第21話同期襲来4
「……そろそろ起きよっかな」
私は小さく呟きながら、寝ているあやちゃんを起こさないようにベッドから降りた。自分のスマホを見るといつも夕食を作っている時間帯だった。今日は家に帰らないってことを連絡してあるけど、あの子達は夕食何食べるんだろう?あとで食べたものLINEで送ってもらお〜。
さてと、買ってきた食材もまだあるし私も夕食の準備でもしようかな。私はいつも家でしているように料理を始めた。食べれないものとか苦手なものは雑談している時に聞いているから、それ以外であやちゃんが好きそうで私が得意な料理でも作ろうかな。それから30分ほどで夕食を完成させた。冷めちゃうからあやちゃんのこと起こしに行かなきゃ。
「あやちゃーん?ご飯できたけど……」
部屋に入るとあやちゃんはまだ寝ていた。仰向けで寝ているあやちゃんのことを見ているとすこーしだけいたずらしたくなったのですることにした。鬼畜と呼びたければ呼ぶがいい!
とりあえずほっぺたをむにむに。ほどよく柔らかくて触っていて気持ちがいい。次は髪の毛を触ってみた。さらさらしていて甘い香りがする。楽しい!
「次は……」
そう言って仰向けになっていることで強調されている、私が寝ている時に埋もれていた場所に触れようとした瞬間、
「次は、どこなんですか?」
と、声が聞こえた。私は床に頭をつけた。
「もう、寝ているところを襲うなんてどうかと思います!!」
「本当にごめんなさい……」
私はベッドの縁に座り、目の前で土下座しているきらりちゃんに言った。正直土下座はやめて欲しい。
「髪とかほっぺを触るのは全然許します。私もやったし……(小声)。けど、おっ……胸を触ろうとするのはダメです!!!」
「本当にごめんなさい……」
「まぁ反省してそうなのでこの件はこれで終わりです。それよりいい匂いがします!もしかして夜ご飯作ってくれたんですか?」
「うん……。というか許してくれるの?私身体を差し出す覚悟もしてたんだけど……」
「きらりちゃんは私のことをなんだと思ってるんですか??とにかく私は気にしてないですしこの件はこれで終わり!!多分ご飯できたから呼びにきてくれたんですよね?なら冷めないうちに食べましょう!」
「ありがとうあやちゃん〜……」
私たちはテーブルに料理を運んできて、雑談しながら夜ご飯を食べ始めた。お昼ご飯の時も思ったけどきらりちゃんは本当に料理が上手だ。食べていて心から美味しいと思える料理を作れるのは本当にすごい。今度料理教えてもらおう。
夜ご飯を食べた後にきらりちゃんは帰るのかと思っていたが、明日の少し早い時間から買い物に行きたいから泊まりたいと言ってきた。
「私は全然泊まることに関しては大丈夫ですけど、妹さんと弟さんは大丈夫なんですか?」
「2人とも全然おっけーみたいな感じだから大丈夫なんだけど、弟に迷惑かけないようにしろよって言われたの!!あんたが一番色んな人に迷惑かけてたっつーの!」
「あははっ、さっき寝込みを襲おうとしたのは誰なんでしょうね」
「あやちゃんがその件はもうおしまいって言ったのに!」
私がきらりちゃんのことを揶揄っていると、お風呂が沸いた音がなった。
「……どっちが先に入ります?私はどちらでも大丈夫ですよ」
「うーんそうだなぁ。……あっ、あやちゃんが先に入って!!」
きらりちゃんはいたずらを思いついた子供のような顔でそう言ってきた。色んな表情をするなぁということと、何を思いついたのか不安になりながら脱衣所に向かった。
「ふぅ……」
私は足を伸ばすには少し狭めの浴槽に肩まで浸かり、身体を温めていた。お風呂って本当に良いよね……気持ち良すぎて溶けそう。湯船に浸かりながら筋肉痛が酷かった太ももやお腹を軽くマッサージしてみた。うん、まだ痛いけど朝と比べたら全然回復してるしこの調子なら明日は大丈夫そうかな。
そのまま身体を温めながらマッサージしていると、急に浴室のドアが開かれ、生まれてきたままの姿のきらりちゃんが入ってきた。
「女の子との入浴イベントを逃すほど私は甘くないっ!!!」
「出て行けケダモノー!!!!」
私はそう叫んだ。
きらりちゃんも身体を洗い終わり、結局私たちは並びながら浴槽に浸かっている。流石に2人入ると結構狭い。
「ん〜!やっぱりお風呂はきもちーね!」
「何か思いついた顔したのはこうゆうことだったんですね……」
「びっくりした?」
「来ると思ってなかったのでめっちゃびっくりしましたよ!!」
私が少し不貞腐れた様に言うと、きらりちゃんは楽しそうに笑っていた。その姿を見ているとなんだか私もつられて笑ってしまった。この子は本当にすごい。きっとこの親しみやすい性格が人を惹き寄せるんだろうな。そう思いながらきらりちゃんのことをじっと見てると、きらりちゃんも私のことをじっと見ていた。私というよりお湯に浸かっている私の身体を見ていた。
「………」
「ちょ、ちょっとあやちゃん!!身体見てたのは謝るから無言でお湯かけてくるのやめて!」
「もう、本当にさっきのも反省してるんですか?」
「さっきのは本当に反省してるよ。ごめんね。けど、一緒のお風呂に入ってるんだからそれを見ないわけにはいかないでしょ!!触って良い?」
「ダメに……」
ダメと言おうと思ったが少し思いついた。逆にいいよと言ったらどんな反応をするんだろう。
「なーんてね、流石に触るのは嘘……」
「いいですよ」
「だよ……。あやちゃん今なんて言った?」
「いいって言ったんですよ?ほら、どうぞ?」
そう言って私はハグを求めるかの様に手を広げた。目の前のきらりちゃんは、のぼせたのかと思うくらい顔を赤くして私から目を背けた。
「な、な、何言ってるのあやちゃん!?!?いや最初に言ったのは私なんだけど!!」
「女の子同士なんだから普通ですよ」
「普通じゃないよ!?もうあやちゃん一回落ち着いて!」
そう言ってきらりちゃんは私にシャワーで冷水を浴びせてきた。頭が冷えたことによって自分がさっきまでとてつもなく恥ずかしいことをしてたのを自覚してきて、私もきらりちゃんに負けないくらい顔が赤くなってきた。今思えばなんでこんなことしたんだろう……。
「………ごめんなさいきらりちゃん。今のはお互いなかったことにしましょう……。」
「そうだね……」
お風呂に入って疲れを取るはずなのに、とても疲れた私たちだった。
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