第2話 私立霞高等学校

 都内某所にある高等学校。

 私立霞高等学校は元は師範学校を基礎とする学校である。

 この学校には不思議があった。

 各学年に必ずある定員割れをしたクラス。

 概ね40人がクラスの定員であるが、30人や下手をすると10人程度しかないクラスが学年毎に必ず1つは存在する。

 その生徒達は文武に優れている為、大抵の生徒は特別な生徒で構成されていると勘違いをしている。

 このクラスの生徒は皆、忍者である。

 幼少期から忍者として育成された者は全て、この学校に通う。

 無論、彼らに戸籍が無いのが当たり前だから、普通の学校に通わせられないという事情もあるが、管理して、教育を施すには都合が良いからに過ぎない。

 彼らは幼少期より、知能や身体能力を高める訓練を受けている為、同世代の者からすれば、優秀な部類に入る。だが、それは決して超人的では無い。プロ入りが期待されるようなスポーツ選手には勝てないだろうし、東大や京大に入れるような頭脳にも負ける。つまり、平均よりやや上。それが忍者のスペックである。

 映画やアニメで語られる忍者はあまりにも超人的過ぎる。

 実際の忍者にああした超人的能力は不要であった。

 彼らに必要なのは能力では無く、技術である。

 身体能力が不足してても、格闘術、射撃などを必要に鍛えておけば、大抵の問題はこなせる。彼らに求められる任務は決して、超人じゃないといけないわけじゃないからだ。

 そんな彼らの担任教諭も忍者。

 学校の教職員の3割は忍者である。それ以外の教職員はその事を知らない。

 生徒も同じだ。忍者のクラス以外の生徒は普通に入試を受けて入学しただけの普通の人である。彼らはここが忍者の通う学校とは知らない。

 そして、この学校の生徒会は常に忍者が仕切っている。

 生徒会長 服部 孝道

 彼の別の顔は忍者の総帥である服部 半蔵でもあった。

 父親である先代が暗殺され、若くして跡を継いだ。

 一見すると真面目そうな優等生っぽい雰囲気を醸し出している。

 悪事など一切、関わる事が無さそうな彼が忍者を操っている。

 その隣には副会長の百地 青葉。

 こちらも真面目そうな雰囲気の女子生徒である。リムレス眼鏡のレンズが厚く、目元が見えない為、表情が常に解り辛い。だが、それも忍術の一つであった。

 眼鏡は防弾ガラスになっており、目の保護にもなると同時に相手に表情を悟らせない為の小道具だ。

 伊賀の忍者は十二人衆など、何人かの士族となる忍者が存在したが、跡目争いなどを経て、現在、服部家以外は断絶している。これは幕末において、新時代に対しての彼らなりの生存方法であった。

 そして、総帥は血脈で決められ、総帥に就任した者は半蔵を名乗った。

 そして、忍者として生育した者には元来、戸籍が無い為、名前を与えるに辺り、伊賀十二人衆から苗字が与えられる事が習わしであった。

 「青葉・・・御上から、幾つか命を受けた」

 孝道はノートパソコンを触りながら、傍に座る青葉に話す。

 青葉は即座に目の前にあるノートパソコンを触り、確認する。

 「承知。明日までに計画書を作成します」

 「頼むよ。1件は厄介そうだ」

 「問題ありません。期日までの納品は十分に可能です」

 青葉は頭脳明晰な為に孝道の秘書に選ばれた。

 同級生という設定だが、実際には青葉は2歳程度、年上である。

 彼女も戸籍が無い子どもだった為、正確な生年月日は不明だが、引き取られた時は2歳程度だと思われ、その頃に孝道が生まれている。

 孝道の秘書となれば、当然、身辺警護の任も含まれる。

 その為、彼女は常に小型拳銃とクナイを携帯し、学生鞄に防弾プレート。学生服の下には防弾ベストを着用している。

 そして、常に彼が外部の飲食物を口にする際には必ず毒見をするのである。

 そんな様子は校内でも話題になっており、一般の生徒からは恋人だと思われている。

 事実として、確かに彼女は孝道と肉体関係も持っていた。

 だが、それは忍びとしての役目のようなものであり、恋人気分とは違う。

 事実として、孝道は配下のくノ一とはほとんど肉体関係を持っている。

 それは精神支配がしっかりと定着しているかを確認する為であり、くノ一が性的な手段を用いる際の訓練でもあった。

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