第22話「後輩への伝授」



「先輩、これってどう思いますか?」


バイト先の新入生・さくらが、スマートフォンの画面を見せてくれた。SNSで話題の新作コスメ。かつての私のように、トレンドに振り回されているようだった。


「そうだな…ちょっと確認してみよう」


「目利き」アプリを起動する。


```

商品分析:話題の春色リップ

価格:3,200円

特性:SNS映え重視、限定品

販売戦略:インフルエンサー主導


さくらさんの状況:

・学生の収入レベル

・基本的なメイク道具は充実

・流行に敏感

```


「さくら、こっちのほうがいいかもしれないよ」


代替品を検索してみる。


```

商品名:ナチュラルティントリップ

価格:1,800円

効果:発色+12、保湿+10

特性:普段使い最適、複数色展開

隠れた価値:

・長時間メイクに強い

・唇に優しい成分

・リピート率が高い

```


「これなら授業中でも気にせず使えるし、プチプラだから色違いで持っても負担にならないよ」


「え?でも、みんな話題の新作を…」


「私も前はそう思ってたんだ。でも、大切なのは自分に本当に必要なものを選ぶこと」


カフェでひと休みしながら、私は自分の経験を話した。衝動買いの失敗、SNSに振り回された日々、そして少しずつ身についた「目利き」の心。


「先輩、すごいです!私もそんな風に選べるようになりたい!」


スマートフォンが優しく震える。


```

教えるべきポイント:

1. 基本の考え方

・必要性の確認

・長期的な価値

・予算とのバランス


2. 実践のコツ

・情報源の見極め

・比較検討の習慣

・失敗からの学び


3. 心構え

・流されない勇気

・自分らしい選択

・継続的な成長

```


「さくら、これからお買い物行く時は、私も一緒に考えるから」


「ほんとですか?嬉しい!」


帰り道、私は考えていた。かつてのレイカ先輩のように、今度は私が誰かの道しるべになる番なのかもしれない。


その夜、アプリに新しい記録が残された。


「発見:

知恵を伝えることは、

自分の成長も促します。

今日のあなたの言葉が、

誰かの明日を変えるかもしれません」


窓の外では、春の風が優しく吹いていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る