第6話 蝉の如し

 2019年6月。僕は恋をやめた。人に出来ないことはある。普通を手に入れるのは難しい。学びのある1ヶ月だった。恋愛ソングを聴くたびに、元カノが脳内で挨拶してきて、涙がこぼれる。ドライアイなのかもしれない。

 蝉はおよそ1ヶ月生きる。余命が1ヶ月と申告されていたなら、もう少し必死になれたのだろうか。いや、それは関係ないか。心の何処かで、まだ大丈夫だろうという怠慢が、邪魔なのだろう。

心の中も頭の中も、真夏猛暑日の蝉達のように、騒がしく鳴いていた。

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