第15話 次の街へ
辺りが暗くなろうとも四人の足は止まらず、暗い夜道をひたすら歩いている。
「も、寝ようよー!」
「んー、まぁ確かにそろそろ寝な。」
適当な場所にテントを建て、三人は眠りに入った。
そのころソリテールは寝ている三人の代わりに見張りをする。
焚き火の音に聞き耳を立てながら夜空で輝いている星々を眺める。
久々に人とこうしてどこかへ行くことは何年ぶりだろうか。昔の記憶に浸りながら、ただ呆然と朝日が顔を出すのを待つ。
「ねぇ、ほんとに平気なの?」
「え?」
その頃、テントの中ではまだ眠れていないエルドとスペスが暇を持て余すため話している。
フルメンのことだったり、初代大地の神の事だったり、現世に戻れるか…色んなことを話あった。その都度不安が積もる。
フルメンは今大丈夫だろうか、大地の神の話をすることで何か大変なことが起こらないか、この世界で死んでしまったら、生き返ることは出来るのか…。
「ソリテールに出会った以上、私達は死と隣り合わせ…現世に戻りたいならソリテールとはお別れするか、それとも、ついて行くか。」
「……。」
今更そんなことを言われても、エルドの決意はもう決まっている。これはここに自分という存在がある以上揺るがない。
「俺は、何があろうとソリテールを守るよ。」
「...なら、私も着いてく。」
「そうしてくれw」
一人で大人の男をコテンパンにしたスペスがいてくれるだけで戦力は上がる。安心する。
「僕もついて行きますよ。」
「え!?」
「起きてたんかい!」
「ずっと起きてましたよ。」
ソーレが起きていることに気が付かなかったエルドは驚きスペスはツッコミを入れる。
「ちょっとあの人怖いけど…何か、放っておけないっていうか…。なんとしてでも守らないとって思って…。」
「あー、確かに…。」
「まぁ、数十年間も愛と戦の神に命狙われてるんでしょ?そりゃ心細いだろうし、泣いちゃう日だってあるんじゃない?」
スペスの言葉にそれはそうかと納得するエルドとソーレ。
今日はもう夜遅いからと話をやめ、三人は目を閉じ意識を手放す。
カンカンカンカンッ!
「起きろー!」
「うるせー!!!」
金属がぶつかり合う音とソリテールの声で起こされ、最悪な目覚めに苛立つ。
隣を見ると二人もまだ寝てたみたいでエルドと同じく最悪な目覚めに顔を顰めソリテールを睨む。
「そんな目で見るなよ、もう八時だぞ?」
「まだ寝かせろよ…。」
「いや充分寝ただろ。本当だったら六時に起きて欲しかったんだから。」
「早く出てきな。」そう言い残しテントから出ていく。ソリテールが出ていったところを睨み、昨日あんなに心配してた自分達が馬鹿らしく思い呆れたような息を吐く。
「今日は目的の場所である
「ルミナス?」
初めて聞く言葉に疑問を浮かべる。
ソリテールの説明を聞く限り、ルミナスとは光の街と言われており、光の天使が存在するらしい。
「この世界、神だけじゃなく天使もいるんだ!」と、心を弾ませるスペス。
「天使…大丈夫なのかな。」と、ソリテールをちらっと見ながら心配するソーレ。
エルドは耳を傾けるだけでご飯を無我夢中で貪り食っている。
「まぁ、敵はいるし味方もいるって感じかな?光の天使は敵だけど。」
「却下。」
「いやいや!あそこ行こうよ!めっっっちゃ景色綺麗よ!」
「何処にあるん?」と、満腹になったエルドが問う。
「ちょっと山のところ。でも、ここからは結構近いよ?」
「あそこの山」と後ろを振り返り少し奥にある山を指さす。
見た感じ距離があり、街がある感じは無い。
「…却下。」
「やだ!!!行くの!!!」
「ダメ!危ないでしょ!」
「やだやだやだ!行くのー!!!」
子供のように駄々を捏ね始めた自分達より遥かに歳上なソリテールを冷酷な目で見つめる。
情けない、みっともない、大人気ない。そんな言葉が三人の脳裏に浮かぶ。
そこ以外に近い街はないか地図を見る見るが、全くない。あるのはルミナスだけ。
その時、おや?となにやら不思議なものに気が付く。
「なぁ、この色の着いた点ってなんだ?」
「え?点?」
何言ってんだと言わんばかりの顔で、見せてと言いエルドから地図を受け取る。
「…これ、もしかしてだけどディニテから貰った?」
「あ、やっぱり知り合いなんだ。」
「まぁ、あいつエルフだし。」
そういやそうだと思いながら点のことについて聞く。
「この点は俺らを表してる。この緑が俺。」
と言い三人に地図を見せながら緑色の点を指す。
「これはディニテの魔法
「マルク…。」
「あいつ、俺と同い年と言ってもいいほど長生きしてるからさ、知らない魔法なんてない。“生きる魔導書”なんて呼ばれてるよw」
あの面白可笑しい変質エルフが生きる魔道書と呼ばれるぐらいの魔法を知っているとは…少しだけ感心する。
「んー…まぁ、髪色からして俺は赤か。」
ソリテールから地図を受け取り残りの三種の点を見ながら言う。
「私は…水色かな?」
「僕は黄色?あれ?この紫は…。」
少し離れたところにある紫色の点を見つけた。これは四つの点とは違いルミナスの方へ向かい動いている。
「え?これフルメンじゃない?」
「こんなあっさり分かるとは…。」
面白くなくてガッカリするが、手間が省けたことは確かだ。
フルメンが地図を使っているかは分からないが、ルミナスの方へ向かっているのなら自分たちもそこへ向かい意地でもフルメンを仲間にしようと決めた。
朝食を食べ終え、四人はテントなどを片付け目的の場所であるルミナスへと向かう。
だが遠い…一日では着かなそうだ。
「いや、別にそんなことないよ?」
「え?どゆこと?」
「この近くにルミナス行きの列車があってね。今からそれに乗ってルミナス駅まで行きます!」
「よっしゃー!!!」
ソリテールの言葉で三人は喜ぶ。疲れる必要が無いんだ!
「あ、確かにフルメンの点が早くなってる!」
「時間的にも出発してるんだよ。さ、早く行こう!早くしないと乗れなくなっちゃうしね!」
そうとなれば、フルメンと合流も兼ねてルミナスへ向かう。
「ところで、ルミナスでは何するの?」
「え?」
「あんな駄々こねてたんだから、何かしらの理由はあるでしょ?」
突然の問いかけに少し迷ったようなしぐさをするが、すぐに理由を教えてくれた。
「実は、昨日嫌な予感がしたんよ。」
「嫌な予感?」
「うん、なんか…何かが目覚めたような感じ。」
話を聞いてて全く理解は出来なかったが、遺跡の奥に封印されていた悪魔が目を覚ました。
しかもそれが光の街ルミナスで感じると。
まぁそんな感じだ。
「早く何とかしないと街が崩壊する。」
「悪魔か…森で戦った悪魔たちより強い?」
「そりゃ、封印されてたんだからそうやろ。」
「はぁ…。」
またあの地獄を味わうのかと思うと少しだけ行く気が失せる。あの時はフルメンがいたからいいとして、今回は協力してくれるかさえ怪しい…。
「…着いてから考えるか。」
「なんか言った?」
「いや、なんでもない。」
こうなるならもっと特訓しとけばよかった…そう思うエルドであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます