第15話 怒りのコウシン

 お館さまはこのコウシンがお嫌いみたいだ。


 私がいったいお館さまになにをしたと言うのだろうか……分からない、ホントに分からない。


 私はいつも頭の中心には、お館さまのことを置いて物事を考えて居るつもりだ。


 しかし、昨日のお館さまの言いようを聞くと、どうやらこのコウシンのことがお気に召されないように感じてしまったのだが、勘違いだろうか?


 このコウシンの誠心誠意が伝わって無いのだろうか?


 私は何があろうと、お館さまに弓引くはずはないのに……どんなことがあろうと。


 あの勇者の件だろうか?


 チンコロとか言っていたけど、どう言う意味なんだろう? 分からない。


 私はあの勇者に酒場で、聞かれたコトに親切に教えてあげただけなのに。


 教えてあげた人間がたまたま勇者であっただけで、私が話したのは重要なことは何一つ言ってない。


 それをチンコロ(意味はわかってます)だなんて酷すぎるではないか。


 それもみんなの前で恥をかかされた。


 まるでこのコウシンが、チンコロをしたみたいではないか。


 あの勇者だってそうだ、私が機密事項を親切にコッソリ教えてあげただけではないか?


 感謝こそされても、悪口を言われる筋合いはない。


 それをチンコロなどと。


「ええい、ジュリー」


「はい」


「チンコロの意味を教えて」


「はいチンコロとは、やくざや裏社会で密告を意味する隠語です」


 ええい良く分からん(ホントは分かってる)


「オッケーグルグル」


「はい」


「チ・ン・コ・ロ」


「犯罪密告者。 犯罪を密告する人のことをいう」


 ほらみろ、と言ってるではないか。


 これで安心した。


 百歩譲ってもは認めても(認めるんだ)犯罪密告だと……笑止。


 犯罪密告などした覚えはない。


 それをよりによってチンコロとは、お館(呼び捨て)もあんまりだ。


 私は、しては居ないことをやはり認めるコトは断じて出来ない。


 グルグルがウソをつくわけがない。


 ジュリーはダメだな、ウソが多い。


 チンコロだなどと、人をバカにしやがって。


 このコウシン、神に誓ってそのようなこと(犯罪密告のこと)をした覚えなどない。


 いや、違う。


 お館さまは利用されただけだ……


 悪いのは、あの勇者ペコとか言う奴だ、きっとそうだ、そうに違いない。


 最後はお館さまも、私を軍師としてついて来いと仰ってたではないか。


 あの勇者、私を貶め入れて軍師の座に座りたいのか?


 ははぁ〜ん、そう言うことね。(勘違い野郎はこうやって逆恨みをして行くの例)


 ペコよ、相手が悪かったな……他の奴なら騙せても、このコウシンがその手に乗ると思うのか、笑止。


 危うくお館さまを裏切る所であった。(裏切るつもりだったんだ)


 どうしてくれようか? ペコよ。


 お館さまにチンコロしやがって、クソ(結局は自分の非は理解している)


 このコウシン的に回したらどうなるか、分からせてやるしかないんだな。


 目には目を、歯には歯を、チンコロにはチンコロをだ。


 待っておれペコよ。


 何かお前の弱みをあら探しして、ビックチンコロを誰かに言ってやる。(意味が解らずとても弱いが、多分悪い噂を流すとの意味)


 弱みがなければ作るまでよ、ふふふ。


 このコウシンを的に回したコト、後悔するがよい。


 このコウシン行くとこまで行ってやろうではないか。(言う事は大きいがやる事は小さい)


 さてと、弱みを探すのが面倒なので初めからでっち上げようか……


 コウシンは顎に手をやって暫く黙っていた。


 どうするか、痴漢系で行くか、露出系で行くか、それとも覗き系で行くか……(全部エロ系だ)


 どれをぶっ込んでやろうか、迷うな。


 とりあえず全部行っとくか? 痴漢の後で覗きをして、その道中は常に露出で行こう。


 そうと決まれば忙しい、早速ニセ被害者とニセ目撃者を用意しなくては……


 個人的に抱えてる政府のエスどもを総動員するぜ。


 ジュリー、政府エスに電話かけて。


 ココからのコウシンの動きは速かった、あっと言う間に目撃証言やら被害届をソッコー作成。


 ついでにパンティ泥棒被害届まで追加した。


 そのあしで、コウシン自身で裁判所へ出向き、逮捕状の請求、申請またその足で検察へと提出する。


 だいたい、この一連の作業は警察の仕事だが、コウシンは慣れている、きっと何度もやっているのだろう。(コエ〜)


 警察で逮捕の日を聞いて、早速その日を指定する為にマスコミに連絡だ。


「もしもし、政府関係者情報ですが、実は勇者ペコがですね、◯月◯日に逮捕予定でして……」


 よし、これで準備満タンだ。


 後は当日までに、勇者ペコの部屋へ証拠のパンティを仕込みに行かなくては。


 それが最後の仕上げだな、ふふふ。


 よし、そうと決まれば今から仕込みに行こう、レッツゴー。(メッチャ動きがはえ〜)


 コウシンは車で勇者ペコが住まうホテルに行く途中の幹線道路で職質に会って居た。


「名前は?」


「我が名はコウシン、職業は王国政府軍の軍師である」


「なんだ、本当か? 身分証」


「キサマの階級は巡査長ではないか、キサマのようなまだぺーぺーに我を取り調べる権限があろうか」


「この車も政府のものだ、ナンバーを紹介かけて見よ、すべて判るだろう」


「はっ、申し訳ございません軍師殿、一応念の為 紹介をかけても宜しいでしょうか、と巡査は最敬礼をしてコウシンにあたった」


「宜しい、君の態度はタダの職務熱心と捉えてよいのかな、それともこのコウシンが怪しいとでも?」


「はっ、いえ職務に忠実だからであります」


「ふふふ、結構、結構、若さゆえの過ちという事で私個人の胸の内にしまっておこう」


「巡査長、車の後部座席にパンティのようなものがありますが」


「なに?パンティが? それは大変だ、巡査、証拠写真を撮って本部に連絡だ」


「軍師殿、これは一体どう言うコトですかね?」


「無礼者、それは私がはくパンティだ」


「なんと? 軍師殿はパンティをお召になりますか」


「私がはかずして誰がはく、え、言ってみろ」


「ぶ、無礼を申し訳ありません」


「これは趣味の問題だ、私はパンティをはくのが好きなのだ」


「申し訳ありません」


「お前たちの階級と名前を教えろ、僻地へと飛ばしてやる、若さゆえ……が大きくついたな」


「軍師殿、それだけは勘弁……」


「ならぬ! キサマは私の心を踏みにじったのだ」


「そんなコトありません、軍師殿そんなことは……」


「なにを今更」


「そんなぁ、何でもしますかは、僻地だけは」


「ふん、ホントになんでもするのか?」


「します、是非やらせてください」


「それは、法に触れる行為でもか?」


「え、……」


「分かった、階級と名を言え」


「やります、悪いコトでも何でもやります」


「ほう、威勢が良いではないか、頼もしいぞ」


「ありがとうございます、軍師様」


「分かった後で指示をだす、もう行くが良い」


「失礼します」


 コウシンは悪い顔でニヤついている。


 どうだ、これでまたエスがまたふえたぞ。


 それも警察官のエスはなかなか手に入らない。


 我が名はコウシン、ピンチをチャンスに変える男だ。


 速くホテルへ行かなくては、モタモタしていると運が逃げて行く……

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