2.5-1 閑話、丼オーダー
「いらっしゃいませー」
「今1人なんですけど、後でもう1人来ます」
「二名様ですね、お好きな席へどうぞ」
現在地は駅前のそば屋兼天ぷら屋『
加賀美先輩と別れた後、俺は生徒玄関で里久を待っていたが、
『用具の搬入とかで少しかかる
店は心天でどうだ?
17時過ぎに合流で』
と連絡があり、特に異論はなかったので諸々問題なし、と返信。
集合時間まで、少し時間を持て余した俺は、本屋で時間をつぶすことにした。
新規開拓できそうな漫画を探したが、特にピンとくるタイトルはなかったので早々に本屋を出た。
スマホで時間を確認すると、歩いて行けば丁度いい時間になりそうだったので、目的の店に向かうことにした。
そして着いたのは時刻は17時丁度。完全に気にしていなかったが、心天の営業再開時間だった。里久が遅れたのは結果オーライだな。
ちなみに家には晩御飯不要の連絡済みだ。
カバンを下ろしながらテーブル席に座る。小上がりも空いていたが、靴を脱ぐのが面倒だったための選択だ。
卓上には七味と塩、つまようじの入れ物があり、壁際にメニュー表が立て掛けられている。
おれはメニュー表を手に取って丼もののページを眺めた。
「天丼、肉天丼、かき揚げ丼……」
細かい分類をしなければ丼ものは三種類。
海老天の乗っている天丼。
海老天はやはり裏切らない。味、満足感共にこなすオールラウンダー。
守備も上手い3番ショートといった具合だ。
薄め肉天がたくさん乗っている肉天丼。
ガッツリいくならこいつの他ない。生姜の天ぷらも乗って爽やかな面を主張してくるのもにくい。温玉をトッピングすればドラフト1位確定。
強肩かつ長打の4番キャッチャーだな。
かき揚げ丼は肉や海老といった主役級がいないため一見見劣りするがその実、山盛りの野菜がひとまとまりになって米の上に鎮座している姿は丼の中でも最大ボリュームだ。
天ぷらの量と種類で言えば最強。さらに大根おろしのトッピング、雪かき丼という第二形態もある。
6番ライト、中継ぎのピッチャーも兼ねる。舌が大人になってわかるおいしさだ。
「ううむ……」
メニューを前に唸る俺。
どれも捨てがたい。そしてどれも高い。天丼、肉天丼は1000円。かき揚げ丼に至っては1100円。田舎高校生のお財布には少しダメージが大きい。
里久は払えるのだろうか。
少なくとも俺より食べるだろうから大盛で+100円だろう。あいつの家のエンゲル係数はやばそうだ。間違いなく、回転寿司に行く頻度は少ないだろう。
メニューを前に唸っているとスマホが鳴った。
通知画面には里久からのメッセージが表示されている。
『これから行く
荷物まとめて10分くらい』
ふむ、もうすぐ着くようだ。
あと10分くらいか。であれば天ぷらを揚げる時間も考慮して、今注文したら里久が来る頃に丁度いいのではなかろうか。
『先に注文しておこうか?』
メッセージと一緒に、メニュー表の写真を撮って里久に送る。
少しして既読になり、すぐに返信が来た。
『天丼、大盛で』
予想通り大盛で、メニューは天丼か。まあ天丼が食べたいからと決まった会だからな。
俺は……肉天丼にするか。
「すみませーん」
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