Ep.5 不完全燃焼
――気まずい沈黙が流れる
だが、目の前に座す大男は、一向に俺の質問に答えない。
いつになったら、この人は口を開くんだろうか。
さっきからずっと、待ってんだけどなぁ……。
……っていうか。
あのノイローゼは、結局どこに行ったんだ?
あいつは、ロリのことを探している俺に対して、『ボスのところに来い。お前の探してる女もそこにいる』みたいなことを言ってたはずだ。
なのに。
辺りを見渡しても、この豪勢な装飾に彩られた白い部屋の中には、ロリの姿すら見当たらなくて。
ふざけんなよ。
いねえじゃん、俺が探してるロリ。
どういうことだ?
アイツ、嘘ついたのか?
と、あの適当すぎる美青年に対して、俺が怒りを顕わにしたことで。
『……落ち着きなさい。彼女なら、後でこの場に呼ぼう。今はそれより――』
ヌルティスは俺を宥めるように声をかけてきたが、しかし俺はその言葉を途中で遮り、彼にこう尋ねていた。
「ええ。今はそんなことより、その生き返れる“チャンス”が何なのか、教えてください」
と。
さっき『焦るな』と言われたにも関わらず。
さらには、『何度も訊いてみれば案外すんなり答えてくれるんじゃないか』という淡い期待さえ込めて。
つい、焦らされたことに痺れを切らして、思わず彼にそう訊いていたのだ。
『…………待てと言っているだろう。話を最後まで聞け』
「あ、はい……。スンマセン……」
しかし。
案の定、それを咎めるように、ヌルティスは俺の言葉を遮り……
『――謝る必要はない。……だが、組木勇翔よ。君はここに来る途中……ユピテルに言われなかったのか? 【お前は被害者だ】と』
続けて、そう言った。
「へっ…………?」
が、俺はその言葉を聞いて、少しの間フリーズしていた。
何故なら。
ヌルティスはまるで……俺の思考でも読んだかのように、ここに来るまでに起きた出来事の一部を、見事に当ててみせたからだ。
確かに俺は、この塔へ来る途中、あのノイローゼに全く同じことを言われた。
けど、そのノイローゼ野郎は、出会ってからここに来るまでの間、一切自身の名を名乗らなかったはずだ。
なのに、ヌルティスは奴の名を知っていて。
それどころか、俺とあのノイローゼのやり取りまで把握していて。
……途端に、恐ろしくなった。
さっき俺は、『死神は死者の思考を読めてもおかしくない』と思っていたんだが、結局はその説を否定して、『さすがにそこまではできないのだろう』という結論を出したはずだ。
けど……。
できてんじゃん!!
やめてくれよ、そういうフェイント!
怖いんだって、マジで!!
「……あの。じゃあ、もしかして……あの案内人もどきみたいなやつがユピテル? ……ですか?」
――そう恐怖し、困惑しながらも、俺は今できる精一杯の思考で導き出した答えをヌルティスに提示し、それが合っているか確認した。
『……いかにも。しかしあやつめ、また説明を怠っていたか』
だがヌルティスは、呆れたように大きく溜息をつくばかり。
しかしそれは、困惑する俺の元に向けられたものではなく……どうやらあのノイローゼに対して溜息をついただけのようだった。
『――お言葉ですが、ボス。私は説明を怠っていたわけではありません。ボスのお口から直接事情を説明された方が、彼も状況を飲み込めると判断したまでです』
「…………!」
なんて思っていたら。
ふと、後ろから声がした。
振り向くと、やはりあいつが……
ノイローゼ気味の、イカれた美青年がいた。
奴は俺の推理を肯定するように、苦しい言い訳を引っ提げて現れていたのだ。
『……ユピテルよ。説明を怠るなと言ったはずだぞ』
「やっぱお前がユピテルなのかよ! もう少しまともな説明しろ! っていうか、あのロリはどこ行ったんだよ!?」
ユピテルと呼ばれた美青年は、“ボス”の前だとぴしゃっと姿勢を正していて、なおも輝き続ける青い目はそこまで不気味に見えなかった。
『だから怠ってませんよ。ボスが語った方が早いって、今さっき言ったばかりだと思うんですが?』
しかしノイローゼは、俺が文句を言ってもヌルティスの言葉に反論するだけで、俺の話なんか初めからきいちゃいない。
『私が直接事を語る前に、案内役のお前が事情を説明せねば、客人が状況を飲み込めぬだろう。言い訳をするな』
『……へいへい。じゃあ、さっきの説明の続きでも話せばいいですか?』
だが、続けて注意を重ねるヌルティスの態度に嫌気がさしたのか、奴はようやく“ボス”の言うことを聞く気になったようだ。
『口を慎め、さっさと話せ』
『――分かりましたから、そんな怖い顔しないでくださいよ』
『黙れ』
『へーい』
そして、長々と軽口を叩いた後……ノイローゼはようやく、俺がなんの被害者なのか、どうして生き返ることができるのか、その説明を始めたのだった。
『じゃあ、組木勇翔。まずはお前の死因から説明してやる。……あの女は後だ。いいか、お前は、オレたちと同じ“死神”に殺されたんだ。まあ、直接お前を殺したのは、その死神の手下なんだが』
「……………!」
『ほら、いきなりこんなこと言われても分からないだろ? だから言ったんだが……』
「いや、いい! とりあえず話せ! っていうか、死神の手下ってことはさ……やっぱあの怪物も、
『…………偉そうに。まあいい、正解だ。――そいつらは、オレたちを裏切り、現世に流れ着いては常にお前ら人間を蹂躙し続けている、“元”死神【マルス】の手下だな』
「はあ!? 意味分かんねえ、なんでそんなヤツの手下がウチの学校にいんだよ!?」
『それは知らん。だが、マルスはお前たちの住む世界に流れ着いて、手下だのこさえたガキだのを引き連れておヤマの大将してんだ。……大方、お前を殺したのはそのガキだろ。ま、その感じじゃ……そういったマルスのガキは、お前んトコの学校以外にもごろごろ潜んでそうだがな』
「っ、そんな…………」
「話に戻るが、マルスはこの世界をとっくに追放されている。だからお前たちの世界に流れ着いたんだろう。だが……奴はどうやらあの手この手でずっと
『でもって、
「……それって、死んだらこの世界に帰ってくるから、的なアレか? …………だとしたら、追放されて死ぬならまだしも、視察のために世界を跨いで、それで長居したら死ぬって、随分厳しくないか――」
『“死ぬ”んじゃない。存在そのものが“消滅”し、魂すら消えちまうから転生もできん。そのせいで、消えた奴は最初からいなかったことにされちまうんだ。……つうかこれ、本来はマルスみたいな奴が現世でのさばらないように、ボスが定めたルールだからな。……だからマルスは、世界の均衡が乱れないように作られたルールを破り、お前たちの世界を好き勝手に喰い荒らし、肝心の
「……そういう感じか」
そんなユピテルの説明は、口こそ悪いが、かなり納得のできるものだった。
今のところ説明されてる部分が『自分を殺した敵の正体』だけで、『そいつが俺を殺した目的』や『自分が生き返れる理由』までは説明されていないのだが……それでもこの説明だけで、なんとなくだが、そのマルスって死神が俺を殺した目的も分かる気がする。
殺されること自体には納得できないし、考えるだけでムカつくんだが……。
やっぱり、そいつは俺を“遊び”で殺しただけなんじゃないのか?
と、思ってしまう。
すると……
『――ま、確かに今の説明じゃあそう思っちまうだろうが、奴がお前を殺した目的は完全な“遊び”じゃない。ちゃんとした理由があってのことだ』
突然、ユピテルはそんな俺の思考を読み、新たな補足を加えてきた。
「えっ!?」
だから、思わず声が出た。
『いちいち驚きすぎだ。少し黙ってろ』
「あぁ!?」
ふざけんなよ、やっぱ思考読めるんじゃん…………!
そんな芸当ができるんなら、なんでさっき、塔の扉が開いた時に、こいつはその事を教えてくれなかったんだ……?
――といった、この疑問も読めるはずなのに。
ユピテルは一向に俺の質問に答えなかった。
『まずは話をまとめよう。つまりマルスは、ボスが作ったルールを何度も破り、重罪を犯し続けているクズ野郎だ。で、お前の死もそいつが仕組んだこと。さらにはその実行犯があのクソ裏切り者どもがこさえたガキと、そいつらが造りだした怪物。それにお前は、成す術なく殺されたんだったな』
『……ああ、それと言い忘れていたんだが。実はマルスはな、あらゆる魂を操って自分の喰い物にしてるんだ。お前は確かに一度奴に殺されたが、喰われはしなかったからまあラッキーちゃんってところだな』
「……お前。人が死んでるってのに、どうしてそんなこと…………」
『お前は生き返ることができるからだ。マルスに喰われちまった魂はここに行き着くこともなく、俺たちが現世に長居した場合と同じで消滅しちまう。だから、お前はずいぶん幸運な方なんだよ。なあ組木勇翔、俺たちに感謝しろよ?』
「…………っ! お前――」
それどころか、こいつはずっと腹が立つようなことばかり言ってくる。
……その心ない言動には、悪意さえ感じられた。
ふざけてる。
何が感謝だよ。
人の死にいちいち口を挟んできやがって。
命をなんだと思ってるんだよ。
さっきからなんなんだよ、こいつは……!
と、そう思った瞬間だった。
『……いい加減にしたらどうだ!』
「っ!?」
『ひッ!?』
ある時、俺の怒りなど比にならないほど、激情に満ちた低い声が。
ふと、ドスの効いたヌルティスの声が、部屋全体に響いていた。
俺とユピテルはその気迫に圧され、思わず声がした方を振り向いた。
……そこには、凄まじい表情でユピテルを睨みつける、万物の父の姿があった。
『ユピテルよ、貴様……! あれほど丁重に持てなせと言った客人への事情の説明を怠った挙句、彼の案内まで放棄し、さらには貶すとは、いい度胸だな……! 貴様はいつからそこまで偉くなったッ!? あぁ!?』
そしてヌルティスは、自身が座す玉座の肘掛けを強く叩き、片眉を大きく釣り上げながら、ユピテルにそう怒鳴っていた。
『ひィ…………! い、いや、それは…………』
かたやユピテルはその怒号を浴びた瞬間、いきなり怯えだした。
『怯えてばかりで言い訳もできぬのか!! ならば最初からそんな悪戯するでないわッ! この大馬鹿者がッ!!』
だがヌルティスは、そのユピテルの態度をも一喝し、それどころかいきなり手に持っていたワイングラスを掲げ、それを強く地面に叩きつけたのだ。
『ひやあああああああッ!?』
「……ッ!?」
飛び散る赤い液体。
砕け散るグラスの破片。
突如としてこの場に響き渡る、大きな破裂音。
万物を統べる死神が放つ、この塔全体を大きく揺るがす怒声。
……そして、隣から上がるえらく女々しい悲鳴。
俺は唐突のヌルティスの激昂に驚き、それらの情報量に圧倒され、たちまち固唾を飲んでいた。
対するヌルティスは大きく目を見開き、再び大声で叫んでいた。
『後で覚悟しておく事だな、怠け者よ!!』
『ひぃぃぃぃぃ! か、勘弁してくださいよ、ボスぅ…………!!』
『ならん! 貴様はこの世界の案内役として、果たさねばならぬ責務を放棄しただろう! ……二千年ほどは、あの釜で反省してもらわねばな』
『ひぃ……!! お願いです、ボス! もう一度、チャンスを!!』
『猶予ならばくれてやろう。……彼を現世に返すまでの間なら、お前はまだ自由なのだからな。せいぜい、それまでに心の準備をしておくことだ』
『ひぃああああああああああああ!!』
――最初こそ凄まじい気迫で怒鳴り続けるヌルティスだったが、しかしユピテルの反応がちょっと面白すぎる影響か、その怒りが俺に向けられているものではないと分かった途端、この会話は俺にとって漫才と相違ない会話へと変貌していた。
もっと言うなら、会話の途中で聞こえてきた、二千年、釜……といったワードが少し気になりはするのだが、それでもちょっとした感想として『これもう、悪役のやり取りだろ』と思えるくらいには面白おかしい会話だったと思う。
何度もユピテルを怒鳴りつけるヌルティスと、その剣幕に圧され、ひたすら頭を下げ続けるユピテルとの会話を見て、俺はふとこう思ってしまった。
――ざまあねえな。
と。
『……………ッ!』
しかしそう思った瞬間、ユピテルは何かを訴えかけるように、鋭くこちらを睨みつけてきた。
『――貴様、客人に何かしたらタダではおかんぞ』
『…………! じょ、冗談ッスよ~』
だが、“ボス”の前ではどこまでも頭が上がらないのか、ユピテルはヌルティスに釘を刺された瞬間、力なく縮こまり、彼の元へ媚びへつらうように頭を下げてばかりいた。
*
それから、しばらくして。
『――あのな、組木勇翔。確かにオレたち死神は、この世界にいる間なら、一応……ざっくりと死者の思考を読むことはできる。だが、具体的に読めはしないし、テレパシーなんかも使えねーよ。俺たちヒラの死神は、思考を読むだけで終わり。話さないと伝わりません。……まあ、ボスなら具体的に読めると思うし、テレパシーもできると思うんだが、塔の前でボスがお前にそれを言わなかったのは、なんか理由があってのことだと思うぜ? つーか、それもマルスとその他もろもろの説明が終わったらお前に教えてやるつもりだったし。いちいちマジでうるせえんだよ、お前』
「……さいですか」
長らく続いていたヌルティスの説教からようやく解放されたユピテルが、やっと俺の質問に答えたことで、とりあえず俺は今抱えている疑問を一つ晴らすことができたのだった。
しかし、元はといえばこの疑問も、こいつが勿体ぶらずにさっさと答えておけばいいだけの話だったと思うんだが。
『だから、マルスの話を全て説明し終わったら話してやるつもりだったって言ってるだろ。あの女のこともそうだし、話さないといけないことが多すぎて話題が立て込んでるのに、お前が質問ばっか寄越してきたからムカついただけだ。……それを悪意っていうんなら、まあ謝る。悪かったな」
「……お、おう……そうだったんだな…………」
そんな俺の思考を読み、次にユピテルが放った言葉は、意外にも素直な謝罪だった。
これまで散々ひねくれた事しか言わなかったユピテルが、突然そんな態度を取ったことに驚いて、俺はしばらく当惑を隠しきれずにいた。
……なんか。
まだ信用はできないけど……こいつ、もしかして、悪い奴じゃないのか?
だったら…………今まではちょっと聞き流し気味だったけど、ちょっとは真面目に話を聞いてやってもいいかもしれない。
こいつの口の悪さはどうせ変わらないだろうけど……話したら、案外マシな奴かもしれないし。
――って思うくらいには、こいつに対しての印象がちょっと変わってきたというか。
『失礼だな。ひねくれてる自覚はあるが、少なくとも意地なんて張らずに人に謝ることはできる。ドン引きするのは勝手だが、見くびりすぎだ。……にしてもお前、なんでそんなにボスに気に入られてんだ? ボスはお前のことを“客人”つってたし、ちょっと案内をおサボサボしたらあのキレようだぜ? そんだけボスに大事にされてるってことは、お前……相当すげー魂なんだろうな。前世で何したんだよ? 仙人か賢者にでもなったのか?』
「え……はあ? なんだよ急に。俺、そんな前世の記憶なんて1ミリも覚えてないぞ?」
と思ったら、またユピテルは知らない情報をよこしてくる。
それだけのペースで新しい情報を聞かされても正直、把握できる気がしないので、勘弁して欲しいが。
次から次に推移する感情に翻弄されて、かなり疲れてきたのもあるし……。
っていうか、見くびられたくないなら最初から真面目にやれよ。
『ユピテルよ、客人が困っておるだろう。いい加減、口を閉じんか。それに、相手が誰であろうと案内を放棄することなど許さん。……組木勇翔よ。君はユピテルに相当いい加減な説明を受け、挙句の果てに放置までされていたようだが、大丈夫だったか? 君には、本当に迷惑をかけた。この無礼は、必ず返させてくれ』
すると今度は、恐らく俺の思考を読んだのであろう、ヌルティスが助け舟が出してくれた。
露骨な話題の逸らし方ではありつつ、けど今までの会話からするに、ユピテルの立場ならヌルティスの言うことにいちいち突っ込むこともできないだろうから、この判断をとったのだろう。
だから俺は、めちゃくちゃヌルティスに感謝した。
ボスぅぅぅぅ~~! こんな俺なんかの心配してくれてありがとう!! 最高~~~!
……といった風に。
むしろ、俺の方こそ万物の父に謝られてしまって、恐れ多いくらいだった。
それに。
正直に言って、ユピテルの軽口や、ヌルティスの底知れなさといった――全ての要素が、あまりに濃すぎて、理解が追いついていない節はあるから……この助け舟は、かなりありがたかった。
『礼には及ばんよ。……遠慮を知らぬ愚か者の相手をするのも疲れるだろう』
『えぇ~? そりゃないッスよ、ボスぅ……。少しくらい教えてくれたっていいじゃないッスかぁ~!』
『……後でな』
『おっ! さっすがボス! 優しいッスねぇ~!! アヒャヒャッ!』
しかし、ヌルティスからそう釘を刺されているにも関わらず、ユピテルは俺の予想に反してぐいぐい彼の指摘に突っ込んでくる。
ずっと思ってたけど、こいつ……多重人格かなんかなのか?
なんか、さっきから態度が豹変してばっかりだし、なんだろう、それにしてはあまりにも性格の変化の幅が大きすぎる気が……
……いや。
それはいい。
そんなことより。
今はもっと、大事な話がある。
ロリのことは気になるけど、今はもっと知っておきたいことが大量にあるし。
「――あの、ヌルティスさん。とりあえず、俺が被害者だってことは分かったんですが……まだ俺を殺した相手の目的とか、なんで俺が生き返れるかまでは、聞かされてないんですけど……」
そう思って。
俺は、ひとたび気を抜けばどんどん進んでいく死神同士の会話を止めるべく、再び目の前にいる“ボス”へ質問を投げかけていた。
『ああ、そうだったな。何度もすまない。……ユピテルよ、彼のことは後で話してやるから、しばらくここを外していろ。貴様がいると、話がややこしくてならん』
『えーーーっ!? ……あ、分かりました。あの、ボス。もう真面目にやるんで、ちゃんと出ていくんで、これ以上怒らないでください。お願いします……』
「あ、消えた…………。なんかあいつ、妙に素直だな……」
すると、その想いに答えてくれたのか、ヌルティスはユピテルに退場を促し、そして当人も彼の言うことを素直に聞いたことで、この場は一気に静かになった。
「……まあいいや」
おかげで、やっと本題に入れる。
この時、俺たちは互いに同じことを思っていたのだろう。
『――ああ』
人払いの済んだ玉座の間にて。
ヌルティスはそんな俺の言葉に応え。
一方で俺は、再びヌルティスと向かい合っていた。
まだ、説明は終わっていない。
それに、ユピテルのせいで、まだ聞けていないことは沢山ある。
……あいつのせいで、説明がダレて不完全燃焼のまま、また話を聞かないといけないんだ。
だから。
せっかく邪魔者がいなくなった今、とにかく最後まで話を聞いて、そして心残りのない状態で生き返ってやるんだ。
まだ、
使える物は、なんでも使わせてもらう。
だから、頼むよボス。
そう思って。
「――説明してください。俺は、まだ死ぬわけにはいかないんです」
俺はそんな強気な発言を、万物の父へ投げかけていた。
――Ep.5 【不完全燃焼】
――――――――――――――――――――――
ここまで読んでいただきありがとうございます。
また、次回が更新される前に、あなたのくれる♡やブクマ、フォローが作者のモチベーションに繋がりますので……
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