第2話伝説の始まり

俺が蒼月ルナを知ったのは、デビュー発表の日だった。

公式が公開した1分のティザー映像には、彼女が静かに佇むシーンだけが映っていた。


「みなさん、こんにちは。蒼月ルナです。これからよろしくお願いしますね」


短い挨拶。それだけだったのに、俺はその声に惹きつけられた。

なんて優しくて、でもどこか切ない響きなんだろう。


それから、俺は彼女の動向を追い続けた。

配信が始まらなくても構わなかった。ただ彼女が存在しているという事実が、俺の支えになっていた。


「絶対に配信始まったら見るぞ!」

俺はそう心に決めていた。


しかし、その「デビューの日」は永遠に来ることはなかった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る