第11話「裏切りの予感」
「あの機械屋、見つけたぞ!」
夕暮れの工場地帯。バーニング・テイルのメンバーが、ユウトを追い詰めていた。
「ついに動いたか」
ユウトは冷静に状況を見極める。
「影の商人の手先め」
「黙れ!」
リーダーが吠える。
「お前こそ、昔は影の商人と繋がりがあったはずだ!」
その言葉に、ユウトの表情が凍る。
*
「ユウトの奴、遅いな」
街の反対側。空とアリアが、約束の場所で待っている。
予選終了まで、残り30分。
チームは四つの結晶を確保し、予選突破は確実な状況だった。
「空」
アリアが不安そうに呟く。
「さっきから、違和感が」
「ああ」
空も頷く。
「ユウトのやつ、影の商人って言葉を聞いた時から、様子がおかしかった」
その時、アリアのカードが反応する。
「この感じ……ユウトさんが、危険な状況!」
*
「昔の仲間を裏切って、いい身分じゃないか」
バーニング・テイルのリーダーが詰め寄る。
「王都への切符を狙ってるらしいな」
「違う」
ユウトが否定する。
「あの頃の私は、ただの道具だった」
回想が蘇る。
幼い頃、影の商人に拾われ、機械の才能を買われた日々。
カードの改造を強いられ、多くの物語を歪めてきた過去。
「だが、もう戻らない」
ユウトの声が強さを増す。
「今の私には、本物の物語がある!」
「機械仕掛けの詩人!」
詩人が現れ、工場中の機械が共鳴を始める。
しかし――
「甘い!」
背後から放たれた炎が、ユウトを包み込む。
その時。
「紡ぎ手の戦士!」
「銀の聖鳥!」
光が闇を切り裂く。
空とアリアが駆けつけていた。
「みんな……」
「当然だろ」
空が告げる。
「俺たちは、仲間だ」
アリアも頷く。
「私たちの物語は、つながっているから」
三人のカードが、再び共鳴を始める。
「クッ、撤退だ!」
バーニング・テイルが後退する。
「覚えてろよ。影の商人は、必ずお前を取り戻しに来る!」
敵の姿が消えた後、重苦しい沈黙が流れる。
「話してくれ」
空が静かに告げる。
「お前の過去のことを」
ユウトは深いため息をつく。
「ああ、話そう。私が知る、影の商人の正体を」
大時計が、予選終了まで15分を告げていた。
真実が明かされようとする中、アリアのカードが不吉な輝きを放つ。
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