第258話 めんどくさそー
D.P.のマイナス分が消えたことを喜ぶべきか。それ以前の問題として勝手に使い込まれたことを怒るべきか。
俺がどうしたものかと悩んでいると、
「――なんだアーク。また何かやらかしたのか?」
訳知り顔で近づいて来たのは師匠。たぶんナッちゃん(?)の気配を感じ取ったのだろう。この人も人外級の気配察知ができるからな。
いやいやまたやらかしたって。師匠じゃないんですから。怖いから口に出しては突っ込まんけど。口にさえ出さなければ問題はないのだ。
「……これは朝から走り込みだな」
「げぇ」
この人さらっと心読まなかった? 師匠ならあり得る――いやさすがにないか? でも師匠だから不思議じゃないか? うーむ、悩み所だ。
「ただ単にアークさんが分かり易いだけでは?」
うっせーぞぉラタトスク。
まぁとにかく、今何とかするべきはナッちゃん(?)だな。このまま放置しては事態がヤバい方向に進んでしまう可能性もある。ここには神格者や師匠もいるのだから覚悟を決めて確認してしまおう。
というわけで、剣を抜いて空間を切り裂いた俺。向かう先はもちろん魔の森近くの村だ。
◇
「お?」
村に到着すると大人の男数人が円陣を組んで話し合いをしていた。真剣な顔なので井戸端会議って訳じゃなさそうだな。
「おお! これは魔王様!」
え? 俺ってデフォで魔王様呼ばわりされるの?
「是非もないですね~」
けらけらと笑うラタトスクだった。他の人がいるから首刎ねはあとにしてやろう。首刎ねポイント一点加算だな。
「聞いたこともない物騒なポイントが!?」
ぎゃーすと騒ぐラタトスクは放っておいて、村人から話を聞く。
「いえ、実は……村長とサヤが騎士団のところに行ってから帰ってこないんですよ。もう暗いし、村からだと騎士団の様子も見えないし、どうしたものかと話し合いをですね」
「……あぁ、そういうことか。なら、俺がちょっと様子を見てきてやろう」
「よろしいのですか?」
「おう。俺らなら戦闘になっても逃げられるからな」
「それもそうですね。では、お願いしてもよろしいでしょうか? 謝礼につきましてはまた後ほど話し合うということで」
「ははは、そんな真面目に考えなくてもいいんだよ」
軽い調子で笑ってから俺たちは村を出て、騎士団がいるという場所に向かった。
気配は、ない。
数千とか数万の人間が留まっていれば俺でなくとも何らかの気配は感じられるものなのだが。そんなものは、一切、存在しなかった。
そして。
騎士団がいるはずの場所にある気配は、一つだけ。
この気配は……たぶんナッちゃんだな。
(面倒くさいことにならなきゃいいが……)
こういうとき、大抵面倒くさいことになるんだよな。転生してからの人生経験で学んだのだ俺は。
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