第32話 さるの恩返し 中編
「はあはあ😞なんとか完成させました!」
村人総勢の100000人掛りで作ったのであっという間でしたね☺️因みに1時間半で完成しています。給料は技術料など諸々で一人1両ですが、それでも10万両掛かっています。
現時点で千石船を作っただけで10万1500両掛かっているという事になります。今まで寝ていただけの太郎にここまでお金を使うことに驚きです。すると? また、寝太郎が、
「船一杯の草鞋を買うちょくれ」
と、言います。寝太郎は心がないのでしょうか? 村の方が力を合わせて作ってくれた千石線に一瞥もくれず、そんなことは当たり前と感謝などをせずに次なる要求を言うのです。長い睡眠の果てに良心が失われてしまったのでしょうか? こりゃ吐き気がしますね。
庄屋さんは、寝太郎の待ってましたと言わんばかりの矢🏹継ぎ早の頼みに、相変わらず目をパチパチさせ、
「こまった、こまった」
言いながら、草鞋を村中から買い集め、千石船に積んでやりました。
因みに千石船の体積を概算してみます。千石船の体積を計算して!
☆ ターン ☆
出てきましたwええと? 🐈25m × 8m × 2.5m ≒ 500㎥🐈
となります。ですが、実際には荷崩れ防止の隙間や、人の通路もありますので、実際に有効な待機体積は7割程度となります。となると、それに0.7を掛け算して計算して!
☆ ターン ☆
🐈【500㎥ × 0.7 ≒ 350㎥】🐈
が総積載体積という事になります。
次に草鞋1足の体積は、江戸時代の成人の足のサイズは約25cm。そして幅は約10cm。そして草鞋の厚みは約3cm程になります。そこから一足の体積は……これも計算して!
☆ ターン ☆
あ、あれ? 出てきません? どういう事ですかあ? ああっ! 無料版だと制限があるんでした! 少し待たないとやってくれないんですよね。うっかりしていました。そろそろ良いかしら?
☆ ターン ☆
ああ、出てきました良かったあwwで? 🐈体積 (1足)= 0.25m × 0.1m × 0.03m×2 ≒ 0.0015㎥🐈
収納できるわらじの数
総積載体積 ÷ わらじ1足の体積でこれを計算して!
☆ ターン ☆
ああっ! またです! こんな計算くらい早くして下さい! イライラしますうううう。もういいかしら? そろー
優しく……☆ ターン ☆
あwきましたwwwwええと? 🐈350㎥ ÷ 0.0015㎥ ≒ 約233,333足🐈です。
そしてその値段は一足0.002〜0.004両
ここでは平均して0.003両/足として計算してみます。
☆ ターン ☆
むむむ……また出てきてくれません……お願いですうう早くして下さあああいなんでもしますからあああ
希望を込めて優しく☆ ターン ☆
はあああ来てくれましたあああwええと?
😾233333×0.003=約700両😾
掛かります。千石船と合わせ、10万2200両掛かっていますね。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
「ちょっと中断。ねえアリサ? この女神のカタリナさんってバカなんじゃない?」
「うん。この程度で女神が務まるならそこら辺の蟻でも出来そうな気がするわw」
え? 何故ですかあ? しっかりとキャットミーミーミーを使いこなしていたじゃないですかあ?
「蟻w酷い言い草ねw」
「頻繁に使うと時間で止まると分かっているなら、そんな計算くらい暗算か電卓を使って計算すりゃいいだろって言いたいんでしょ?」
「そうそう」
ああっ! そんなトリックがあ?
「多分今目からうろこが落ちて
『ああっ! そんなトリックがあ?』
って叫んでるでしょうねw」
ええええええ? アリサちゃん今の話、聞こえていたんですよね? 1文字も間違わず予想出来る訳ありませんから!
「そうでしょうねww中断ごめんね。じゃあ続き行くわよ!」
「はいっ!」
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すると、またまた、寝太郎は、
「ついでじゃけえ、達者な
と言います。因みに舸子とは船を操る人の事をいいます。彼らの給金は月0.25両となるので、その8倍を計算して! あっまた止まるかもしれません、ですからこれくらいは暗算で解き明かしてみましょう。で、ええと、ええと2倍すると、0.5両でしょ? そして更に2倍すると1両! ですから……毎月2両を払う事になりますね。庄屋さん相当持ってますね。あくどい事をしているのでしょうか? 怪しいですね。
「8人も? そんなに必要かい?」
「うむ」
「こまった こまった」
そして寝太郎の連続攻撃に、まるで狐🦊付きのように何の為やら訳も分からず、舸子を雇い船に乗せます。とどのつまり、厚狭川を下って船出する寝太郎の、どこへ行くやも知れない千石船を、ぼんやり見送ってしまいました。
「ほんに庄屋様も可哀想じゃ。寝太郎が起きたと思うたら、10万2000両ほど散財して、ふらふら海へ迷い出てしもうたわい」
「宝船の夢の続きがしてみとうなったのじゃろうなあ」
「草鞋一杯の千石船たあ、貧相な宝船じゃのう」
「千石船ちゅうたら米を運ぶもんじゃ。草鞋さ運んでどうするんじゃ」
村人の陰口は色々でした。
寝太郎が厚狭を船出して1か月後。辿り着いたのは雪の降る地域でした。因みに厚狭は現在の山口県です。そこから恐らく北海道? もしくは秋田県辺りに辿り着いたのでしょうね。
「成程、この国の者に温かい厚狭のほかほかの草鞋を売る為に運んだのですか?」
そういいつつ草鞋の束を袋に入れ背負っていきます。
「お、恐らくそうなんちゃうか?」
「え? 売らないんですか?」
「いや、多分売るかもしれんな」
「曖昧ですねえ。では一応持って行きましょう。では本来YOUは何をする為に雪国に?」
「じきに思い出すわ」
「え?」
「ちゅうのもおらは夢で見た事に従いこの船旅を企画立案したんじゃ。でもいっぺんに思い出せん。なんちゅうかその断片的には思い出せるんじゃ。じゃがの? 現時点ではおぼろげに北の方に草鞋を持って行かなくてはならんちゅう事だけはわかっちょる」
「で、北と言えば雪国という事でここに来たと?」
「んだ。さあいくべ」
「て、適当だなあ」
「大丈夫かいなこの人」
「分からん。着いてく人を間違えたかもしれないな」
「つべこべ言わんと歩きなされ! 少しずつ思い出せちょるから心配せんでもええ」
「へい」
雪道を進むと、猟師の罠に掛かってもがき苦しんでいる一羽の猿🐒? に出会います。身の丈は170㎝くらいの白い猿です。しかし普通の猿とは違います。そうです、羽が生えているのです。
「なんじゃありゃああああ?」
「キーキー、痛いキー😢」
「おお、猿のバケモンじゃあ」
「じゃが白くて美しいぞ? 神々しさもある」
「お? 良く見れば罠にかかっとる。なら安心じゃあ」
舸子達はその猿を見て驚きます。しかし……
「おお、可哀想に」
カチャカチャ
「ね、寝太郎さん? 何してるんですか!」
「見りゃわかるじゃろ」
パカッ
しかし、哀れに思った寝太郎は罠を外し、猿を罠から解放してあげます。すると猿は一礼をして飛び立ちます? あれ? あの小さな羽で飛んで行ってしまいました……どこへ行ったのでしょうかね? ま、まあ良いでしょう。
バッサバッサ
「はああ? 鶴の様に上が白く、下が黒い羽が生えちょる猿とは珍しゃあなあ。ありゃ鶴の羽じゃろ? 鶴と猿の合成魔物かいのお?」
「大丈夫なんですか? あの猿、罠を仕掛けた村人に報復に行かないか心配じゃあ」
「大丈夫じゃ」
「信じがたいですよ」
舸子も過去一番に怯えて寝太郎を囲みながら言います。
「おお、そんなに囲んでこられては進めんぞ? ふう寒い寒い。じゃがこの付近に空き家がある筈じゃあ。そこを目指すぞ」
「寝太郎さん、本当にあるんですか?」
「これは覚えちょる。必ずある筈や。心配いらん」
「へえ?」(噓臭いなあ)
しかし10分程歩くと、寝太郎の言う通りの小屋が見えます。8人の舸子も入れる大きな部屋がある小屋です。
「確かにありましたね。しかし、こんな所に何で空き家が? 寝太郎さん気持ち悪!」
「うるせえ。なかったら文句を言う権利はあるじゃろう。じゃがこうして実際にあったのじゃけえ。変に勘繰るな」
「確かにそれはそうでしたね……おや? この機織り機は? 何でこんな小屋に?」
奥の部屋に向かうふすまの先には何故か機織り機が設置されています。
「知らん。だが良い小屋だな。ここで夜を明かす。明日出発するべ」
「この先に何があるのですか?」
「秘密だ」
「そんな事言わずに教えて下さいよ。私達は仲間じゃないんですか?」
「うるせえ」(うーん、この先の記憶が全くありゃしませんわ。適当に誤魔化しとくべ)
「そんな! 仲間ではないのですか? こうして寒い中一生懸命付いてきているんですよ? 腹を割って話して下さいよ! そうでないと不安で仕方ありません! 小屋には暖房はないのですよ」
「おら達の関係は仲間じゃなかと。雇い主と従者やろが? それに8人もおる。そんな深入りは出来へんよ」
「それじゃ私の昔話をしますから! そうすれば仲良くなれませんか?」
「舸子の過去には興味はなかと」
おやおや?
「はははははw」
あら? うけてますよ?
「なんじゃ? 今のが面ろうかったのか」
「お笑いのセンスがありますよ」
「うるせえ、皮肉にしか聞こえん」
「でも暖房がないので無理やりにでも笑って暖を取ろうとしていたのです」
「そうか? じゃあ草鞋でも体中に巻いておけ」
「あっその手がありましたね! では早速! おお、ちょっとトゲトゲするけれども暖かい」
「俺にも分けてくれ」
「おらにもだ」
「多分人数分あるでしょう。寝太郎さんもどうぞ」
「おお? おらはいいだよ」
「私たちは仲間ですよ? 遠慮なさらず」
「そうか? なら有り難く貰っておこう」(まあ、お父っちゃんが買ったものじゃけえおらの物でもあるんじゃが、細けえ事はいいじゃろう)
コンコン
そんな話をしていると、外から戸を叩く音が。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「この辺で一旦休みましょう。飲酒連続魔朗読はちときついわw」
「え? こんな所でへこたれるの? そんなんじゃ朗読者失格よ? まだ次回に行く程の文字数を読んでないでしょ? まあいいわ。私も喉が渇いてきた。お水持ってくる。ママもそれでいいよね?」
「助かるわ」
ダダダダダ
「はい」
「ありがとう」
ごくごく
「でもこの話、三年寝太郎のさと、つるの恩返しの、るの恩返しを合わせて猿を作り出すなんて……デスブックシルフのやる事はこの私ですら予想できないわ」
「確かにねえ……区切る所を間違えれば、3年の恩返しとか、3年寝の恩返しってタイトルにも出来るけど、これだったらどんなに頑張っても作りにくいしねえ」
「そうか! これしか出来なかったんだ! 三年寝太郎を先に入れてしまったせいで組み合わせた時に日本語として使えそうな言葉に出来る組み合わせがそれしか見つけられなかった。って事なのよ!」
「そうか!」
「でも私なら3の恩返しとかでも作れるけどなあ」
確かにその組み合わせで出来るとしても、面白いかどうかで言えばそこまで楽しそうな話になるイメージが湧きませんが……それでも私がまずアリサちゃんより先にイメージして見ましょう。ええと、雪国で数字の3がトラばさみに掛かっており、泣いている訳でしょう? そして、それをおじいさんが助けると、そしてそのお礼に目と口が3の感じの女の子に変身して機織機の前で、数字の3の姿に戻ってその一部分を毟って奇麗な3の模様のある布を織るんでしょう? あれ? ちょっと面白いかもw私、デスブックシルフを超えてしまいましたね。私自分の事を過小評価していたかもしれません。まさかここまで出来る子とは思いませんでした。これなら書かれている物を読む語り部から物語を紡ぎ出せる原作者になろうかしら? あっ! 一話逸を忘れて話を逸らしてしまった事を深くお詫びしてから話を戻します。
「アリサも合成本に触れている内にそんなスキルを身に着けたのね?」
「そうね」
「でもデスブックシルフはアリサみたいに冒険はしない感じね」
「まあそういう人間に成長はないから【ここ】止まりなんでしょうね」
酷い言い方ですねえ。まあ人間ではなく本棚ですけどね。
「じゃあ続き行きましょう」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「誰じゃあ? こんな夜更けに?」
ガラガラ
戸を開けると、そこには一人の美しい猿が立っていました。今朝助けた猿とは違い、羽は生えておりませんが、面影は近い物を感じます。そして、美しい銀色の着物を着た、まつ毛の長ーーーい猿です。恐らく女性でしょう。彼女曰く
「ゆキーの中、道に迷ってしまったのです。もしよろしければ一晩だけ泊めて下さいキー」
との事でした。
「まあよいじゃろう。みんなもええか?」
「そうですね。広さ的には問題ないと思います」
優しい寝太郎と舸子達は快く受け入れ、猿娘を家に招き入れました。
「ところで名前を聞いておらんな。それじゃあ気持ち悪いけん。お前さんの名前を教えんしゃい」
「えっと名前ですか? ええと……ツルヴァ……あっ! いえ、ツルヴィアですキー」
「そうか。よろしゅうな」(言い直していた? 寒いから凍えちょったっちゅう事かあ?)
「宜しくお願いしますキー」
「で、ツルヴィアさんはこんな雪の中で何をしていたんだい?」
「お腹が減って餌を……」
「え? ここは雪国じゃけえ、食いもんも少なくなかと? おめえさん雪の中で一体何を食おうとしてたんじゃあ?」
「ユキーノシタに生えてる草という植物を食べていました」
「そんな草あるんか? ツルヴィアさんはベジタリアンなんじゃあなあ」
「冷えていて美味しいんですキー」
「そうか、吹雪が止んだらおらも探してみるか。おらも食ってみてえ」
一晩明けると
びゅおおおお びゅおおおお
「止みませんねえ」
「これでは一歩も出られないキー」
次の日も、また次の日も雪が降り続いたため、出立出来ずにいた寝太郎。
「これでは体が訛ってまうぞ」
「一歩も出られませんねえ」
するとツルヴィアは、
「いっそ、皆様の娘にしてくれませんキー?」
と願い出ます。
「なんじゃ突然? 飛躍しすぎとらんかね? 急に娘か?」
「この言葉、本来おじいさんとおばあさんに言う予定だったのですが、この話では焼失したみたいでどこを探しても見つからないみたいですキー。ですからここで言うしかないと判断しましたキー」
め、メタァ
「どういうこっちゃ? まあええ。うーむ、娘……か。そうじゃな。おらにも家族が……よし、ツルヴィアも今日からおらの家族だあ」
「よろしくお願いしますキー」
10人での暮らしが始まりました。すると一人の舸子が、
「大変大変! 米や水がもうないよ。餓死しちゃうかもしれないよ?」
「そうじゃなあ一体どうすりゃあ……」
寝太郎は食料は船旅でほぼ使い切り、草鞋で敷き詰められていた船内です。残り少ししか持って来ていなかった為、このままでは全員が餓死してしまいます。するとそれを案じたツルヴィアが、
「これから隣の部屋で布を織りますキー。その間は絶対に部屋を覗かないでキー?」
と言いました。
「そ、それを売るという事かあ?」
「はい。では行ってきます」
やがて3日が過ぎ、吹雪が止むとツルヴィアが部屋から出てきました。
「これをメノレカリで売ってキーて下さいキー」
と差し出された布を撮影し出品してみます。その神々しい程に美しい布に、たちまち12000いいねが付き、出品者レベルも8まで成長してしまい目玉が飛び出る程の高値で売れました。
「こ、これはすごいぞ!」
歓喜しテンション急上昇の寝太郎達。しかし、寝太郎や舸子のテンションに反比例し、ツルヴィアが若干やつれ気味でした。
「ありゃあ? 大仏枯れてないか?」
「それを言うなら大分疲れていないか? でしょう?」
「そうじゃったな。で、大丈夫か?」
「ご心配なさらずですキー」
「ほんとけ?」
「ではもう一度織って参りますキー」
「無理しちゃあかんぜよ?」
「はい、では行ってまいりますキー。あ、絶対に覗かないで下さいね」
「お、おう」(そう言われるとキーになるなあ)
ーーーーーーーーーーーー3日後ーーーーーーーーーーーーー
「でキーました」
ふらふら~
「いつも助かるよ……ありゃ? 頬がこけていりゃせんか?」
「いいえ。キーのせいですキー」
しかし、ツルヴィアが布を織るごとに、大きな評判を受けて高値で売れるので寝太郎達の暮らしは楽になりましたが、彼女はどんどん憔悴していきました。心配になった寝太郎は、ついに部屋を覗いてしまいました。
コットン コットン
ツルヴィアの姿がいる筈のそこには、布を織っている一羽の猿が。そう、罠にかかっていた羽の生えた猿でした。あの美しい布は、猿が自身の羽根をむしって織り込む事で作っていたのです。しかし、今や羽根のほとんどが抜けて、ボロボロの見るも無残な姿……。
驚きを隠せない9人に、ツルヴィアは
「ついに見てしまいましたね? 私はあの時助けてもらった猿です。どうしてもお礼をしたくて人間の姿に変えて恩返しを考えました」
と告白します。なんと、娘の正体は寝太郎が助けた猿だったのです。ですが、体は人間に変えていますが顔はどう見ても完璧なる猿なんですよね。そしてその告白を聞くまで気付かなかった寝太郎は
「なんてこっちゃ……ところでおめえさんの種族は何なん?」
「ツルバーデビルという種族です。有翼種の猿の仲間ですキー。その美しい羽根は美しい布の材料になります。そして、べ偽ラマ🔥やマホ戸ーンなどの呪文が得意で、トノレネコ不可思議なダンジョンでは2倍の速さで移動する事も出来ますキー」
「なんと! かっこいいじゃないか」
「ありがとうですキー。このまま皆さんの娘でいたかったですキー。正体を見られたからには去らねばならないキーもう少し暖かいところに住処を探す事にするキー」
「ここを去るのか……猿だけに……な……!」
ビュオオオオオオ バッサバッサ
寝太郎が美しいダジャレを言うと、待っていました! と、言わんばかりに折角止んでいた吹雪が再び吹き荒れ始めます。その吹雪を追い風とし、美しく飛び立つツルヴィア。
そして、美しいダジャレを言った直後とは思えない程に堂々と別れを嘆く寝太郎に見送られながら、遠くの空へと帰っていきました。
「行ってしまったようじゃのう。しかし吹雪がひどい。一旦小屋に戻ろう」
自分のせいという事は分かっていませんね。吐き気がします。
「え? この先には何があるのですか? 何かあるからわざわざここに降りたのでは?」
「忘れんしゃい」
「えええええええええ?」
舸子は全員驚きます。
「じゃがここでの思い出が、そして布を売って得た金が宝じゃったと言う事でよかせんか?」
「良くないですよ!」
「わしも寝ぼけて行き先を間違えた可能性があるっちゅうこっちゃあ」
「そうだったのですね? では本当の目的地を思い出せましたか?」
「そうじゃな。今から思い出してみるわ」
「あなたの記憶で人生が左右されると思うと恐ろしいですよ」
「しゃあないわ。じゃがここまで来たんじゃ。最早一蓮托生や」
「なるべく早く思い出して下さいね」
「約束は出来ん」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「はあはあ、もう無理。この辺で休憩ね……」
「おばあさんには辛い文字数なのね……」
「あが多いわよ! ってかおばさんでもない! お姉さんでしょ! まだ21よ!」
「お母さんね」
「しかし三年寝太郎って航海までするのね。大冒険物語だったんじゃん。全く知らなかったわ。でも私は寝起きで船を発注したり舸子を雇うなんて思いつけないわ」
「寝太郎本人も言ってたけど夢で大まかの流れを見ていたのかもね」
「どんな夢なのかしらね?」
「寝太郎でのオチは知ってるけどこの合成話では予想付かないわ。でも船を使ってまで探したいものがあるんだから余程いいものが待っていると思うわ」
「そうね、ま、休憩終わったら続きね」
「はいっ」
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