超未来!SF世界でやっていく裏世界のドン

@DAGo3

第1話 クソったれな世界と一つまみの砂糖

「あぁ〜」


誰もいない夜道、自身の暮らすアパートに向かい歩きながらため息の混じった声を出す。


毎日当たり前のように求められるサービス残業、終電ギリギリまで帰る事を許さない環境と無限に生み出されてゆく仕事、数えればキリがないほどに溜まる鬱憤の数々がすり減る心を濁してゆく。


見たくないもんを流して見ないように酒を飲む日々を思うとさらに酒が進む。


そんな悪循環を思いながら帰路に着く。


ガチャ

「ただいまー」


誰もいない1人用の部屋に響く自分の声は、家に帰れば冷たくとも暖かい出迎えが当たり前だった高校時代を壊れたビデオテープのように映し出す。


「はぁ、そんな歳はいってないんだけどなぁ」


不意に言う事を聞かなくなる涙腺に驚きながら玄関と廊下が混ざった中途半端な場所で靴を脱ぎ捨て自室へ向かって扉を開ける。


「んんぁ〜」


家に着いた安心感からか、ほんの少し感じられる開放感と共に伸びをして身体をほぐし堅苦しいスーツをハンガーに掛けシャツを洗濯カゴに入れる。


パンツ一丁になるとすぐさま部屋の中で一番面積を取っているであろうデスクトップのゲームミングPCが設置してある場所へ向かいコンビニでの収穫品をゲーミングテーブルの上に並べる。


「華金は〜金のやつ!やっぱりこれこれ!」


そう言って缶ビールとつまみを出しながらゲームを始めるためにゲーミングPCを起動させていく。


ウィィーン


ファンが回る音を聞きながら起動までの少しの間にイヤホンやその他の接続機器などを準備していく。


「今日は超大型アップデートだからな」


ウキウキとした気分で準備を終わらせ早速ゲームソフトのアップデートを開始する。


俺の唯一の楽しみであるこのゲームは俺が大学生になった頃にちょうどリリースされたゲームで"サイバーズ・オンライン"という名前のゲームだ。


このゲームはいわゆる神ゲーというやつでPCの寿命をゴリッゴリに削ってくる超綺麗なグラフィックとPCの容量を潰しにきていると言っても過言じゃないほど広いマップ、それはリリースから10年たった今でもまだ見つかっていない新しいエリアが発見されるほどの超広大すぎるオープンワールドな世界観を売りにしている近未来的サイバーSF系のゲームだ。


そしてこのゲームは無課金でもその広大すぎるマップの世界観ゆえに重課金勢に見つかって餌にされるということはめったになく無課金勢から重課金勢まで幅広く遊べるのだがもちろん課金要素は無いわけがなく、むしろふんだんにある。


広大な世界観だからこそ自身の陣営や自分自身に対する強化の幅がとんでもなく広いのだ。


恥ずかしい事なのだが俺はこのゲームに大学時代から社会人な今に至るまでのバイト代やら給料やらは、ほんの少しの貯金と生活費を除くとそのほぼ全てがこのゲームに入っている。


どれくらいの金額かといえばリリースから約10年がたった現在のゲーム内での世界ランキングで全ユーザーの中でダントツでTOPを取るほどには課金している。


(もう、ほんと、、真面目に金額数えたくないわ、、、サ終とかほんとに、本当にやめてくだはい!お願いします!)


少し長いアップデートが終了し若干サ終という地獄を想像し、手が震えるがそのままゲーム開始のボタンを押す。





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