女落としゲーム
第1話
「”女落としゲーム”って知ってる?」
「いや知らない。なにそれ。名前ダサっ!」
私は
そして、隣で「やれやれこの子は……」と呆れたように呟くのは、友達の
今は貴重なお昼休み。
そんな私にはやらなければならないことがある。
「はぁ…また羽柴?」
「もちろん!ダッサイ名前のゲームよりも、私は羽柴くんを眺めていたい!」
「ダっ…!?…あんた、ほんと物好きだよね」
私のうっとりとした表情とは裏腹に、渚は若干の哀れみを含んだ呆れ顔。
そう、私は恋をしている。
相手は同じクラスの羽柴くん。
かれこれ2年以上は片思いをしている。
「あの冴えない芋男のどこがいいわけ?」
「ちょっと!いくら渚でも羽柴くんを馬鹿にするのは許さないよ」
いいところなんて数え切れないほどある。
頼まれたことは基本断らないし、必ずやり遂げるところ。
人が嫌がりそうな仕事を率先してやるところ。
動物に優しく話しかけるところ。
挙げだしたらキリがない。
ほら今も。
日直がサボって消していなかった黒板を綺麗に消している姿が見える。
そうそう、こういうところを好きになったんだよなぁ…
「紗枝、顔気持ち悪いよ?」
「え、それはまずい。羽柴くんに見られたらヤバいからすぐ戻すわ」
「…もう好きにして」
呆れから深いため息をつく渚を無視して、相も変わらずかっこいい羽柴くんの後ろ姿を眺める。
他人に理解されなくてもいい。
羽柴くんの良さがわかるのは、私だけで十分だから。
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