2-12【しずくの不安】

ポチはわたしが承太郎じょうたろうくんのお爺様の家に行ってから、

ちょくちょく出かけてる様子だった


だけど・・・


最近は随分見かけてない・・・


わたしも流伽るかくんとのことですっかり浮かれていて、

逆にポチがいなくて良かったとすら思っていた。


だけど昨日の夜すごく嫌な夢をみた 

『あの星』の最後の瞬間 

全てが一瞬で消えた 


そのせいか、

ポチがいないことになんだか急に不安になってきた。



承太郎じょうたろうくんのお爺様のところにいるの? 



ポチとの連絡手段がわからない 


でも承太郎じょうたろうくんには相談できないし・・・



どうしよう・・・なんだか涙がでてきた。


喧嘩した時なんか、いなくなっちゃえ 

なんて思ったこともあったけど 


いないとこんなにも不安になるとは思いもよらなかった 



「しずくちゃん?」


振り向くとつかさくんのお姉さんがいた。


わたしは思わず「ママっ!」と言いながら

お姉さんの胸に飛び込んだ


承太郎じょうたろうくんが日程調整して

話をする機会を設けようとしていたけど 


流伽るかくんのこともあって結局それもかなってなかった。 


会うのは2回目なのにわたしは子供のように泣きながら 

一方的にポチが帰って来ないことを一生懸命話した。



「落ち着いて話せるところにいこうかっ」


わたしたちは大学の近くのカフェに入った。



わたしは相変わらず泣きながら


「ポチがっ!ポチがっ!・・・」


としか言えなくいて



だけど紗季さきさんは「うんうん」と聞いてくれた。



『あの星』でもこうやって甘えていたことを思い出した 



紗季さきさんは『あの星』でわたしの乳母だった人

そう、承太郎じょうたろうくんの母親だった人。


わたしは『あの星』の自分の母親を知らない

思い出せない

思い出せないというか記憶がない

物心ついた時から、わたしにとって母親は彼女しかいかなった 



「ゆっくりでいいから聞かせて、まずポチって?」


「あっ・・・『あの星』ではわたしの父で

この世界ではわたしたちにしか見えない

狼なんです。」


「殿下なのね。で殿下がどうしたの?」


「ポチはわたしの周りにしか

いられないんだけど、

承太郎じょうたろうくんのお爺様の家は

自由に行き来出来て、


でも承太郎じょうたろうくんもポチも

お爺様の事警戒していて

ポチは調べるからって言ってたのだけど。


最近ほんとに見かけなくなって

急に不安になって


でもこのことわかるの

承太郎じょうたろうくんしかいないから・・・


でも色々あって承太郎じょうたろうくんにはもう頼れなくて・・・」 



「わかったよ。」


紗季さきさんはあの頃のように優しくわたしの頭を撫でてくれた。

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