第39話 ジェニーの大冒険⑩



 …まっすぐ村に帰ったかと思った?


 私も後は村に帰るだけだと思ってたんだけど、お父さんがあんまり楽しい旅行にはならなかったみたいだからって、遠回りして皆を海に連れて行ってくれました!


 わーーー、ぱちぱちぱちっ!


 …遠回りというか、大回りだったけどね。

 結構、遠かったもん。



 海って何ぞや?

 な皆には、私が例のアレで学んだ豆知識をお披露目ぇ〜してあげた。ドヤァ。


「すっごーっく、大きい川で、塩味!」


「うーん……ニアピン賞?」


 あれ?

 これはちょっと、外しちゃったかもしれないね?

 お父さんからの反応が、ちょっとイマイチだったし…。

 でも本では多分、そんな感じだったと思ったけども?


「美味しい虫と魚が、てんこ盛り!!」


 私の第2段豆知識に、皆が凄い顔してお父さんを凝視した。

 なんか、ブオンッ!って音がしそうな位の振り返りで、ちょっと面白怖かったよ。


「……虫?」


「え、それ食べられるの?」


「美味しいお魚だけで良くない?」


「帰りたい…」


「もう村から出たいとか言わないから!村、最高っっ!!」


「違う、違うっ!虫じゃないから!!」


 お父さんが必死に弁明してたけど。

 あれはどう見ても、虫にしか見えなかったけどなぁ?





「わあぁっ!凄い凄いっ!!」


 思ってた以上にでっかい水の塊に、


「おーー」


「わーーーー!」


「キラキラして、綺麗ねぇっ!」


 と皆ではしゃいで感動っ!




「はぁーー…、満足満足!」


「さあ、帰ろっか!」


 そそくさと馬車に乗り込み帰ろうと試みた皆だったけど、生憎御者出来る人はお父さんしかいない訳でして。


 …私はねぇ、絵の本で見たご馳走とか登場人物が美味しいって言いながら食べてる絵を見てたから、凄く興味あるよ!海の虫!!


 水の中の丸いトゲトゲとか、でっかい蜘蛛とか、海老って言う、小さな虫をむしゃむしゃ美味しく頂いてた人の描写が特に幸せそうだったからなぁ…。


 その本を読み終わった後に、お父さんに


「虫って美味しいの?」


 って聞いた事があるんだけど。


 …森の虫と水の中の虫とでは全然違う生き物なのか、凄い微妙な顔をされた上に心配された記憶があるよ。…解せぬ。


 絵の本の方では、小さい子でもホイホイと捕獲していた様に書いてあったけど、ここではちょっと危ないからってお父さんだけで狩りに行くみたい。


 …お母さんたちは馬車の中で涙目でプルプルしてて、実はお父さんはこの旅の事、かなり怒ってたんじゃないか説とかを話し合ってました〜〜…あははー。


 いや、あれはいつもの家族サービスが旺盛なお父さんだし、皆に美味しいもの食べさせてあげたいって言う言動の元の行動なんだけどねーー。プププ。


 さっき必死に全力否定してたのに、皆には全然響いて無い感じだったよ〜。


 絵の中の人が、“高級品っ!!”って大喜びで食べてたから、よっぽど美味しいんだと思うんだけどなぁ?じゅるりっ。




 ———…結論。


 やっぱり見た目は完全に虫だったし、お母さん達は阿鼻叫喚だったよ!


 お母さんが珍しく泣いて嫌がってたから強制とかはしなかったけど……お父さんはめちゃくちゃ悲しそうな顔だったと言っておくね。


 お母さんとお爺ちゃんに、お婆ちゃんとレオ兄が断固拒否で、お魚だけの網をつっついていた。


 私とお父さんと意外にもグレ兄が、未知の生物の乗った網をムシャムシャ無言で爆食いした。


 ……想像した以上に、美味しすぎたっ!!


 これは、お母さんにも食べて欲しいっ!ってなる逸品達である。

(↑見た目が最悪過ぎたのが敗因だよ。お母さんは虫嫌いだもんね)





「うーーーーっっっ!あっまーーーーっい!!」


 特に、カニっていう名の蜘蛛さんが美味しかった!


 黒いトゲトゲの中身もトロッとしててクリーミーだったし、硬い石は炙るとパカって開いて、そこに黒ソースを垂らすともうもうもうっ!

 匂いも味も、最高過ぎた!


「うーーーまーーーいーーーぞーーーっっ!!!」


 って思わず叫んじゃう位には美味しかったよ。


 …1口目はちょっと勇気がいったけど、挑戦してみて良かった!

 2口目からはもう、見た目なんて気にならなくなっちゃったしね。


 お母さん達には、信じられないって目で始終見られてたけど、気にしないのだぁ〜〜。


 …お母さん達も、あの絵の本を事前に読んでればきっと挑戦してみたに違いないのに……勿体無いよね。


 お父さん曰く、虫じゃないらしいし。




 海に来る機会なんてそれこそもう無いだろうし、これらも大量にお父さんに採取して貰って来た!

 是非、あの怖いお兄ちゃんに仕入れも頼んで欲しい。


 …お母さん達もいつかきっと(あの本を読んで気になったら)食べてくれるよ。


 最悪皆が食べなくても、私が食べるから!

 これからも出来れば頻繁に食べたいんで、しょんぼりお父さんを慰めつつも、追加オーダーはしっかりとしておきました。キリッ。


 …グレ兄もちゃっかり便乗して、バッグにストック詰めてました。

 日々、ちまちま食べるんだって。激ハマりだね。


 勿論、お魚さんも食べました。

 川の魚とはまた全然違う感じで、こっちも美味しく頂きましたよ〜。


 グレ兄は事前情報も無く、良く食べたよね。

 結構、躊躇いなくいってたし。凄い!


 レオ兄が、得体の知れない奴みたいな顔で後ずさっていたから、思わず笑っちゃったもん。

 怖がり過ぎだよ、あはははは。





 ———…これで本当に旅はおしまいっ!


 最後はちょっと禍根?が残っちゃった感じで終わっちゃったけど、食べてくれさえすれば皆幸せになれるのにねーーー?


 まあ、徐々にあのグルメ絵本を布教していこうと思う。

 ジェニー、頑張るぞっ!(鼻息ふんっ!)









 

 



 

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