生まれ変わったらブラック企業の社長になっていた件 〜チート経営力で魔族も働き方改革!〜』

ソコニ

第1話「社長に転生!?」



「佐藤さん、今日も残業お願いします!」

「はい...」


眼鏡の奥の目が死んでいる佐藤圭介(28歳)は、今日も元気なく頷いた。残業100時間は当たり前。休みは月に2日。いわゆるブラック企業の鑑のような会社で、彼は5年目の平凡なサラリーマンだった。


その日も、夜遅くまでパソコンに向かっていた圭介の視界が、突然ぐにゃりと歪んだ。


「あれ...?」


机に突っ伏したまま、圭介の意識は闇の中へと落ちていった。


* * *


「社長様、おはようございます!」


「んん...」


豪華な天蓋付きベッドの中で目覚めた圭介は、違和感を覚えた。周りには見たことのない華やかな調度品。窓からは見知らぬ街並みが見える。


「社長様、今日も24時間勤務、張り切っていきましょう!」


ベッドの横には、尻尾の生えた獣人の執事と、角の生えた小悪魔メイドが立っている。


「はぁ!?」


圭介は飛び上がった。鏡を見ると、そこには見知らぬ若い男の顔。どうやら、彼は異世界の大企業の社長として転生したらしい。


「本日の予定です」

小悪魔メイドが差し出した予定表には、魔法文字で「8:00 魔力会計監査」「12:00 ドラゴン取引先との商談」「15:00 精霊労働組合との団体交渉」などと書かれている。


「えっと...」


困惑する圭介の前で、執事が深々と頭を下げた。


「御社『ファンタジア・ブラック産業』の発展のため、社長様には本日も全力で経営にあたっていただきます」


「ファンタジア・ブラック...産業!?」


前世でブラック企業に勤めていた圭介は、今度はブラック企業の社長として転生してしまったようだ。


「まずは朝の全体朝礼からです。社員一同、屋上で待機しております」


「全体朝礼? ちょっと待って...」


そう言う間もなく、執事と小悪魔メイドに両脇を抱えられ、圭介は豪華な社長室へと連れて行かれた。机の上には積み上げられた書類の山。窓の外では、空飛ぶ箒に乗った社員たちが忙しなく行き交っている。


「これは...まさか...」


圭介の新しい人生が、今始まろうとしていた。


「ちょっと待ってよ!せめて研修期間とか...」


しかし彼の声は、早くも次の予定に急かす執事たちの声にかき消されていった。

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