余命宣告され学校でいじめられてる美少女を助けたら、懐かれた
長濱こうき(元作家を目指す浪人生)
第1話
俺は何となく胃が痛いのを感じていたので、胃薬をもらおうと、病院に向かった。そこで診察を受けた後、俺は今好きなアイドルのゲームをして、呼ばれるのを待っている。
「四条さん1番へどうぞ」
呼ばれたので、診察室に入ることにした。そこにいたお医者さんは険しい表情をしている。俺の体に異変を見つけたんだろうか?まぁあったところで何となく受け入れるような気もしたが。
俺は椅子に座ると、お医者さんは重苦しい感じに口を開いた。
「四条さんあなたは癌です。余命一年です」
ああ、癌か。だからこんなに険しそうで、どうにもならなくて、悔しいという表情をしていたのか。こんな俺にも自分じゃどうにもならないから悔しいという顔をするくらいだから、いい人なんだろうな。きっと患者さんからの信頼も厚いんだろう。
俺は驚きはしたが、ショックは受けなかった。人生に希望を見いだしていなかったからだ。陰キャだし、特別親しい人もいない。このままなにも楽しいことがなく普通に就職して、普通に独身で、寂しく生きていくんだろうと思っていたからな。親からも期待をされてなく、妹ばっかしを可愛がっている。確かに妹は社交的で美少女で勉強もできる。非の打ち所がない。こんな俺にも懐いてくれるしな。
「そうですか。それなら、自宅療養にさせてください」
するとお医者さんは驚いた表情をする。みんなショックを受けて、取り乱すのになんでそんなに冷静なんだと。
「俺は人生に希望がなかったので、これも運命なんだろうと受け入れられるんです。別に俺が死んだところで、誰も悲しむ人とかいませんしね」
この場に親がいないのが物語っている。一応親にも連絡をいれたらしいが、忙しいから無理だと断られたらしい。別にそんな親に大して悲しいといった感情はない。
「そうですか、それなら自宅療養にしておきます。なにかあったら病院に来てください」
お医者さんは哀しそうな顔をして言った。本当にこの人はいい人なんだろう。俺は分かりましたと言うと、病院を出た。一応痛み止めとかはもらった。痛みで学校を早退とか色々と邪知をされかねないしな。まぁ別に悲しむ人もいないんだが。
ちなみに俺は今一人暮らしである。妹が俺に懐きすぎで、嫉妬をした親に高校入学と共に家を追い出された。まぁ家賃は払ってくれるから、文句はないが。それにバイトをしなくても、小説の印税でやっていけるし。それに唯一俺がなにも考えないで過ごせる空間だから、心地がいい。
「それにしても癌ね。これじゃ助かる見込みは低いか。余命宣告までされているし」
もう死ぬんだったら、好き勝手に生きていこう。今までは親に恥だと思われないために、勉強を頑張って、進学校に入ったり、周りにいじめられないために空気を読んで過ごしてきたりしたが、それはもうやめだ。やりたいことをやらしてもらう。もう誰にも縛られることはない。
そんなことを考えながら、夜ごはんを作って食べて、お風呂に入り、ベットで寝た。
そして朝の陽光で目覚めて、俺はそういや癌の宣告を受けだったんだなと思い学校行かなくてもよくね?とか思ったが、親に報告されると面倒だなと思い結局学校に向かった。
その道中、陰キャと俺は誰にも話しかけられることなく、クラスに入って、イヤホンを耳につけて、櫻坂の曲を聴いていた。後生きてる間に何回新曲を聞けるんだろう。それが心残りだ。
そう思っていると、下品な笑い声が聞こえた。
「ぷはははあいつあんなびしょ濡れの髪で、クラスに来たよ。恥ずかしいという感情までないほど、下品なのかー」
下品なのはお前の笑いかただよ。俺はその笑われている少女を見る。髪はびしょ濡れで、俯いて、席に座る。恐らくタオルは鞄ごと濡らされて、使い物にならないんだろう。
少女の名前は近衛ねる。かなりの美少女だ。その容姿を疎ましく思われていじめられている。学校始まった当初は明るくて、誰にも気兼ねなく喋りかけていて、美少女にしては差別しないんだなという好印象を持っていた。そして告白を勿論たくさんされて、このいじめている主犯格の高城麗奈の好きな男が近衛に告白して振られた瞬間こうなった。眉間にシワを寄せながら、いかにも不機嫌ですというのを隠さずにいじめが始まった。
クラスメイトは誰も助ける様子がない。この高城は親が議員で、お金持ちで誰も逆らえないのだ。助けでもしたら、自分が今度はいじめられる立場になる可能性がある。そう考えると遠巻きに可愛そうだと思いながらも近衛を好きだった連中も関わらないようにしている。
俺も今まではクラスメイトの顔色をうかがいながら、関わらないようにしておこうと思っていたが、俺の平穏な日常のためにも。だが俺はもう余命宣告を受けた身だ。もう先を気にしなくてもいい。そして俺はいじめとかはあまり見てられないタイプだ。だから俺は近衛の席に向かった。そしてタオルを渡す。
「よかったらこれを使ってくれ」
近衛は驚いたように俺を見る。その顔は不安と、ちょっとした期待を持った表情だった。この行動が俺の人生を一変させる出来事になるとは思わなかったー
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます