第27話 獣人の森林
早朝に私は早く起き、情報共有のためサミエラとバンで宿の外で会う約束をしたため、外に出たらサミエラとバン、その他にジョセーヌもいた。
「奇遇だね。君たちもこんなに早く起きたんだね。
私はいつもこの時間ぐらいに起きて散歩するのが日課なんだ。
君たちもどうだい?」
「分かりましたー。一緒に行きましょーよー」
急な予定変更だったが、ジョセーヌに対しては最初にあったころの忌避感はもうほとんど薄れていた。この旅のメンバーにも慣れてきた。
メンバーでリーダ的なジョセーヌとこのおてんばなサミエラが対照的だが、悪い気はしない。
畑がなくなり森だらけの獣道になっていた。
「ここは獣人がもともと進んでいた地域なんだよ。
帝国に支配されるまではこの森で獲物を狩ったり、果物を採取したりしていたよ」
「早くここから出て行けよ!」
甲高い声が聞こえてきた。
道の前を見ると昨日に宿で接客をしていた獣人のお姉さんと黒い犬の尻尾と耳を持つ男の獣人が会話していた。
「もうじきここら辺も畑にするために切り壊す。いい加減早くどいた方がいいと思うんだけど」
「ここはわれらの土地だ。私たち獣人は人間ほど雑食じゃない。肉が主食なんだ。
あんな自分達がほとんど食べない米や野菜を育ててなんになる?」
「私たちが米や作物を育てた分、帝国は肉を与えてくれている。
それも昔私たちが狩で手に入れてた時より大量に肉が来るようになったじゃない。
実際私たち獣人の数は増えてるでしょ」
「自分たちで食える物を相手から供給されている。
これがどういうことかわかるか。
それだけ俺たちの生命線を握られているってことだ。
増えた獣人も畑を耕した奴に褒美として肉を与えているから自分たちの言うことを聞きやすい家系が子孫を増やす。
そして体のいい労働力が増えるだけ。増えた分余計に帝国に依存するしかなくなるんだ」
「馬鹿じゃないの?
誇りで飯が食えるの?
効率を考えたら帝国との共生が最適なんだよ。
なじめないなら君たちはそのまま衰退すればいい。
いずれ私ではなく帝国兵が立ち退きに来るよ」
「好きにすればいい」
二人は言い合った後解散していた。
私たちに気づいた宿屋の獣人が話してきた。
「すみませんね。そこの人たち。
お見苦しいところを見せて」
「いえいえ、あなたたちも大変ですね。
師匠のロンメルが帝国の宮廷魔導士として働いていた関係でね。
一応私は帝国の魔導士として働いていたんだ。困りごとには手を貸すわ」
「こういうもめごとは同族の中で収めるのがいいと思うからね。
あなたたち帝国のものにに頼むのは最終手段だから。
私の名前はシノア。よろしくね」
「そう。いつでも頼てくれていいからね」
私たちはシノアとともに宿への帰り道を歩いていた。
「ここでは、私たちが神獣と呼んでいるフェンリルがいるわ。
私たち獣人の中には信仰の対象になっているわ。
私たちにとっても、この森の獣人たちにとっても」
「それじゃー、そのフェンリルが獣人の仲を取り持つことはできないの?」
「フェンリルは基本的に生態系に影響を及ぼすほど暴れている魔物などを捕食するだけです。基本や傍観しているだけですね。
ですがいるだけで、特有のフェロモンから魔物を寄せ付けたり、出された尿や糞は作物を育てさせる肥料にもなります。
そのため豊穣を司る神獣として崇められているんですよ」
「へー、ただのうんこでさえ恵みになるとかさすが神獣様ですねー」
話を聞いていた時に森の奥から大量のイノシシの二本の角がやたら大きくなった魔物の群れが私たちめがけて突進してきた。
「ツインコーンだわ。それもこの数の移動はスタンピートの可能性が高いわ!!」
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