恐怖! 機動隊員による浴場洗礼

 そして個人的にいちを争う恐怖エピソードを。

 旦那さんが入学してすぐの時の話です。


 一日の教練(授業)・体練(走ったり、柔道やったりといった自主トレ)が終わると、夕ご飯から夜の点呼までの約二時間のあいだ、ようやく自由時間が来ます。初任科生は、その間に入浴を済まさねばなりません。

 なお入浴は、初めのころ頃はシャワーのみ数分で済ませねばならず、前の人が卒業して先輩になるにつれお風呂の時間が伸びるそう。なので、入学したての旦那さんも浴場に急いだわけですが――そこで待ち構えていたのが全裸の機動隊員数名。瞬く間に四方を囲まれ、「ガンダム好きか」と詰められたそうです。

 ■■■県警の上下関係は階級でなく拝命年がものを言います。つまり先輩が白だと言えば黒いものでも白と言わなきゃいけない世界。なので答えは当然一択で、旦那さんは全裸直立不動で「はい、好きです!」と浴場に響き渡る大声で返事をするわけですよ。

 そこで解放されると思いきや、機動隊員らはなんと「証拠を見せろ」と。

 いや、証拠もなにもって話なのですが、そこで旦那さんにまさかの奇跡が……! 持っていたジッポが、偶然にも百式のデザインだったのです(※百式…ガンダムシリーズに登場する人型ロボット兵器のひとつ)。

「行ってよし」

 神がかり的な奇跡の偶然で命を取られずにすんだ旦那さん。ガンダム好きが実生活で役に立った稀有けうな事例ですね。

 証明できなかった他の初任科生がどうなったのかはわからないそうです。なにせ数分で浴場から出ねばならないので……。


 こんな毎日ですが、個人を標的としたしごきやいじめ等はいっさいないですよ!

 というか、ありえません。すべては警察官育成という組織目的に基づいたメンタル蹂躙なので。初任科の先輩とのかかわりもほとんどなかったそうです。

 そして今気づいたんですけど、もしかしてこの機動隊員ガンダム事件もただの恐怖談話でなく、初任科生のメンタル強化のために、計画的に特別配備された機動隊員による訓練の一環だったのかもしれません。


 初っ端からそんな状況に身を置かれながらも。人間というのは不思議なものでどんな状況でも適応するものらしく、初任科生は皆、なんだかんだ警察学校生活に慣れていくのでした。


 さてヒトコワ系の話はこのくらいにして、いよいよ旦那さんが体験した心霊体験のお話です。上記のような日々の中で起こった出来事なんだなぁと思っていただければ……。

 では、はじまりはじまり~。

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