第六章:闇の正体
激しい戦いの末、ルミナたちは何とか闇の軍団を撃退することに成功した。しかし、四季宮の一部は大きな被害を受け、多くの魔法使いたちが負傷した。
戦いの後、ガイアス賢者が緊急会議を招集した。四季国の主要な魔法使いたちが集まる中、ルミナは初めてその場に参加することになった。
「諸君」ガイアスが重々しい声で語り始めた。「今回の襲撃は、我々の予想を遥かに超える規模だった。ヴァレンスの力が急速に増大していることは明らかだ」
シリウスが口を開いた。「奴の目的は明確だ。春の花冠を奪い、四季国全体を闇に染めようとしている」
その言葉に、全員の視線がルミナに集中した。彼女は身を縮めそうになったが、必死に気を取り直す。
「私...私に何ができるでしょうか?」ルミナは震える声で尋ねた。
ガイアスは優しく微笑んだ。「君の力は、まだ完全には目覚めていない。しかし、それはヴァレンスを打ち倒す唯一の希望なのだ」
セリアが突然立ち上がった。「私には...予知夢を見ました」彼女の声は震えていた。「ヴァレンスの真の目的は、単に四季国を支配することではありません。彼は...世界そのものを闇の次元と融合させようとしているのです」
会場に衝撃が走る。シリウスの表情が一瞬崩れた。
「そんな...」ルミナは言葉を失った。
ガイアスは深刻な表情で頷いた。「その通りだ。我々は今、世界の存亡をかけた戦いに直面している」
シリウスが立ち上がり、ルミナに向き直った。「ルミナ。お前の力を完全に目覚めさせるには、春と冬の力を融合させる必要がある。だが、それは古来より禁じられてきたことだ」
ルミナは驚いて目を見開いた。「禁じられてきた...?それはどういう意味ですか?」
ガイアスが説明を始めた。「春と冬は、相反する力だ。その融合は、自然の摂理を乱す危険性がある。だが今、我々にはその危険を冒す以外に選択肢はない」
シリウスはルミナの目をまっすぐ見つめた。「お前との力の融合...それは私にとっても大きな賭けだ。だが、世界を救うためなら、私はその覚悟がある」
ルミナは深く息を吸い込んだ。彼女の中で、不安と決意が交錯する。しかし、シリウスの真剣な眼差しに、彼女は自分の答えを見出した。
「分かりました。私も...覚悟を決めます」
その瞬間、ルミナの胸元の花冠とシリウスの氷の結晶が共鳴するように輝き始めた。二人の間に、春の暖かさと冬の冷たさが混ざり合う不思議な空気が流れる。
セリアは複雑な表情でその様子を見つめていた。彼女の心の中で、嫉妬と友情、そして使命感が激しくぶつかり合う。
ガイアスは厳かな声で宣言した。「よろしい。これより我々は、ヴァレンスとの決戦に向けて準備を始める。全ての季節の力を結集し、世界の存続をかけた戦いに挑むのだ」
会議室は緊張感に包まれた。ルミナは自分の肩にのしかかる重圧を感じながらも、仲間たちの存在に勇気づけられた。彼女は知っていた。この戦い、そしてシリウスとの力の融合が、自分自身と世界の運命を決定づけることを。
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