「私も同じで、それで道の真ん中近くまで歩いていってたから、さっさと逃げるべきだったんだけど、恐怖のあまりそこで身体が固まってしまったのよ」

 この猫を救うべく、病で自由のきかない身でありながら、とっさに波奈は横断歩道を渡ってきたらしい。

 車に跳ねられた彼女は、空中を40メートルも飛び、路面に頭を打ちつけたという。


「君は無事だったのかい?」

「そんなわけないよね。一緒くたよ」

「つまり?」

「今日は彼女の心残りを晴らす役目があって来たけれど、今それが果たせたし、もともと私もこの世にはいないから、もうここへは来ないかも」

「そうなのか」

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