第16話「満月の魔法菓子」
「これが...」一郎は夜空を見上げる。
満月が、いつもより大きく輝いているように見えた。
店の屋上には実験用の調理台が設置され、周りには魔法陣が描かれている。
「準備はいいかしら?」学院長が杖を掲げる。
「はい!」エマとリリア、フェリシアが返事。
「くしゅん!」
夜風に当たったリリアのくしゃみ。星型の魔力が、月明かりに照らされて幻想的に輝く。
「面白い」学院長が観察する。「満月の光で魔力が増幅されているわ」
「じゃあ、私も!...くしゅん!」
エマの虹が、いつもの倍以上の大きさに。
「わぁ...」フェリシアが見とれる。「まるでオーロラみたい...くしゅん!」
蝶の魔力が虹の中を舞い、さらに幻想的な光景に。
「ふふ」学院長が満足げに頷く。「では、満月の魔力菓子...作ってみましょうか」
一郎は特製の生地を用意する。
中には様々な魔力を秘めた食材が。
「まずは」学院長が杖を振る。「月の光を集めて...」
魔法陣が淡く光り、月光が生地に吸収されていく。
「次は私たち!」エマが声を上げる。「せーの...」
「くしゅん!」
「くしゅん!」
「くしゅんっ!」
三人の魔力くしゃみが、一斉に生地に注ぎ込まれる。
「おお!」一郎が目を見張る。
生地が淡く発光し、ふわふわと膨らみ始めた。
「今よ!」学院長が叫ぶ。「一郎君、焼き上げて!」
特製オーブンのスイッチを入れる。
中では、月光を浴びた生地が踊るように回転している。
「あ」フェリシアが気付く。「生地が...笑ってる?」
確かに、オーブンの中の生地には、にっこりとした表情が。
「くすくす」エマも笑い出す。「なんだか楽しそう」
「これは」リリアがメモを取る。「感情表現する魔力菓子の誕生...!」
そして、完成の瞬間。
「叮」
オーブンから出てきたのは、まるで月のように丸く光る菓子。
表面には星と虹と蝶の模様が浮かび、ほのかに笑顔を浮かべている。
「では」学院長が切り分ける。「いただきましょう」
一口食べると。
「!」
口の中で月光が広がるような感覚。
優しい甘さと共に、心が満たされていく。
「これは...」一郎が驚きの表情。「幸せが形になったような...」
「くしゅん!」
全員が同時に魔力くしゃみ。
光の花火が夜空に咲き、満月を虹色に染める。
「実験成功ね」学院長が満足げに。「さて、これで準備は...」
「え?」一郎が聞き返す。「何の準備です?」
しかし学院長は、月を見つめたまま微笑むだけだった。
...その時、遠くの空で、何かが光った。
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