第11話 死ぬということ

「あああ、ああああ」

「黙れアンデッド」

「ああああああ」

「黙れと言っているだろ、死にてえのか」


 あいにく死ねねえからな。早くロンを起こさないと。後ろからこっそり近づいてきた山賊に俺たちはまんまと捕まってしまった。ローズも不意打ちには勝てなかったようだ。


「ブルース、僕たち捕まったの?」

「くそ!目を覚ましたぞ!こいつは危険だ!気をつけろ!」


 山賊の集会所のようなところで俺たちは縛られていた。中にはたくさんの輩がいて、俺たちを見張っている。何か一掃できるような一手がなければ無理だぞ。


「放しなさい!気持ち悪いわ!」

「いいじゃねえかよ、かわいいお嬢ちゃん」


 ローズは山賊に囲まれ、危なげな雰囲気が漂う。ローズに注意を引いているうちに何か考えないと。だがこの状況を打開できる方法は一つしか浮かばなかった。魔法だ。もう認めざるを得ない。ロンの魔法に頼るしかない!あの時ロンは怒っていた。おそらく怒りが何かしらのスイッチになるんじゃないのか。このことをロンに伝えられればいいのだが・・・・・・


「わかったブルース。やってみるよ」


 ん?今何が起こったんだ。俺は自分の頭の中で考えを広げていた。ロンに届かないものかと願った。それだけなのに、ロンは感じとったのか?


 刹那的にそれは起こった。あの闇が現れた。今度は小さく凝縮されたような闇だ。次第にその闇は大きくなり、山賊たちを飲み込んだ。


「嘘だろ」

「まただ!やめてくれ!」


 魔法とやらを信じないものにはとんでもない光景だろう。俺もその一人だったし、ローズもそうである。その輝きを持った目を見ればわかる。


 闇は山賊を吐き出し、中からボロボロになった山賊たちが出てきた。ローズは自分のポケットから小刀を取り出し、三人の縄を解いた。最初からそうすれば良かったんだよ。


「おそらくこの中にボスも混じってるわ」


 ローズはそのボスをじっと見つめている。小刀を持った方の手が震えているのがわかる。そんな緊張感を小さな声は遮った。


「やっぱりダメだよ、死ぬと何も戻ってこないんだ。死なない俺が言うんだからわかるだろ」


 俺の思考が!完全に読まれている。


「僕、聞こえるんだ。ブルースの思ってること。ブルースは自分以外の全てを失った。おまけに自分は永遠の命を手に入れた。全ての人の命を背負って生きているんだ。だから殺すと言うことは自分がその命を背負わなければいけないって、言ってる」


 ローズは俺の方を見て地面に跪いた。少し涙ぐんでいる。


「私は聖騎士失格よ。でもそれでいい。それでいいの」


 ローズは自分に言い聞かせるように言った。ボロボロになった山賊を後にして、俺たちは山から降りていった。もう辺りは真っ暗で降りるのは一苦労だった。足場を確認しながら、慎重に歩いていると俺はあることに気づいた。そして俺はロンに翻訳を頼んだ。


「お前、今回の任務って山賊とか擁護だけじゃないだろ」

「なんでよ?」

「山賊を捕まえるなら、聖騎士一人でも見習いに命令することはない。しかもお前山賊にわざと捕まえられに行ったんじゃねえか?そのまま訳してみたよ」


 かっこいい口調でどうもありがとう。


「あら、あんたって勘がいいのね。でもそれは教えられない」

「なんだと」


 ローズはニヤリと笑って話を変えた。


「今夜の宿、どこにしようかしら」


 何を隠しているんだ。本当の目的はなんなんだ。ロンと俺は不安げな表情をしていた。


 しばらく降ると山の麓だった。だがいつもとは違う。恐怖が倍増していた。なぜならその村が暗いオレンジ色の炎で覆われていたからだ。そう、奴がきている。ある村では魔王、そして一般的に狂人と言われているやつだ。アンデッドの大群と鎧を纏った何人かの僕が村を襲っていた。


 ロンはすかさず反応した。恩恵を今こそ返しに行く時だと。必ず救ってみせると。そのまっすぐな瞳は心を読まなくても分かるほど強かった。


「爺ちゃん!」


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