第10話 悪魔退治
大地の神ソリテールの無茶振りに付き合わされ一行は悪魔が群れている森トートへ訪れた。
話の発端は武器を未だ使っていない三人にじゃあ武器慣れ次いでに悪魔退治しに行こうとなった。次いで程度に来るところではないため、ソリテールなりの考えでもあるのかと思っていたが、いや、この神に限ってないと後々気づいた。
「ほ、本当に…行くの?」
「辞めとこうぜ?」
「ビビってんのかよ。」
「魔物の奇声で鼓膜破れた奴が言うなよ!」
「お前らと違って耳が良いんだよ。」
「なんか、あんたらが喧嘩するだけで安心する。」
「え?嘘でしょ?」
とても信じ難い目でスペスを見るソーレだが、確かに、少しだけ緊張が解れる。
「ほら、早く来いよー!」
いつの間にか既に森の中に入っていたソリテールに一同ドン引きする。
森の中に入ると昼なのになんでこんなに暗いんだと最初に疑問が湧く。次に腐った鉄の匂いが鼻を刺激し、その次には所々傷だらけになっている木々に気がつく。
ここがやばい所だと改めて思い知る。
「鼻が…鼻が…ちぬ。」
「臭い〜。」
「…。」
四人が異臭に鼻を刺激されている中、ソリテールは無傷だ。
「何でお前だけ無害なんだよ!」
「もう慣れちゃってんの!」
次はそこが喧嘩するのかとまたもや呆れるスペス。
今のところ悪魔は一体も見ていないため気を抜いてもいいとは思うが、流石に武器だけは構えておこうと空間魔法で杖を出す。この空間魔法が結構便利で野菜や鍋もこの謎空間に入れている。あの変な神には感謝しかない。
「…。」
「…ん?どしたん?」
歩いていると広い空間に出た。よく漫画やアニメなどであるあの謎空間に。
そこに出ると突然、今まで先頭を歩いていたソリテールが足を止めた。
「…囲まれてる。」
「…はぁ!?」
そう言われ辺りを見渡す。木々から小さな光が見えるがあれは恐らく悪魔の目だろう。
猫みたいに光るんだなと現実逃避をするエルドに対し、他の皆は武器を構える。
慌ててエルドも腰に着けていた鞘から剣を取り出す。
「…!」
エルドの剣のデザインに気づき驚いた表情を浮かべるが、すぐに隠した。
周りにいる悪魔。何体いるのか分からない。勝てるかも分からない。
互いに睨めっこしていると痺れを切らした一体の悪魔が勢いよくソーレの所へ向かってきた。
「うぇ!?」
武器が弓のソーレは弦を引くのに遅れた。
ぐちゃっ
「…え?」
突如、目の前が紫になった。
突然の事で理解するのに遅れたが、これは先程の悪魔から出ている。
「ぐ、グロ…。」
先程の様子を見ていたエルドとスペスが引いた目で悪魔を見る。
周りにいた悪魔は先程の出来事に恐怖によりざわつき始める。
一体何があったのか。一行も理解できない。
「ソーレくんに…触るな。」
「え?」
ソリテールがそう告げた。
そして皆、これはソリテールの仕業だと気づいた。
そして思った。
こいつ強くね?
ノールックでソーレの所に悪魔が襲って来ていることを察知し素早く魔法を出す。
素人には当然できないことだ。
「…あいつ、神じゃねぇか?」
一匹の悪魔がソリテールの存在に気づき始めた。
「それなら首を取っちまおう。」
「あの方々から褒美が貰える。」
「次いでにあの女を食っちまおう。」
ぞろぞろと悪魔が木から出てくる。
その姿は人のように二足歩行だが、頭がでかかったり、なかったり、動物の頭をしていたりと色々と種類があった。
そんな悪魔を見てスペスは小さく悲鳴をあげる。
「お前ら、戦闘態勢!」
ソリテールが指揮をとり、皆それぞれ身構える。
お互い睨み合う。
すると、また痺れを切らした悪魔がこちらを襲ってくる。
こんどは一人ではなく全員で。
すかさずエルドは自身の武器で悪魔を切り裂く。
初めての感覚に戸惑うが、直ぐにまた悪魔が来るためそんな事に頭を使う余裕はなかった。
スペスもディニテから教えてもらった魔法を頭の中で唱えながら悪魔に放つ。
ソーレは少し距離を取りながら矢を放つ。意外にもその矢は悪魔に当たり、才能あるのではと浮かれる。
フルメンはなにも心配なく武器を軽々と振り回し、魔法も使っている。その魔法は被害が大きく、たまにエルドに当たりそうになる。もちろんわざと。
一方、先程指揮を執っていたソリテールはというと、木の上に登り皆の様子を伺っている。
「お前も戦えよ!」
「嫌だよ、俺こいつらに命狙われてるしー?」
といい瞳をうるつかせるがキモイとしか感想が出てこない。
バリバリと音が響くと悪魔が悲鳴をあげる。
それにまたフルメンはまた耳を痛める。
「鼓膜弱すぎ。」
「ッうるせぇ!」
怒りに任せ、フルメンは自身が今出せる最大の魔法を使い雷を降らせる。
「え?」
「あ…。」
雷が悪魔に当たり全て倒せたが、この空間一帯が真っ黒になってしまった。
すかさずソリテールが四人にシールドを貼ったお陰で当たることは無かったが、森は悪魔の残骸と雷の後で滅茶苦茶になってしまった。
「あーあ、やり過ぎだよ?」
木から降りてきたソリテールがそう言うが、フルメンはそんなソリテールを睨む。
「うるせぇ。お前ほんと何様だよ。」
「神様だよ。」
「神なんか存在しない!」
「はぁ?どしたんいきなり。」
「俺は、お前を助けるためなんかにここに来たわけじゃない!」
「ッ…。」
フルメンの言葉に顔を顰めるソリテールをエルドは見逃さなかった。
「神が命狙われてるから助けてやれ?そんなの知るか!勝手に死んどけ!」
「ちょっと、それは流石に言い過ぎ!」
スペスが間に入って止めるが、それでもフルメンは止まらなかった。
「俺は、お前なんかに時間を使っていたくない。自分の道を行く。」
そう言い残すとどこかへ行ってしまった。
「ちょ!」
「エルド、いいよ。」
「え?」
フルメンを呼び止めようとするエルドだが、ソリテールに止められてしまった。
「フルメンの言う通り、人は直ぐに死んじゃう。だから、神に時間を使っている暇なんて無い。フルメンの言ってることは正しいんだよ。」
ソリテールの言葉にいたたまれなくなったが、確かにその通りだ。
人の寿命は神にとっては短い。もしかしたら病気や事故で死んでしまう可能性だってある。それなら、この短い人生を神ではなく自分のために使うのが正しい。
それでも、エルドは何処か引っかかるものがあった。そもそも現実世界の自分達は生きているのか?現実世界に戻れたとしてもまた引きこもりに戻る。それならここにいた方がいいなと思ったが、もし死んでいなかったら親を子なしにしてしまう。戻る方法を探そう。そしていつか親孝行をしよう。そう決意した。
「…さ、ここで立ち話もあれだし、早くこの森出ちゃおっか!」
「そう、だね!」
「今何時だろ?この世界に時計はあるかな?」
「時計?」
「いや、なんでもないです。」
時計の説明がめんどくさかったのか、ソーレはそれ以上は何も言わなかった。
自分達がこの森に入った時はまだ明るかったが、今はどうだろう。もう夕方になってしまったか…。
「ここから街も遠いし、あそこなら近いから行くか!」
「あそこ?」
「俺の秘密基地。」
そう言って人差し指を口元に持っていき内緒のジェスチャーをする。
ずっと思っていたが、この神凄く性格がチャラい。陽キャだ。スペスも陽キャ。
フルメンが恋しくなる。いや、あんな奴と仲良くしたくないと思うエルドであった。
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