぽうその30」




「メイドオオオオオオオオオ、レーザアアアアアアアアアアアア」




 大上段にかまえた笹箒エクスカリバーを振り下ろした。



 ドラゴンがブレスを吐く。


 しかしっ。


 黄金色のぶっとい、”メイドレーザー”がブレスをかき消しながらドラゴンへ。


「ギャアアアアアアア」


 ドラゴンが悲鳴をあげながら落ちていった。


 ズズウウウン


「ギャア、ギャアア」

 

 まだ倒せていない。

 地面でのたうち回っていた。


「メイド殺法さっぽうその16、”ハタキ二刀流”っ」

  

 私は、両手に雪のように白い、を召喚する。


 とどめを刺すべく、ドラゴンのもとに駆けよった。







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