第30話傭兵は都市伝説を口説き落とす
現れたのは大きなマスクで隠された1人の女性。マスクで隠されていても美人だと分かる骨格と肉付きの人間が、傭兵を見ながら歩いてくる。
おんやぁ? 俺狙いっぽいねぇ?
霊格から視て知名度だけで存在の底上げされた新参者ってとこか?
こーの存在の歪み具合、都市伝説って奴だな? 都市伝説なら街中を普通に彷徨いててもおかしくねーわ。
これはいっちょ、躾て俺の目的の為の駒にしてやろう。
俺1人でやるには限界があると思ってたんだ。ちょうどいいから出会った奴は片っ端から調教して駒にしていこう。
これが1000年以上年季の入った存在格の妖怪や伝説生物だったらかなり厳しいけどな。
都市伝説程度なら100年すら経ってない知名度のみで存在が成り立ってるだけだから、俺の存在格でどうにでも出来るし何なら存在圧も余裕で掛けれる。
よーしよし、そのまま来いよ?
『ねぇ、お兄さん。あたしって綺麗?』
「何を聞いてくるかと思ったら、何とも愚問だな。
その骨格、その肉付き、そのパーツバランス。むしゃぶりたくなる様な魅力的な体を持ってんのにさ?
顔だけじゃなく全身ガッツリ魅力になる為に磨いてきたんだろ?
こんな触りたくなるほど綺麗な肌を顔だけでなく体までしててよ? しかも目もエロっぽい目付き。
仮に何か欠点があったとしてもお釣り来るくれぇ全体が魅力的な女だと思うぞ?」
『へ? な、何か別方向からの特大の褒め言葉が?
しかも顔どころか全身褒めまくりな上に陰でして来た努力まで褒められてるぅ!?
目がエロっぽいとか、抱きたくなるほど魅力的な体とか初めて言われたわ……』
「当然だろ? 今すぐそこのホテルに一緒にベッドインしてえと思ってるくらい全体がエロっぽいんだよ」
『顔どころでない感想どころか口説かれてる!?』
恐らく顔関係にトラップがある都市伝説なんだろうと予想して、顔以外をベタ褒めた上に口説き文句まで入れてみたが効果覿面だな。
見事に混乱してやがる。
それに顔を褒めるにしてもパーツで褒めてるからか、トラップ発動してねぇみたいだ。
磨いた努力も褒めまくったし、努力までベタ褒めされた事にすげぇ動揺してて面白ぇなコイツ。
ベッドインしてえって言っちまったけど、この体になってからは性欲あんま出なくなっちまったんだよなぁ。
まぁ、昔の体の時の感覚を思い出して言ってるからあながち嘘じゃねぇからよし。
このまま押し切るか。
『ん、んもぅ! こんなに色々と褒めてくれるイイ男がいるなんて想定してない!
まさか綺麗になる為の努力まで認めて褒められるなんて思ってもみなかった!
マスクの下見せても認めて受け入れられそうな気しかしないわ!
やだわ、マスクの下見せて関係が終わるなんて嫌だわ!
こんなにあたしの全てを肯定して、見せてない努力まで肯定してくれた人を攻撃したくないわ!
あの問い掛けを言わなきゃ良かった!
あれさえ言わなきゃ、マスク外しても襲わなくてもいいのに!
でも…この人はあたしの問い掛けに想定外の言葉で返したから、一先ずやり取り完了って事で定義発動の儀は終了したはず…うん、入ってたスイッチちゃんと切れてる……』
よしよし、このまま俺に流されて駒になっちまえ?
お礼にデートくらいしてやるからよ。
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