くろこの本棚

くろこ(LR)

ルーマニアの民話

◆直野敦、住谷春也共訳編(恒文社)


地元の図書館で、世界の昔話とか民話とかを読み漁っていた頃に出会った一冊です。

あまりにも好き過ぎて、図書館から借りてきては、その内容を少しずつノートに書き写していました……途中で埒が明かないと気付いて、ヤフオクで実物を購入しましたけれども。

図書館でないとなかなか出会えないタイプの本だと思います。


何がそんなに気に入ったのかと言うと、わたしは自分の好きを言語化することが苦手なので説明するのは難しいのですが……今にして思えば、翻訳も素晴らしかったのだと思います。

テンポが良くて読みやすかった印象があります。


『夢の国』

夢で見た相手に恋焦がれ、主人公は夢の国へと赴きます。途中で歌を歌う場面があり、その詩がわたしはとても好きでした。


『勇士ペトレアとイレアナ』

この物語には、ズメウという存在が登場します。ルーマニアに伝わる、魔物のような存在ですね。龍人と訳されていました。

ルーマニアの民話には他にもズメウの登場する物語があって、ほとんどの場合は敵方の悪役なのですが、こちらのズメウは一味違います。

なんとイケメンです。美男子なのです。

彼はその美貌で主人公の母を魅了し、主人公を追い出して自由になろうと画策します。


『つながれ首飾り』

二人の兄妹が色んなものに転生しながら進んでいく物語です。そんなに長くないお話なので、ネタバレ防止のために詳細は省きますが、とにかく文章が軽快でテンポよくストーリーが展開していった記憶があります。


ただ二点、この本の難点を言うと、古い本のため、字が小さめなので読みづらいことと、現在では入手しづらいことです。

まあ、少し大きい図書館に行けば、だいたい所蔵しているのではないかと思うのですが……。

末永く残って欲しい一冊ですね。

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