『マリオネットとスティレット』AI改善版
北條カズマレ
第一章 大時計塔の下で
第一話 暗殺者のいる街
朝焼けの光が、街の瓦屋根を赤く染めていた。石畳の隙間から立ち上る霧が、獣人の傭兵が啜る酒の匂いと混ざり合う。糞便の臭いも嗅ぎ取れる。文明と欺瞞の陰謀の街に今日も朝がやってきて、貧民街の汚濁を否応なしに温めていく。まるで悪徳を悪臭として立ち上らせ、街全体に行き渡らせるようだ。
そんな汚らしい街の一角、路地の壁に、赤い花が咲いている。いや、それは花ではなかった。赤く飛び散った地であった。それが放射状に広がって、花弁のように見えたのだ。
「コイツ、外から来た新参の奴隷商人だ。
「この街で勝手を……」
「暗殺ギルドはいい仕事をしたな」
「シッ、関わるな、どうせエルフや孤児が持って行くさ……」
通りを行く者たちは、ひそひそと噂話をしては死体を無視して歩き去った。
ある男が歩いている。狼の血を引く毛皮に包まれた灰色の男だった。その毛むくじゃらの手が、人の骨とも獣の骨ともつかない白い欠片を齧り、それを投げ捨てた。
影が躍り出る。路地から飛び出た少年は素早く動いた。朽ち果てかけた骨を、慣れた手つきで籠に拾い上げる。その指先には古傷が幾重にも重なっていた。黒い髪と黒い猫の耳を頭に備えた少年は、骨を見つめた。ぼーっと。何を考えるでもなく。貧民街の子供たちにとって、それは日課だった。燃料にもなり、薬の材料にもなる。時には食いつなぐための最後の手段にもなった。
「おい、そこのガキ!道を開けろ!」
先ほどの男に続く傭兵たちが、石畳を踏みしめながら近づいてくる。獣人もいれば、毛皮のない人間もいる。子供たちは慌てて避けようとするが、酷いことにブーツの蹴りをくらって籠を落としてしまう。ガラガラと、ひろい集めた骨やガラクタが石畳の上に散らばる音が、朝の静けさを破った。
その時、子供たちの前に影が差した。
「なんだ!? てめえは!」
傭兵たちの前に立ちはだかる金髪の若い女性。革で作られたダークブラウンの戦闘服に身を包んだ姿、その真っ赤な瞳に、獣のような警戒心を示す光が宿る。まるで赤い血が炎の照り返しを宿したような、不自然な輝き。
「うっ!」
美しい女だったが、だからこそ、そのあまりの威圧的な雰囲気はかえって超人的な威容を備えた。傭兵たちが後ずさる。その中の一人が声を上げた。
「暗殺ギルドだ、手を出すな!」
「ちいっ!」
街で最も恐れられる組織の名前だった。傭兵たちはそそくさとその場を後にした。女性は腕組みしたままその後ろ姿に強い視線を送り続けた。十分離れたとき、彼女は豊かなポニーテールの金髪を振って、鼻を鳴らした。獣人の少年は振り返る。
「ありがとう、レカ姉ちゃん!」
太陽が差さない薄暗い裏路地に光が弾けた。レカと呼ばれた、暗殺ギルドの若き構成員は、ぴっちりした革のグローブを少年の頭に置く。ふさふさした黒髪と黒猫の耳が揺れた。
「おー、タンザ。朝から働き者じゃん。えらいえらい」
レカは少年の頭を撫でながら、優しく微笑んだ。タンザ。まだ10歳になったばかり、孤児、猫族の獣人少年。彼はレカが面倒を見ている子供の一人だ。この貧民街では、暗殺ギルドが秩序を保っている。レカは便利屋や、雑用の御用聞き、あるいは世話役というところか。レカは可愛らしい弟分に優しい表情を見せてやる。タンザはくすぐったそうにしながら、応えた。
「ふふ、レカ姉ちゃんほどじゃないよ。みんな言ってるんだ。貧民街は姉ちゃんが守ってくれるって」
その言葉を、レカは受け流す。
「っへ、あーしらのギルドのシマだからなァ、仕事だよ」
そしてしゃがみ込んで、散らばった骨だの古鉄だのを拾ってやる。タンザも慌てて拾い、籠の中に放り込んでいく。だが、すぐに顔を上げた。彼の鼻が、何かを捉えたのだ。
「役人の奴らの匂いがする!警官だ!他にも誰か……」
レカも顔を上げた。路地の向こう、建物の間に、白磁の鎧と兜を身に纏った、古風ないでたちの大男が二人、そしてその間に、だいだい色のケープとつばの広い帽子を被った人影があった。
「冒険者もいる!」
タンザはそう叫ぶと、レカの後ろに隠れる。ダークレザーのスーツに肉球のある手を引っ掛けて、すっぽり身を隠してしまった。レカは先手を打つことにした。
「冒険者ギルドの皆さん、朝の警邏活動、おつかれさーんす!おはようございまーす!っしゃーっす!今朝も早いっすねー」
まるでちんけな使いっ走りのように、全力で媚を売ってみせた。つば広帽子を被った女性--冒険者の魔法使いである--は、じっと背を低くしたレカを見つめた。鎧を着た警吏の役人が耳打ちする。
「暗殺ギルドの便利屋です、無視しましょう」
「ふーん」
魔法使いはまじまじとレカを見た。その赤い瞳を。レカもまたへつらう笑みを浮かべつつ、その魔法使いを見返す。
(高位の冒険者だ。あーしより年齢は5歳程度上、身長は5cm下。体重はずっと軽い。歩調から見るに体力はそれほどでもないらしい。だが顔つきと雰囲気は治安の悪いこの街区から受けているストレスが全くないことを示してる。何が来ても魔法で対応できるってツラだぜ)
めざとく、暗殺業と訓練で培った観察眼が働く。警ら隊は止まることなくレカと獣人の少年のそばを通りすぎていった。
「ふう……」
猫の耳が倒れ、少年が安堵のため息をついた。肩から力が抜ける音が聞こえる。その頭を、優しく撫でるグローブの手。
「もうスリをしてねえんだから、怖がることなんかねーのに。ほら、これで美味いもん食え」
少年の手に捩じ込まれたのは、一食分に少し余る程度の金額のコインだった。遠慮しないように半ば無理やり。
「ありがとう、姉ちゃん……」
少年の黒い毛皮に包まれた顔に、笑顔が浮かんだ後、すぐに曇ってしまう。どうしても違法な商売の方が稼げたことを思い出してしまう。レカも一瞬表情を落とす。街の闇が子供たちを蝕んでいく現実は、彼女もよくわかっている。
「…………きのうまでみたいに、スリを続ける方がよかったか?」
少年は首を振る。レカはじっとその姿を見下ろした。
「大変だよな。犯罪しようが、真面目にガラクタ捨いで暮らそうが、色々と苦労ばかりで…………」
タンザは鬱々とした表情を色濃くしてしまう。レカは努めて明るい声で言った。
「あのさ、困ったら暗殺ギルドに来な。仕事くらいは紹介できる。もちろん危険じゃないものだ」
猫耳の生えた顔が横に振れる。レカは笑った。
「へっ、だよなあ」
そして彼女の赤い瞳が光り、金色のポニーテールが大きく揺れた。彼女は、少し体を沈めて、地面を蹴ったそれだけで、崩れかけた石畳の路地から建物の屋根まで飛び上がる。
「すげえ!」
少年の顔がやっと明るくなった。明らかに人間の能力を超えた跳躍だった。レカは屋根の上から少年を見下ろし、こう呼びかけた。
「あーしらの仲間になんか、なるべきじゃねえよ!」
それだけ言うと、レカは走った。屋根の上を。音も立てず、ダークブラウンの革の色と、実った稲穂のような金の髪の色を残像として。人ならぬ速力だった。路地に残るタンザ少年の背中、ガラクタを集める籠の中で、骨の白い欠片が朝日に照らされて光る。レカは朝日の中で、こう呟いた。
「よっし! 今日も元気にいくかー!」
誰に聞かせるでもない。ただ、この街によどむ暗い何かを、打ち消すように。白々と明けゆく空の下、街が起き上がっていく。貧民街の路地を人間の労働者が歩いて行く。獣人の屋台で食料を得て、今日の十二時間労働を乗り切るためのなけなしの体力を奮い立たせる。さらにその裏では、壁にもたれかかる影がある。娼館からも追い出され、廃人となったエルフたち。かつて街の外では魔法の使い手だった彼らの目は、今や虚ろだった。そこかしこでは、傭兵たちが酒を飲んでは喧嘩をしている。これがこの街。全ての人間を磁石のように吸い込んで、石臼のように擦り潰す、ダンジョン都市、パラクロノスの姿だった。人家の煙が立ち始めるなか、レカの影が朝日に照らされて長く伸びる。だがそれが路地に落ちないよう、彼女は最新の注意を払う。光の中でこそ、影がどうなるかを計算せよと訓練されているのだ。レカはそんな中でも、遥か遠くに目を向ける。その先には、街の中心、大時計塔の尖塔が、朝もやに浮かんでいた。塔に埋め込まれた巨大な歯車の音が、遠くから響いてくる。
(この街の心臓、街の外から人々を呼び寄せる魅惑のダンジョン、大時計塔か……)
レカは複雑な目線を、その非人間的なまでに巨大な姿に向ける。山のように高いそれは、中心街から離れた貧民街にまで影を落としている。
やがて路地に降りると、レカは他の労働者と同じように、馴染みの獣人の屋台でパンを買った。
「おい、ミーチャ。二個は頼んでねえよ」
レカは一個分のコインと交換で二つのパンを渡された。やや老齢になりかけている長い犬の毛の獣人、ミーチャと呼ばれた女性は、ふふふと笑った。
「レカ。あんたにはこの地区のみんなが世話になってるからねえ。お腹いっぱいにしてもらわないといけないよ。あんたのおかげで、食い物に獣人の毛が入ってるからって殴るやつが随分減ったんだ」
レカは笑顔を浮かべる。
「そっか。旦那はどうだ?」
犬のミーチャは肩をすくめてみせる。
「相変わらず飲んだくれだよ。でももう大丈夫だよ……」
レカにはぜんぜん大丈夫ではないことが察せられた。しかし彼女の我慢を尊重してやった。
「そっかそっか、また、救貧院にたくさん持って行くからよ、たくさんパン焼き頼むわ」
「ありがとうねえ」
レカは屋台が並ぶ、貧民街のメインストリートを行き、パトロールを続けた。ちょくちょく挨拶をされる。
「レカ!」
「レカちゃん! 今度寄って行きなよ、ご馳走するよ!」
「ああ、暗殺ギルドの……。いつもありがとうごぜえます……」
獣人もエルフの男性も人間もいる。レカはその度に手を振って愛想を振り撒く。そんな中、通りですれ違うフードの男から、何かが手に捩じ込まれる。あくまでさりげなく。レカは何もなかったように歩き去り、路地でそれを広げた。いつもの、ボスからの指示書だった。内容を一瞬で記憶すると、捨て去る。それはまるで掻き消えるように一瞬で燃え尽きた。暗殺ギルドの魔法の紙だ。指令は……街の中心部と貧民街を含む外縁部を繋ぐ、橋の一つへ向かうように言っていた。
「布告!布告!我々傭兵ギルド最強の獣人部隊!この街を貴族の支配から解放する英雄だ!寄付を募る!この橋を通る者は誰でも寄付できる!解放に協力せよ!」
朝靄の中、レカは瓦を踏む音一つ立てず身を潜める。瞳に一瞬、魔力の赤い光が宿る。父から受け継いだ、人ならざる力。それは彼女の誇りであり、同時に呪いでもあった。
(アレが……ボスが言ってた最近チョーシこいてる傭兵ギルドのアホか)
近くに、鎧を着た人間の一団がある。冒険者ギルドの警官たちだった。明らかな違法行為にも手が出せない。見ているだけだ。街の力関係が、そこに如実に表れていた。
(ッケ、子供のスリには厳しいくせに。情けねえ)
だからこそ、レカのような暗殺者に仕事が来る。正義の名の下に、闇の裁きを下す役目。屋根に跳び移る。軽やかな動きに、魔力の赤い光が一瞬だけ瞳に宿る。瓦を踏む音一つ立てず、標的を確認する。
「確かに情報通り。傭兵ギルドめ、まーた勝手な真似してやがる」
レカの聴力は、はるか下方の傭兵たちの会話を聞き取ることができた。
「よし、橋の封鎖はいい儲けになるな。通行料、じゃなかった。寄付金を払えない奴は通すな」
「金払えない平民どもを追い返せばいいんですね」
「そうだ。傭兵ギルドの権限だ。文句は通らん」
レカは目を細める。この橋を封鎖されれば、労働者は大きく迂回しなければならない。そうなれば、彼らの日当でその日暮らしをする貧民街の人々の生活も、大きな影響を受けるだろう。ミーチャやタンザの顔が浮かぶ。
「ッケ、馬鹿野郎どもが。影響くらい考えろっての」
橋を封鎖する傭兵たちは、間違いなく命じられた暗殺対象、標的だ。
「よっと」
レカが屋根の上で腰を落とした。彼女の暗殺のスタイルは、その超人的な身体能力を活かした速攻である。人間はおろか、獣人の動体視力ですら認識不可能な速度で、対象を一瞬で殺す。それは暗殺ギルドのボスから受け継いだ技術であり、誇りでもあった。
低い姿勢で、警戒する傭兵たちが突き立てる槍の隙間を計算する。一瞬の迷いも許されない。相手の懐に侵入すれば、もう勝負は決まっている。超人的な動体視力で状況を把握する。傭兵たちの槍、逃げ道、そして……中隊長の傍らにいる小姓の少年。
(邪魔だ……下がってくれよ……)
祈るような思いで、レカは最適なタイミングを待つ。だが躊躇しているうちに、狙った軌道が崩れて行く。朝の通勤時間が終わり、獣人傭兵たちが散開してしまえば、警戒が強まる。時間なんかなかった。少年は離れない。
(……クソ)
瞬間、レカの姿が消える。屋根の瓦が飛び、砲弾のようにその体が射出された。槍の隙間を縫う際、それを手掛かりに、矢のような自らの動きを微調整する。
「なんだ?」
槍を持った兵士たちが怪訝そうに上を見る。鳩でも止まったのだろうか。それよりも強い感触だったが、槍にはもう何もいない。誰も、迫りくる暗殺者の姿を捉え切ることはできなかった。
だが、だからこそ、途中で止まることなんかできない。
(ごめん)
獣人傭兵の隊長へのインパクトの瞬間、小さな男の子の影が重なった。それは考慮されたリスクだったが……レカの心は、受け入れることを望んでいたわけではなかった。
ドン!
石橋を覆う敷石が砕け、いくつかが散弾のように飛び散った。もちろん、血も、肉片も混じっている。
「おわ!? ほ、砲撃だー!」
「いったいどこから!?」
「いや、音もなかった! 投石器…?」
橋の上の傭兵たちは大混乱に陥った。その隙に何人かの商人がさっと渡ってしまう。しかし誰も捕まえない。濛々たる煙の中に、潰れた死体が見えたから。
「た、隊長!」
ばしゃーん。
水音がした。橋の欄干から川へ落ちる影だけは、何人かが目にした。獣人傭兵の中には、やっと反応できたものがちらほら。
「隊長がやられた!? 何があったんだ! 何が飛んできた!?」
「み、見えなかった……」
「水音がしたぞー! なにか飛び込んだのが見えた! 川だ! 撃て!」
水面に銃弾が着水する中、レカは水中で膝を抱えたまま、流されていった。冷たい水が、彼女の熱い罪悪感を少しずつ洗い流していく。
(また……また巻き込んじまった……)
とりあえず水面に火縄銃を撃つものもいたが、それだけだった。連発する間もない。橋の向こう岸の方から雄叫びが聞こえたからだ。
「い、いけー! 橋の不法占拠者だっ!とらえろ!」
「ま、まずい!」
募兵権を持つ隊長が死ねば、末端の傭兵たちは傭兵ギルドの保護を失う。所詮、食い詰め貧民や強盗を、金で募兵しかき集めただけの存在だ。今まで手を出せないでいた冒険者ギルドの警官たちが、一斉に剣を抜き、魔法の光を放った。槍や銃や喧嘩や賭博には明るい荒くれ者たちだったが、こうなると苦手分野だ。光の輪が彼らの両腕をしばり、次々に捕縛されていった。
パンが焼ける匂いがした。
その日の昼前、レカがパン屋の裏路地に辿り着いた時、店の中から怒鳴り声が聞こえる。
「この役立たず!」
ミーチャの悲鳴に混じる暴力の音。まだ戦場の緊張が抜けないレカの体から、無意識に殺気が漏れ出る。かつて街で最強と謳われた父の血が、彼女の中で目覚める。
「な、何だ……!?」
獣人の夫が震え出す。死の気配に本能が反応したのだ。よろめきながら逃げ出す背中を、レカは虚ろな目で見送る。また暴力で問題を解決しようとしてしまった自分に、どこか嫌気が差す。
「……あーしのいうことが聞けねえのかな。なんども警告してるのに」
まだ殺気が漂うその言葉に、獣人のパン屋ミーチャは体の埃を払いながら言う。
「仕方ないよ。この街に暮らしてると、みんな鬱憤がたまるのさ。あたしを殴るだけで済んでるなら、まだマシさ……。あんたこそ大丈夫かい? なんだかひどい顔してるよ?」
金髪のポニーテールを振り乱し、レカは素直に驚いてみせる。自分の心の闇を見透かされたような気がして。
「え? あーし?」
努めて明るく振る舞おうとする。仮面のような笑顔を作って。
「あ、ああ! なんでもねえ! パンをとりに来たのさ!」
ミーチャは黙ってレカを見つめた。その瞳には、全てを見透かすような優しさがあった。母性とも慈悲とも違う、深い理解。
「……ちょっと待ってね」
奥から大きな包みを抱えて戻ってくる。温かいパンの香りが、レカの緊張を少しだけ解きほぐす。その香りは、いつも彼女に安らぎを与えてくれた。
「リリアさんの救貧院行きね。いつもありがとう」
レカは頷くことしかできない。言葉にできない思いが、喉に詰まる。ミーチャは柔らかく微笑んだ。まるで全てを理解しているかのように。
「気をつけて行きな、レカ。今日はなんだか……霧が濃いから。大時計塔が霞んでる」
その言葉に、レカは強がるような笑顔で答えた。でも、その手は確かに震えていた。
包みを抱え、レカは歩き出す。その背中をミーチャは見送り続けた。朝もやの中、レカの姿が消えていく。路地には、パンを焼く香ばしい匂いだけが残された。ミーチャの夫がいそいそと姿を表し、禿げのある毛皮をかきむしって言った。
「あのガキ、バケモノだぜ。あんな気配、おれぇあ、初めてで……」
ミーチャは無視して空を見上げた。昼の光の向こうで、大時計塔の鐘が鳴り始めていた。その音は、また新たな一日の始まりを告げている。あの優しい暗殺ギルドの若い戦士にとっては、また新たな罪を重ねる一日の始まりを。
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