第14話

「知っています。

兄から聞いています。

それでも私は小塚さんに会ってみたかったから」




「優ちゃんは僕に何を求めているの?

僕は君に何をしてあげればいいの?」



そう言った彼の目は、

どこか哀しい色を秘めている



この時の私は、

彼のその哀しさが何なのかは分からなかった





「小塚さんの写真を見て、

私は小塚さんの事を好きになりました。

だから、会ってみたかっただけです。

別に、

私は小塚さんに特別な事は求めていない…。

小塚さんが兄から聞いてるように…」




「…特別な事は求めていないか。

そうだよね。

此処に居ても仕方ないから、

何処か場所を移そうか?」



彼はそう言うと、

私の返答を待たずにタクシーを一台止めた



私はゆっくりと、

彼を追うようにタクシーに乗り込んだ

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