モノゴトコドモ
COOLKID
タンサン
俺には見える。俺の目付きの悪い目にはハッキリと見えるのだ。
他の人には全く見えない。見えてる俺自身にも何なのか分からない。
コイツラの姿が。
(しゅあわわわ…)
自室のベッドで寝転びながらスマホをいじっていた俺は、ふと隣に立てかけておいたペットボトルを見る。
そこには…いるいる。ラベルを外したからよく見える。ペットボトルの中に、何十人といる、ち〜さなガキどもが。
グレープ色の服を着た、ナニカ。もれなく全員コッチ向いてる。キラキラした目を、こちらに向けている。
(シュワワワワワッ!)
気付いたッ!って感じで反応すんなよお前ら。体震わすな。炭酸が飛んじゃうだろぅ。
(しゃわわ…)
今度は露骨にテンション下がるなよ〜…何?俺の心の中見透かしてんのか?うるっせ〜な〜みたいな。一体どういうこっちゃ。
とりあえず弱まると不味くなっちゃうから、なんかこう、普段通り(?)に頼むわ。
(しゅわ〜♪)
…ほんとなんなんコイツラ?やたらと感情表現するな?
しかもなんだかんだ意思疎通出来てね?今初めてやったけど、しっかり伝わってるっぽいぞ?
その証拠にほら。さっきまで一人二人しかいなかったガキ共が、また数十人ぐらい下から生まれて、湧き上がって、消えていく。
まぁ喉乾いたし、そろそろ鑑賞タイムは終わりにして、飲むか。
(しゅああああわわあわあわ!!!)
ああもう!!ぎゃあぎゃあとうるさいなぁ!飲みにくいわっ!!!いつもいつも!!!!
端から見たら、俺が幼気な少年少女共を炭酸ジュースの中に入れて腹ん中にブチ込もうとしてる絵面にしか見えねぇんだわ!!正直ウゼェんだわ!!
でも俺は飲んでやるからな!!ガチャでタコ負けした腹いせじゃあ!!!
グビグビグビィィィ!!!
(しゅあわアアアアアアア!!)
俺には見える。幻覚かどうかすら分からない。でも見えるんだ。
身の回りのちょっとしたモノに潜む、小さな小さな子供達が。
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