浜田家⑤

「じゃ、じゃあどうして、君たちと僕が会た時……その時に助けを求めなかった!」


思わず声を荒らげた。

プレゼント、プレゼントにそんな、そんなわけが…先輩は何を…いや、いやいやいや。

思考がまとまらない。なんだ。なんだよこれ


「それは……」


僕の勢いに花保かほが言い淀む。

すかさず陽一よういちが割って入いる。


「いい、花保かほ。俺のとこに連れて来たってことは、そういうことだろ?」


「う、うん」


「そこは、俺から…話させてくれ」


ここからの話はあまり覚えていない。

だけど、多分、こんな感じだったと思う。


見えないけど居るのは分かる。

もう家の中ではそういう扱いになってた。

ただ、勝手に扉が開いたり、物が動き出したり、変な音がしたら、その場から離れる。

そういう、無言のルールが浸透して。


今日、ここで会ったのに助けを求めなかったのは、あなたが、あなただけが姉さんに呪われてたから。姉さんの怒りに触れたから。


単調な謝罪を交互に繰り返し、奇天烈な部屋で怪物と共に彼女らは僕に語った。


「でもそれっ、それは……」


「ごめんなさい」


「申し訳ない……、僕のせいです」

「僕が……僕にできることなら、何でも」

「責任を……取ります……。」


皆一様に拳を握り、泣きそうな顔をしながら僕に謝る。しかし、責任を取ろうとしたのは陽一よういちだけだった。いや、当然だろうか。


「……」


部屋のどこかでカチンと音が鳴り、僕を混乱から現実へと連れ戻す。


こいつに責任を取らせるのは、何か違うな。


まとまらない思考の中で、ふと、そう思った。それだけだったのだが、あの場ではそれで十分だったと思う。


「僕は、もう行くよ」


「えっ……?」


初めて陽一よういちの泣き崩れた顔が見えた。なるほど、子どもだ。僕と同じ。

そうか、そうか、僕はを信じるんだな。


「大丈夫、僕が今日から良い子に戻してあげるよ。きっとね」


返事を聞く必要はないだろう。

そのまま僕は窓から飛び降り、トナカイと共に雪の中に紛れた。あの家に訪れた最悪を奪って。


「あー! したくねぇー!」


清光きよみつは、いい子になるだろうな。サンタなんて、もう見ることもないだろうが。先輩に、話をしなくちゃな。

袋の中で蠢く女が相槌を打った気がした。

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