第11話「裏切りの予感」



「あの機械屋、見つけたぞ!」


夕暮れの工場地帯。バーニング・テイルのメンバーが、ユウトを追い詰めていた。


「ついに動いたか」

ユウトは冷静に状況を見極める。

「影の商人の手先め」


「黙れ!」

リーダーが吠える。

「お前こそ、昔は影の商人と繋がりがあったはずだ!」


その言葉に、ユウトの表情が凍る。



「ユウトの奴、遅いな」

街の反対側。空とアリアが、約束の場所で待っている。


予選終了まで、残り30分。

チームは四つの結晶を確保し、予選突破は確実な状況だった。


「空」

アリアが不安そうに呟く。

「さっきから、違和感が」


「ああ」

空も頷く。

「ユウトのやつ、影の商人って言葉を聞いた時から、様子がおかしかった」


その時、アリアのカードが反応する。

「この感じ……ユウトさんが、危険な状況!」



「昔の仲間を裏切って、いい身分じゃないか」

バーニング・テイルのリーダーが詰め寄る。

「王都への切符を狙ってるらしいな」


「違う」

ユウトが否定する。

「あの頃の私は、ただの道具だった」


回想が蘇る。

幼い頃、影の商人に拾われ、機械の才能を買われた日々。

カードの改造を強いられ、多くの物語を歪めてきた過去。


「だが、もう戻らない」

ユウトの声が強さを増す。

「今の私には、本物の物語がある!」


「機械仕掛けの詩人!」


詩人が現れ、工場中の機械が共鳴を始める。

しかし――


「甘い!」


背後から放たれた炎が、ユウトを包み込む。


その時。


「紡ぎ手の戦士!」

「銀の聖鳥!」


光が闇を切り裂く。

空とアリアが駆けつけていた。


「みんな……」


「当然だろ」

空が告げる。

「俺たちは、仲間だ」


アリアも頷く。

「私たちの物語は、つながっているから」


三人のカードが、再び共鳴を始める。


「クッ、撤退だ!」

バーニング・テイルが後退する。

「覚えてろよ。影の商人は、必ずお前を取り戻しに来る!」


敵の姿が消えた後、重苦しい沈黙が流れる。


「話してくれ」

空が静かに告げる。

「お前の過去のことを」


ユウトは深いため息をつく。

「ああ、話そう。私が知る、影の商人の正体を」


大時計が、予選終了まで15分を告げていた。

真実が明かされようとする中、アリアのカードが不吉な輝きを放つ。

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