時の交わる間~輪廻転生した僕は君に会うために~
なかなかぼちぼち
プロローグ
冷たい雨が降る夕刻、僕は小さな神社の前で足を止めていた。 濡れた制服が肌に張り付き、強い風に晒された身体は、動くことも考えることも体温と共に奪われていた。
僕は無意識の内に神社に足を踏み入れ、薄暗い拝殿の前に立つ。かすかに聞こえる雨音の中で、ぽつりとつぶやいた。
「もう…つかれた」
その瞬間、風が止み、時間が凍りついたような静けさが辺りを包む。
一面に霧がかかり、闇の中から〇〇のような柔らかい声が、僕の後ろから聞こえてきた。 振り向いた僕の目に見えて来たのは、小柄で淡藤色の和服がよく似合う色白の少女だった。 黒髪が雨に濡れたように艶やかで、瞳の奥には夜空のような深い闇が宿っている。
ー君は誰…
僕が声を出す前に、少女が話し出す。
「やっと、会えたのね」
その言葉に、少女の瞳に、僕の心はざわめいた。
ー以前に会ったことがあるのか?
彼女の黒い瞳に映る自分が、何者なのか?それさえも、わからない。
そんなことを考えているうちに、いつの間にか、雨がやんだ空には、薄明かりの月がのぞいていた…
僕の孤独な日々は、この出会いをきっかけに大きく揺れ始める。
そう、月久保 翔(つきくぼ しょう)の物語。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます