第49話傭兵の受難は終わり、芝居の時間が始まる
「さて、そろそろ時間かな?」
『じゃあ、あたしは学生組の方見てくるわね?
もし起きてたら時間稼ぎするわよ』
「気が利いて助かるよ。おれは特製のアラームプログラム起動してから行くとするか」
情報屋と口裂け女はそれぞれの部屋に向かいドアを開けると素早く中に入り手早く閉めた。怪異3人がゲームにお取り込み中な事に気付かれないようにする為である。
「3人はおれの声聞こえてるよね? そろそろ時間だから席に戻っといて」
『情報屋殿、実に楽しめたぞ? これなら彼と組んで動いても問題ないだろう』
『そうですね、僕もとても楽しかったです。
都市伝説で語られる僕らの殺し方がそのまま怪異としての戦闘スタイルになる以上、彼には色んな意味で深く理解して貰った方が戦いやすいですし』
「んぁーも゙う、イヤってほど分からされたよ、ったくもうよー。コイツら基本ベースがアサシンスタイルなんだよな。
神出鬼没に死角からナイフや道具が飛んで来て仕留めるのがスタンダードだ。
タッグ組んで連携しやがるからただ武器や道具が飛んでくるだけじゃねぇのが厄介だったぜ……」
やれやれと説明しつつ首をコキコキ鳴らしながら、ゲーミングベッドから下りてくる傭兵。学生組と言う人目がないからと本来の粗雑な振る舞いをして、ゲームからの開放感を味わっている。
相当苦戦していたようだ。
「俺が出されたって事はあのガキ共もそろそろ出てくんだろ?
帰りはどーする?」
「帰りは口裂け女に付き添って貰う事にするよ。どうせ帰りは怪異の神出鬼没で戻ってくるだろうし」
「それもそうだな。そんじゃ、ガキ共がここ出るまでの残りの一芝居頑張ろうかねぇ」
傭兵はそう言うと男らしく頭をガシガシかいた後は身なりを整え、表情を確認しながら微調整を繰り返す。
「そんじゃ、私の立場なら先に扉を開けて押さえとく感じかしらね?
流石に秘書OLは経験ないから情報ないのよね」
「スマートかつスタイリッシュに、だよ? お得意様?」
「ふふっ、了解だ。情報屋」
どちらかが不敵な笑みを先に浮かべ、それにつられるように片方も同じ笑みで応えドアに手を掛ける。芝居の準備は万端である。
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