第8話 終焉への牙城

─ラストダンジョン

 かつてフォーゲルニームン帝国は魔族との争いに敗れ、帝都ヨーナゴ城は魔王城となっていた。

 因みにフォーゲルニームンは鳥取でヨーナゴは米子だ。


「報告致します!魔族四天王最後の一人『魔槍伯コホリーン』が勇者に敗れました!」


 跪きながら告げたのは魔王ドルパゴス。この物語のラスボスとして設定されて奴で、 数日前まで俺の座る玉座にふんぞり返って奴だ。

 なぜ過去形なのかと言うと、俺はヤンセから受け取ったノートにこう書き込んだから。


【魔王の更に後には、大魔王佐藤信雄が黒幕として存在している】


 突然の設定変更により、俺はこの物語の真のラスボスとして君臨し、ドルパゴスはバラモスやファットバジャーのような地位に格下げとなった。


「ええい!使えぬ奴らよ!こうなったらドルパゴスよ、貴様がこの……余のいる一個前のフロアとかその辺で勇者どもを待ち構えるのだ!」


「ははーーっ」


 深々と頭を垂れたドルパゴスは、ここの一個前のフロアへと走って行った。


 俺が大魔王となった理由はただひとつ。この痛恥ずかしい世界を、全て滅ぼすためだ。人も魔族も、イタい設定は全て跡形も無く、過去とともに消し去る!

 だが、それを果たす上で大きな障害が立ちはだかる。勇者一行だ。全てを滅ぼす大魔王など悪そのもの。ならば正義の勇者は須く敵となる。とすれば魔王たち魔族を全て従えて勇者達をやっつけてしまおうというのが目下の課題なのだが……


「ちゃんと大魔王をやってるじゃないか、信雄」


 玉座の後ろから現れたのは神出鬼没の神・ヤンセだった。彼は勇者に加担もしないし魔族を手助けするわけでもない中立の存在だ。


「ヤンセか。アルフレッド達が強すぎるから、また次の手を考えなければならないんだよ。ちょっとつき合え」


 俺は“漆黒の聖典”を開き、ペンを握る。


「いいぜ。そういやアルフレッド達に弱点とか設定しなかったのか?」


 と、問われ


「……してない。完全無欠のスーパー勇者だもん」


 と、答える。


「はぁ!?お前、『鳥山明のヘタッピ漫画研究所』を読んでねえのか?“どんなつおいキャラにも弱点を付けよう”って、鳥さが言ってたろ!!」


 もちろん読んだよ!でも、中学生ってのはアドバイスを素直に受け取らねえんだよ!


「悟空もベジータもフリーザ編以降は弱点なんて無かったろ!敵が滅茶苦茶強いだけで!」


 そう。俺ももう滅茶苦茶強い敵キャラを作って勇者の元へ送り込むしかなかったのだ。

 少年時代のストーリーや設定の甘さに、大人になってから苦しめられるなんて。だが、大人として経験を積んだ俺をナメるなよ?過去の俺!

 俺はにやりと笑い、ノートにペンを走らせた。

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