第39話 責任
「・・・えっ?ルイナさん?今話の中で結婚とか言って無かった?」
「ふふ、些細な事ですよ、あなた。」
「ルイナさん!」
「大丈夫です、形だけですから、それに貴族相手にクウガ侯爵家の名前を好きに使えるのは大きいですよ。」
「いやいや、まさか受勲式を断ったせいでルイナさんが俺と結婚させられるなんて!」
「責任を感じています?」
「そりゃ勿論!」
「なら責任を取ってください。」
「そりゃ責任・・・あれ?」
女性から責任と言われれば結婚がチラつくが結婚をした事の責任を取って結婚?
俺の頭は困惑している。
「カズキさん、幸せな家庭を作りましょうね♪」
ルイナは笑顔で俺を見ている。
「ルイナさんは聖女と呼ばれるぐらい頑張って実績を上げているんでしょ?
俺なんかと結婚しているなんて汚点ですよね、離縁でもいいんですけど、それだとルイナさんを傷つける事になるのかな、あーどうすれば、そうだマイヤーに確認しよう、いい手があるに違いない。」
「聖女と言われているのは清廉なカズキさんの名を汚さないように頑張った結果です、知ってますか、カズキさんの魔法式で治癒魔法を使うと効果が上がるんです。
だからこそ私はカズキさんの治癒魔法は神殿に負けていないと証明する為に皆さんに治癒魔法を使っていたのです。」
笑顔のルイナが俺の逃げ道を塞いでくる。
「ちょっと待って、少し考えるから・・・」
「二人で考えます、明るい家族計画ですから。」
「ルイナさん!」
「そうですよ、カズキさんはお貴族様とは縁が無いんです、今日から此処に住んで私と一緒に暮らすんです。」
話を聞いていたサクラがルイナに声を掛ける、表情は笑顔なのだが何処か怖い物がある。
「あら?私は主人の夜遊びには寛大なつもりですが、主人が住むのは妻の家だとわかりませんか?」
「ふふ、認知されていないのに妻の顔をするなんて聖女と言われていても可哀想なものですね。」
「あら?書類というものは案外重い物なんですよ。
それにカズキさんのサインもちゃんと貰いましたから。」
「ふふ・・・」
「ふふ・・・」
サクラとルイナの二人は笑顔なのだが何処か火花が飛んでいるように感じる。
「カズキの兄貴、鍛冶屋から連絡が・・・」
「ルーカス!客が来てるんだな!すぐに会わないとな!」
俺は助けに船と二人の圧に満ちた部屋から逃げ出すのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます